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異世界転生を果たした、おば、コホン、お姉さまは、お嬢様生活のために悪役回避、頑張ります!  作者: 渡 幸美
第三章 建国祭と学園と

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挿入話 エレナ=グリッタ 2

「リリー!!!」


殿下の、泣きそうな声が聞こえる。

遠くの、意識の向こう側。

ものすごいスピードで走り飛び、彼女を抱き抱えた。


とても、とても大切な宝のように。


その時、何かがするっと繋がった。


その手前には倒れたまま呆然とするマリーア様。


「マリー!」


と、テンダー様が近くの魔物を斬りつける。


そうだ、私だ。私のせいで、こんなことに。


お兄様のように愛されたかった。

よくやったと、言って欲しかった。

似た境遇なのに幸せそうな姉妹が羨ましくて、妬ましかった。


隣にいたい人の、隣にいられるであろう彼女が、心底邪魔だった。何一つ勝てないのが悔しくて。


だから、祈った。せめて、近くにいられるように。


間違っていた。愚かだった。


こんな人間なんて、利用されて当然だ。


……弟の、魔力も感じる。あの子も同じアンクレットを貰っていたもの。……誰に?思い出せない。無事だろうか。どうか、無事であってほしい。


『……ほう。勇者は、そうか……これはまた、面白い』


私の身体で、勝手に嗤う、魔王の意識。

殿下のいる方へ、歩いて行く。


嫌だ。嫌だ、嫌だ!!


最期まで、殿下の邪魔をしたくはない。


せめて、大事な人を守れるお手伝いをさせて欲しい。


今さらだと思われるだろうけれど、それでも。

自分の意識を集中して、自分の魔力を少しでも取り戻す。魔王でもなんでも、ただの意識体に、ずっと乗っ取られて堪るか!!


『ぐ、き、さま…』


魔王が嗤うのを止めて、顔が引きつるのが分かる。


皆が、私を見つめる。


「…エレナ嬢、か……?」


少しだけの変化なのに、殿下が気づいてくれた。


それだけで、充分だ。


今、私はきちんと微笑んでいられているかしら。


「……はい、殿下。少しの間だけ、自分を取り戻せました。でも、長くは無理でしょう。ですから」


ーーー覚悟を決めろ、私。


「わたくしごと、魔王をお斬りください」


これが、私に出来る、最期の、ことだ。


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