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転生悪役令嬢は闇の秘密結社を作る  作者: Crosis


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嬉しくない訳がない

「それで、どうやってここまで……いや、良いですわ。どうせ貴方の事ですから身体強化でジャンプして来たとかいうのでしょう?」

「はぁ、お前にはお見通しって訳か」


本当、フランのこの洞察眼は見張る物があると俺は思う。


それは大切な情報を見逃さないのもそうなのだがそこから得た少ない情報から正解を導き出すその頭脳あってこそであろう。


戦闘技術に戦闘センス、魔術の知識量にそしてこの頭脳である。


最早笑うしか無い程、たった一回の受け答えでフランと俺の差をまざまざと見せつけられ心が折れそうになる。


しかし、フランは化け物などでは無くれっきとした人間でありフランの奴隷達もまた凄まじい勢いで強くなっている事を俺は知っている。


何故ならばこないだの武闘大会団体戦決勝で大暴れしたあの女性を俺は知っているからである。


その女性の名をカミーラと言い俺の元婚約者であったからである。


そして何故元かと言うと向こうの家よりカミーラが余りにも魔術の才能が無い事が分かった為今回の婚約破棄をして欲しいと恥じを承知で俺の実家へ訪れたからである。


それは初等部後期の話であった。


武術の家系が俺ならばカミーラは魔術の家系であり当初は婚約が決まった事を両家大喜びしていたのだが、喜びが大きければ大きいほど、マッチ程度の火しか操れない程度の魔術の才能しか無いと分かったカミーラへの失望は計り知れないものであったのであろう。


その数年後、カミーラが奴隷へ落とされた事を知った。


思えばこの時から俺の中の唯でさえ狂っていた正義の定義が更に狂って行ったと今では理解出来る。


そうしなければ婚約者一人守ることのできない自分の惨めさに押し潰されていたであろう。


しかしフランはカミーラを救い出しただけで無く魔術の才能が無かったカミーラを化け物と言ってもおかしくない程のレベルの魔術師にまで短期間で成長させてみせたのである。


当時の俺は幼かったとはいえ今現在の俺でそれを出来たかといえば、それは無理である。


本当、敵わねぇ………だけど、待ってくれとは言わねぇが手伝いたいと思うこと位はさせて欲しいしその為の努力は怠らない。


「それよりもいつまでそこに突っ立っておりますのよ。お昼休みは有限でしてよ、まったく。ほら、わたくしの隣を空けてあげますから座りなさいな」


そんな事を思いながらフランと会話をしていたその時、フランが自分の隣を開けるとそこに座れとばかりに手で叩き、一緒に昼飯を食べるよう促してくるでは無いか。


その瞬間俺は泣きたくなる程の嬉しさが身体中を駆け巡った。


あれ程俺達を避けて来たあのフランが俺へ一緒にご飯を食べようと言ってくれたのである。


嬉しく無い訳がない。


「お、おお。俺達を明らかに避けているお前からそんな事を言う何て珍しいな。明日は槍が降るかもしれねぇなぁ」

「失礼な。………まぁ避けてる事は否定しませんわ」


そして、そんな当たり障り無い会話をしつつ残りのお弁当を食べて行くのだが俺は一旦食べるのをやめると真剣な表情でもってフランを見つめる。


「なぁ、フラン」


そして俺が言葉を発するとフランもまた真剣な表情になり俺の話を聞く姿勢を取る。

この一連の流れからも本当出来た女性、いや出来た人間であるとつくづく思ってしまう。


「何ですの?急に改まって」

「いやな、少しは俺達を頼ってくれても良いんだぜ?」


俺は何だかんだで了承してくれるものだと何の根拠も無いのにそう思ってしまった。


それを言う事で、敵ではない事を態度で、言葉で示す事によりフランが俺を避ける事が無くなるかもしれないとも思った。


「そうですわね………例えば人が好きな異性の前で永遠の愛を誓ったとしてその愛はどの位の期間その者を変わらず愛し続ける事が出来るかご存知ですか?レオ様」

「永遠と誓っているんだから死ぬまでなんじゃねぇのか?」

「数十分ですわ」

「………は?」


しかしフランの口から出された言葉は俺への答えではなく、恋心の持続時間の話であった。

一体何故その様な事を一体何処で知ったと言うのかと問い詰めたくなるのも仕方ない事であろう。

そしてこのフランの持論は多少の誤差はあるかも知れないが恐らく合っているのであろう。


その根拠は『フランだから』の一言に尽きる。


「残念ながら事実ですわ。ですがその数十分後もまた変わらず同じ人を好きになる事を繰り返して紡いでいく。だからこそ愛は儚く、また尊いのですわ」

「その話が本当か嘘かは置いといて、一体何が言いたいんだ?」


しかし、ここで恋愛の何たるかを語る意味がわからないのだがフランが言う事である。


そこには俺の問いに答える何かがあるのだろうが俺の頭ではそれを理解する事が出来なかった。


だから俺は素直にフランへ問いかける。


それは、以前の俺ではプライドが邪魔して出来なかった事であるが、今知ることのできる、知らなければならない事をたかがプライド一つで知り得た事を知る機会を失うと言うのは余りにも愚かであると言えるし、同時に過去の俺は愚かでもあった。




誤字脱字報告ありがとうございます!!^^



台風の影響で偏頭痛がキツイです^^

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