22話
俺たちは村の道具屋で鑑定して貰い、さすがに精神的に疲れたので自宅へ帰る。そこで鑑定されたアイテムを広げる。
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フレイムドラゴンアーマー
効果
竜の鱗で作られた鎧。DEF+55、MDEF+20、火耐性(大)
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フレイムドラゴンシールド
効果
火竜の鱗で作られた盾。DEF+45、MDEF+30、火属性反射
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フレア
効果
フレアを覚える事が出来る。
使用可能職業
ウィザード系
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「これはまた規格外な……」
俺は思わず呟く。さすがにこれは凄すぎるだろう。さすがドラゴンだ。というか、倒してから火属性耐性とか何の嫌がらせだ。
「これを装備すればドラゴン討伐が楽になりそうだね。明日からどんどん狩っていこう」
グレッグが嬉々としながら言ってくる。確かに反射があれば楽になるだろう。最初にこれが出たのはかなり幸運だ。これでドラゴンも狩られる獲物か。
「先行投資って事で、ドラゴン装備は両方フィルムに渡しても良いかな?明日から狩れるからもっと良い装備が揃えられると思う」
「ああ、しかし、ドラゴンが獲物扱いか。何とも言いがたいな」
アドンが賛同して何か難しい顔をしている。ドラゴンってファンタジーの最高峰のモンスターだから、それが雑魚扱いというのは思うことがあるのだろう。
「うん、むしろ私もそうお願いしたい」
「そうよね。フィルムが倒れて全滅するかと思ったわ」
サーシャとエイミーが言ってくる。盾役が1人しかいないのだ。アドンの頑張りがなければ、全滅する恐れもあっただろう。
「これで回復の出番がまた減るんですね……」
アシュリーだけ少し寂しそうだ。回避盾でごめんなさい。フレアはアドンが受け取る事になった。他のメンバーへお金は分配される。1人5000Gと破格だ。そして俺は夜、尋ねてきたサーシャと眠る事になった。その内この子が恐れている事に関して聞く必要があるかも知れない。
翌日、俺たちは意気揚々とドラゴン狩りを始める。昨日の装備のお陰でブレスは反射出来るようになり、脅威が1つもなくなった。これなら楽勝じゃないか、と思い調子に乗って連続で挑むとそこにはアイスドラゴンが居た。どうやらそう上手くは行かないらしい。
ドラゴンを1日1殺と決め、俺たちは毎日狩り続ける。ブレスと耐性以外は基本的にどのドラゴンも変わらない。サンダードラゴンの麻痺やウィンドドラゴンの飛翔にはかなり困ったが、俺たちの今の強さで勝てない相手ではない。主にアドンのフレアのお陰だ。色々なドラゴンを倒してもスクロールは出なかったのであれはレアだったらしい。
そしてある日、こんなアイテムが出た事でパーティメンバー全員が戦慄した。
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透明になる薬
効果
1時間、透明になる事が出来る。
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「……どうすんの、これ」
俺も恋人が出来る前に獲得していたら歓喜していただろう。だが、風呂もインナーで入れるこの世界でどうするんだろうか。
アイテムボックスで物の管理をしている以上手持ちの装備しか盗めないし、勝手に誰かを触るとかは設定でPK扱いになるから設定で拒否できる。サーシャも毎回設定を操作している所を見かける。何に使うんだろう。
「これは、使えるわね」
「ええ、計画を前倒しに出来そうです」
エイミーとアシュリーが何か言っている。どうやら使い道があるらしい。グレッグが後ろで震えている。いや、表情を見ると光悦していた。男のそんな顔を長々と見たいとは思わないので視線を逸らす。アドンは特に興味がないらしく、特に何も言わない。サーシャも同じようだ。
「という事は、欲しいのはエイミーとアシュリーか?1つしかないからじゃんけんで決めてくれ」
グレッグが役に立たないので俺が代わりに言う。2人は睨み付け合いじゃんけんを始める。何これ怖い。
この2人に渡してはいけない気がするが、取得権は全員にある。欲しい人が貰うのは当然だ。装備品ではない以上口を出す資格はない。そう考えている間に勝者がアシュリーに決まったようだ。エイミーが悔しそうにしている。
どうせエロい事に使うんだろうし、他人に迷惑が掛からないだけだけマシ……ではないな。実は一番渡してはいけない人に渡ったのかも知れない。
「フフフ……これがあれば……」
アシュリーが何か凄い悪い顔をしている。アドン以外全員が引いている。アドンは見慣れているのだろうか。全く動じる気配がない。さすがはアドンだ。でも危機感は持った方が良いと思う。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ギルド専用チャット 栄光の翼
アイン:リーダーに教えてもらった通り、ドラゴンのログを取ってきたぞ
クラーク:お疲れ様。後で皆で見て欲しい。俺とブラッドは既に見たから
ブラッド:初めて聞いた時は本当かよ、と思ったが・・・やるなあいつら
アイン:そりゃ、俺らの師匠だしな。ムラクモさんもたまに教えてくれるけど、本当にたまになんだよな・・・
エイク:仕方ないんじゃない?何だかあの人忙しそうだし
クライン:見たぞ。乱獲しているんだな。倒す度に装備が増えて驚いたよ
プリム:前に俺らが挑んだ時は惨敗だったのにな
クラーク:皆、喜んでくれ。ドラゴンの装備を借りられる事になったぞ。何でも1週間くらい休暇を取るらしい。
クライン:マジで?これを機に乱獲しろって事なのかね
クラーク:ああ、そうだ。見せて貰ったが、かなり規格外な装備ばかりだったぞ。まぁ、レンタルだからちゃんと返さないとならないが
アイン:そりゃな。借りパクしてあのメンバーに追われると思うと怖くて出来ないぞ
ブラッド:ログを見る限り、やばい魔法も持ってるみたいだしなぁ・・・魔法のレンタルが出来ないのが残念だ。むしろアドンだけ手伝いに呼べないか?
クラーク:俺も聞いてみたんだけど、一緒に居たアシュリーさんに断固拒否された。もう有無を言わさずに。
アイン:まぁ、あそこのパーティはカップルが出来上がっているからなぁ・・・休暇取るなら別行動させる訳にもいかんだろ
クラーク:一応予定は聞いたがな。グレッグとエイミーは観光、フィルムとサーシャは料理の素材探しの旅へ、アドンとアシュリーは自宅でのんびりするらしい。
ブラッド:土産に期待しよう。主に料理で
アイン:攻略組で料理作れる奴が1人も居ないのは致命的だったよな・・・
エイク:何作るんだろ。楽しみだなー
クラーク:ケーキの材料を探すとか言っていたな。甘いものよりちゃんとした料理の方が良かったんだが・・・
アイン:あいつケーキも作れるのかよ。システムが凄いのか、あいつが実は料理できたのか知らないけどさ
エイク:ケーキ?連絡先を教えて
クライン:邪魔すんなwwwwリーダーに後で貰える様に言ってもらえ
クラーク:ああ、ちゃんと聞いておいたぞ。向こうもくれる予定だったみたいだし、その辺りは大丈夫だ。装備もこれから受け取る予定だから、頑張って狩るぞ
アイン:おお、やってやろうぜ
攻略組新キャラ
クライン:両手剣を使うプレイヤー
プリム:エンチャンター、女キャラでやるつもりだったらしい
攻略組もそこまで殺伐とはしていません。
デスゲームではないので、そこまで焦りはないみたいですね。
チャットと次の幕間の時系列がちょっとズレたりします。




