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転生悪役令嬢は闇の秘密結社を作る  作者: Crosis


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お辞めなさい

心優しいお方だ。


そして叡智に溢れてらっしゃる。


以前俺はフランお嬢様へ『なんで貴族至上主義という考えが間違っていると分かったのですか?』とお聞きした事がある。


俺とフランお嬢様の環境は殆ど同じであり、片や俺は親や周りの価値観を疑う事をせず貴族至上主義思考となり、フランお嬢様は皆等しく人間であるという事に気付いた。


それも間違いなく幼い頃から既に気付いていた事など今現在のフランお嬢様を見れば一目瞭然であろう。


そして俺は少しでもフランお嬢様に近付きたく、そしてフランお嬢様の役に立ちたい一心で、俺とフランお嬢様の違いが分かれば今まで以上にフランお嬢様に寄り添いフランお嬢様の役に立てると思っていたからこその疑問であり問いかけであった。


そして俺の言葉を聞いたフランお嬢様は少し考えると『そうですわね、貴方はわたくしのことをどうお思いですか?わたくしの言葉を信頼出来るとお思いですか?わたくし自身を信用しておりますの?』と聞いてきた為俺は即座に肯定すると『その考えを、信じるものを信じる事をお辞めなさい』と真剣な表情で返されれ一瞬何がなんだか分からなくなってしまった。


そんなあたふたしている俺を見てフランお嬢様は更に言葉を続ける。


『聞いたものを信じる事をお辞めなさい。見たものを信じる事はお辞めなさい。そして信じるものを信じる事をお辞めなさい。それは洗脳と同じカテゴリーでしてよ。そこを突かれた者、特に知識の無い者は簡単に洗脳されてしまいましてよ。それは宗教の勧誘かもしれません。それはカルト集団の勧誘かもしれません。それはネズミ講の様なものの勧誘かもしれません。それは詐欺師の甘い話かもしれません。それは右翼、左翼の勧誘かもしれません───』


そしてフランお嬢様は一度言葉を止めると今まで以上に真剣な表情をして言葉を紡ぐ。


『そして、それは貴族至上主義などという価値観かもしれませんわ』


最後の言葉をキッカケに全ての言葉を一気に理解していく。


信じるものを信じるという事は何も考えていないという事である。


その事をフランお嬢様は知り得ており、そして実際に実行してきたからこそ今の俺とフランお嬢様との差が生まれたのであろう。


それは口で言うのは単純ではあるが実際に実行する事は簡単ではない事は俺自身が身をもって理解している。


俺だけではない。


信じるものを信じない者が一体この帝国に何人いるというのか。


間違いなくフランお嬢様ただお一人であると断言できる。


しかしそれは正しくない。


なぜならば今まさに自分自身が二人目へとなろうとしているからである。


断言できると思える事ですら次の瞬間には簡単にひっくり返ってしまう。


だからこそ実行するには余りにも難し過ぎる。


それは、ひいてはフランお嬢様を信じるなという事であるからである。


『良い表情ですわね。そんな貴方ならば任せても良いでしょう。もしわたくしの成す事や考えている事が間違っていると感じた時は、その考えを様々な理由や言い訳で否定しようとせず、そして隠そうとせずわたくしに指摘して下さいますようお願い致しますわ』


そして俺はこの瞬間フランお嬢様に心の底から忠誠を誓うと共に心の底から疑惑の目線を向けるのであった。


それこそがフランお嬢様がこの俺に求めた事ならば、俺は信じるものを信じない。





「ジュレミア、お客様です。出迎えなさい」

「ハイ、かしこまりました」


男はカミーラという女性に向けて感情のない言葉でそう答える。


男はあの時より感情を表現する事が出来なくなっていた。


それは何も感情に限った話ではなく欲望も表現できなくなった。


それはまさに生きる屍という言葉がしっくり来る。


そして男はフランお嬢様の奴隷兼メイドに連れられて客間へと向かう。


扉を開けて中へと入ると一人の恰幅のいい男性がソファーに太々しく座っている姿が目に入ってくる。


その男性を咎めることもせず男は客人であろう恰幅のいい男性の対面へ姿勢を正して座ると、その姿を見て恰幅のいい男性は嬉しそうに頷く。


側から見れば主人と使用人と言われても誰も疑いはしないであろう。


「ふむ、お前がブラックローズのリーダーであるジュレミアだな。この俺がわざわざ来てやったと言うのに俺より遅れて部屋に来るなど本来であれば何かしらの罰を与えなければならないのだが、そうだな。そこの女で許して、グベハッ!?」


そしてそう見える通り恰幅のいい男性が偉そうな態度で偉そうな事を言い始めた瞬間に男性により、いや、この私がぶっ飛ばしてしまう。


今現在私は魔力によりフランお嬢様により切られた脳の箇所を強引に繋げ、思考は随分とクリアである。


「ききききき、貴様っ!誰に向かってぇぇえっっグエっ」


そして私は吹き飛ばした先で尚も吠え始める恰幅のいい男性の胸ぐらを掴むとそのまま腕力に任せて吊り上げると、自身の体重と脂肪で首が閉まり潰れたカエルの様に鳴き出す。


「貴方は今、二度にわたり決して言ってはいけない事をその汚い口から発言致しました」

「な、なな、グエッ、くるぢ、ぐるじいっ、ぐえぇぇっ」



いつも誤字脱字報告ありがとうございますっ!!^^

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