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幻想のグリモアール  作者: ふたばみつき
第4話 冒険者のおしごと~adventurer's job~
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第四十六頁 魔法使いの狼さん

 ユヅキが身に纏っていた上着を見て思わず唖然としてしまう。


 わかってはいたけど。彼事態、身体がとても大きいので物凄く大きい上着だ。いいなぁ、身長が高くて身体が大きいって……


 なんか、男として負けた気がするが、俺は取り敢えず渡された上着を羽織ってみる。

 まあ、やはりと言うかなんと言うか。余りのデカさに上着を着ただけで俺の胴体は全部隠れてしまった。なんとまぁ、とんでもないガバガバサイズだ……


 サイズがピッタリなのは胸辺りぐらいだろうか。いや、胸に関してはちょっとキツいな。しかし、それにしても……

 

「やっぱり、すごいおっきい……」

 

 俺の反応を目にしたユヅキはなにやら渋い顔をしている。

 その視線の先を見ると、上着から伸びる俺の太ももと、パツパツになった胸を睨み付けていた。そして、溜め息を吐くと軽く頭を抱えながら口を開いた。


「その姿もその姿で、危うい感じがするな……」

「……確かに」


 確かに、これはこれでなんかエロい……

 むしろ、産まれたままより、エロいのでは……


 いや、いやいや。そんなことないさ。産まれたままが、一番エロいに決まっている。


 それより、それよりてすだよ!!


「それより、今のって魔法ですか!?」

「……そうだが。別に珍しい物でもねぇだろ。テメェの召喚術と比べたら、お遊びみたいなもんだぞ?」


 彼は眉を吊り上げ、怪訝そうな顔でこちらを眺めている。

 そして、おもむろにその口を開いた。


「お前さん、本当に何もわかってないのか? 本当に何者なんだ? 訳アリといっても程があるだろ?」


 う…… それを聞かれるとマジで言葉に詰まる。一体何から説明すればいいやら。

 まず「異世界から来ました」なんて言ったら、明らかに頭がおかしいと思われそうだし。正直、この召喚術がどうして使えるのかも全くわからん。

 そして、なにより自分と言うか、このアイラインと言う少女が何者なか、それも全くわらない。


 冷静に考えると、未だにわからないことだらけだ……


「へへへ、正直言うとですねぇ。私もわからないんですよね、ははは……」

「お前…… そりゃ……」


 正直、馬鹿だの、なんだのと言われると思ったが彼は真剣な面持ちでこちらを眺めていた。


 どうやら、真剣に俺の事を考えてくれているようだ。

 正直ありがたい。頭ごなしに否定されちゃったらどうしようかと思った。

 

 それにしても、こちらはこちらで冷静に考えると彼はなんで召喚術の事や学園の事を知っていたり、魔術を使えたりするんだ?

 スラムの顔役とは言え、スラムの住人がそんなことを知っている物なのか? それとも、人狼である事が何か関与しているのか? 


 気になるな……


「あの~ ユヅキさん。貴方はなんで、魔術を使えたり、学園とか召喚術の事を知ってるんですか? それとも、それぐらい知ってるのが普通の事なんですか?」


 俺の問いかけにユヅキはキョトンとした顔でこちらを見つめた。その黒い瞳に俺の可愛らしい姿が写っている。なんだか、冷静に自分の今の姿を目にすると恥ずかしくなる。


 俺は彼の瞳から視線を逸らし、その表情に視線を移した。


 やはり、今もその顔は小難しそうな顔をしている。

 そんな、難しい話をしただろうか……


「ほほほ、若人が悩んでおられるな」


 その時、のそりのそりとアイゼンさんがやって来た。

 さぞかし、面白いかったのか、楽しそうな笑みを浮かべている。


「人狼。人に擬態し、人を喰らう魔獣と恐れられておりますが。その実、狼の血によるものか、誠実で誇り高い者が多い」

「恐れ入るね、鉄亀の御老人。アンタも、コイツの召喚獣なのか?」


 その問い掛けにアイゼンさんがうんうんと頷いてみせた。

 そう言えば、この二人は人語を理解している。これはまさか、人語を解する魔獣同士の会話か? 


 おお、なんとも珍しい……

 珍しいのかな?


 て言うか、こう見るとほとほと魔獣には見えないな。

 両者とも、非常に知性に富んでるからか、下手な人達の会話より落ち着きが有る。


 ユヅキとアイゼンさん、両者が少しの間見詰め合う。すると、アイゼンさんがユヅキに向かって、おもむろに口を開いた。


「貴方の立ち振舞いを見るに、かなり名の有る“氏族”とお見受けしましたが?」


 え? そうなの? 

 て言うか、氏族って、なに?


「ははは。やはり、賢者とまで言われる種族には敵わないな。まあ、一昔前までは獣の国の族長の家系だったらしいが、今はただのスラムの住人だよ」

「ほお、となると。獣王との国取りに破れたクロフォードの家の者ですか。なるほど、これはまた面白い縁に恵まれた物ですな……」


 おいおいおいおい。何を勝手に二人で盛り上がってるんだ。話がとんでもない方向に脱線しそうだぞ。アイゼンさんが賢者とか言われる種族で? ユヅキさんが、なに? 族長の家系? なにそれ? 凄いの? 強いの?


 通りで、落ち着きもあるし、カリスマ性も有ると思った。

 ん? そんな存在を召喚獣に出来るのかな? なんだか、もうよくわからなくなって来たゃったよ…… 


 いや、て言うか……


「私抜きで盛り上がらないで、説明してくれませんか?」

×学院→○学園に変更しました。


タイトルもちょくちょく変えてますが、未だにしっくり来てるのが思い浮かんでないので、これからもちょくちょく変わるかもしれません。


そこんとこ、申し訳ありませんがよろしくお願いします。

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