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異世界転生を果たした、おば、コホン、お姉さまは、お嬢様生活のために悪役回避、頑張ります!  作者: 渡 幸美
第三章 建国祭と学園と

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47.顔合わせ 2

「すまない、つい」


はっとして、テンダーが謝罪する。


「いや。こちらこそすまないな。今日を逃すと時間がなかなか取れないものだから。リリーたちも、ごめんな、せっかくなのに。でも三人とも髪色に映えてよく似合っているよ。さすがテンダーだな」


申し訳なさそうに微笑んで話すサーフィスの最後の「……悔しいけど」と、ボソッと呟いた声は私たちには聞こえなかった。そんなサーフィスを横目に、ヒンターとマークスも似合うと褒めてくれた。何だか困りながら楽しそう?に。


「ともかく、二人が早くに打ち解けてくれて良かった。それでさっそくだけど、話を進めさせてもらうよ」


この面子で集まると、まとめ役はすっかりヒンターだ。将来の宰相様かな。


「まず、魔王の封印について。みんなも精霊様から聞いていると思うけれど、今のところ変化はないと。今のファーブル王国は光に満ちており、安泰とのこと、だが」

「何か不安が?」

「体感として、不思議な犯罪が増えているように思う」

「不思議な?」


お城組以外は、お互いに顔を見合わせて首を傾げる。


「ひどい重大犯罪なんかじゃないんだよ。ただ、今さらと言おうか、今までのことが積もり積もってと言おうか、小競り合いのようなことが増えたんだ」


例えば、自分が納得して後継者から外れた者が、家族に嵌められたと暴れ出してみたり、しっかりと話を付けて決まった契約にケチをつけてみたり、婚約者の昔の恋人のことで揉めてみたり。ひとつひとつは大きくはないが小さくもなく、警らの騎士が呼ばれるくらいにはその困り者たちは暴れるらしい。


「今のところ、重傷者や死人は出てはいないのだけれど」

「それは何よりだね」

「ああ。ただ、奇妙なことに、皆がみんなと言ってもいいくらいに、当人が取り押さえられて落ち着いた後は、なぜ自分がそんなことをしたのか分からないと言うんだ」

「罪を誤魔化すためかと自白魔法を使っても返事は同じなんだよね」


ヒンターの話に、マークスが捕捉する。


「何となく気持ちが悪くてね。城の妖精たちに確認しても、封印は大丈夫としか言われないし、俺が気にしすぎなのかもしれないけど」


サーフィスも肩を竦めながら続ける。


「何か、小さな悪意が集まっているような気がして」


悪意という言葉にドキリとする。封印を弱めてしまうのは、大きな悪意だ。小さな悪意なんてどうしたって生まれるし、気にすることでもないのかもしれない。けど……。


「確かに気持ち悪いわね……」

「リリーもそう思うかい?それで、マリーも何かしら感じることなどがないかと思ってね」


サーフィスに話を振られて、マリーアは口に手を当ててじっと少し考えて。


「……まだ、中途半端にしか力を使えないわたしだから、絶対ではないと思うけれど。常には強い悪意のような違和感を感じることはないわね」

「そうか、それで…」

「ん?姉様、常にじゃなくても強い悪意を感じることがあるってこと?」


私が思わずサーフィスに被せて(すまぬ)ぐいぐい聞くと、マリーアはしまった、という顔を一瞬だけ見せて綺麗に微笑んだ。


「それはね。ちょっとした悪意がゼロになるなんて、それはそれであり得ないことでしょ?」

「ちょっとしたことはそうだけど、でも」

「…どうしたの?リリー」


スカートをぎゅっと握って俯いてしまう。だって思い出したのだ。夏休み前に妖精さんから聞いたグリッタ様という人を。

この際聞いてみてしまおうか。妖精さんに聞いたと言ったら、妖精さんも怒られちゃうかな。私だけなら仕方ないけど、でも。


「な、夏休み前くらいから、マリー姉さま、時々元気がないことがあったよね?だから……」


「……だから…」と口籠ってしまうと、ふわ、と頭をよしよしされる。顔を上げると、サーフィスが優しく微笑んでいた。


「……マリー。俺たちも心配していたよ。本人が言って来ないからと様子を見ていたけれど。大切なリリーにも気づかれるくらいなんだから、悩んでいたのではないか?」

「フィス、知って」

「一応、王太子をやらせてもらっているからね?学園のことは一通り把握しているよ。優秀な友人たちもいるしね」

「あ~、まあ、そう、そうよね……。そんなことも思い付かないくらいになっていたわね、情けない…」


サーフィスがおどけたようにヒンターたちを振り返りながら話し、それにマリーアが苦笑して応える。


「姉さまは情けなくなんかないもん」


優しくて、強いのだ。自分が何を言われても、相手を下げるようなことを言わない。


「ありがとう、リリー。情けないのは、リリーにまで心配をかけちゃったことも含めてよ。

同級生にエレナ=グリッタさんて仰る侯爵令嬢がいらしてね。……わたしが聖女であることを疑っているみたいなの。それに、ほらフィスのお妃さま問題もあるでしょう?不思議とお妃になりたがる方々が多いから、いろいろね」

「さらっと不思議とか言うな」

「でんか…あ、フィス様は人気者ですよっ」

「ありがとう、イデア」


いつもの二人をスルーする私たちに、イデアーレがフォローを入れる。優しい子や。


「まあ、妃はともかく…というか、その辺は面倒をかけて申し訳ないが、聖女は精霊が認めて、陛下が発表したことだ。あまり続くようなら…」

「でもわたし、まだちゃんと聖魔法が使えないのも本当でしょ?」


マリーアが、サーフィスを遮って言う。


「癒しの魔法、使えるだろう、浄化だって」

「全部中程度以下よ。水魔法が得意な人の方が、きっと今のわたしより出来ると思うわ。花の子の妖精たちが言っていた、光の妖精にもまだ会えていない。こんな情けない聖女がいる?って、自分でも思うの」


マリーアがシュンと落ち込む横で、私は一人汗ダラダラだ。


想像以上にマリーアが気にしていた!ほんとごめん!!


どうしよう、本来は三年後…だったし、そもそもサーフィスを守るようなシチュエーションとか起こり得るかも怪しくなっているし。…主に私のせいで。


はっ!まさか私、無意識に魔王復活に手を貸してたりしない…よね?








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