策が無いわけでもない
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遂に奴等ブラックローズが表立って動き出した。
まさか帝国の武闘大会で、たとえそれが単なる構成員であったとしても今までその存在を知る者が居なかった闇の組織が民衆の目が、権力者の目が、様々な目がある様な場所で表舞台に出てくるとは思わなかった。
それは言うなればもう隠す必要は無いという現れであろう。
しかし、単なる構成員であの強さ。
はっきり言って寒気どころでは無い。
それはまるで首元にナイフを突き付けられた様な恐怖を感じてしまった。
そう考えれば武闘大会で表舞台へと出てきた理由の一つが分かる。
敵対しようと考えている者が見ればそれは『敵対すればどうなるか分かっているだろうな?』とアピールしている様なものである。
首元にナイフを突きつけられそんな事を言われて首を縦に振れる者が果たして何人いるというのだ。
おそらくあの一日だけでかなりの敵対組織が手を引いたと見て良いだろう。
それは言い換えれば、敵対組織が引けば引く程ブラックローズは身軽に動きやすくなるという事である。
そしてまさか奴隷商人のジュレミアがブラックローズのメンバーであるという事には、こればかりはしてやられたと言っても過言では無い。
一体どれほどの、我が秘密結社の大事な情報をあのジュレミアが知っているというのか想像するだけで恐ろしい。
今まで、いわゆる闇の組織の中では我が秘密結社シャドウクロウこそがその中の頂点であり絶大なる力を持ち裏社会を思うがままに動かして来たという自負が、そしてプライドが今まではあった。
しかしそれら全ては秘密結社ブラックローズによって作られた虚像であると知った時、私は、我々は想像を絶する屈辱を味合わされたのである。
一矢報いたいという思いはあの日より膨らみ続けているのだがそうも言ってられない事態が起きた。
今までいう事を聞いていた末端の組織達が全く言う事を聞かなくなったのである。
その原因は何かというと銃という新たな武器であると言えよう。
その武器は三歳の子供でも大の大人を殺傷出来る、出来てしまう程の力を力無き者へ与えてしまうという恐ろしい代物であった。
それは即ち今まで下手に出ていた者達が反旗を翻しうるだけの力がそこにあるという事に他ならない。
それこそ能力がある新規メンバーを見つけ出すのには苦労していた今までと違い、簡単に誰でも即戦力としての役割を果たす事ができるという事でもある。
はじめのうちはシャドウクロウの下っ端構成員が舐めてかかってしまい多くの死人が出てしまう程シャドウクロウに大きな傷を与え、そして銃という武器を我がシャドウクロウも装備する要因ともなったのである。
しかしこれさえもブラックローズによる策略だったのであろう。
それは武闘大会で銃という武器をこれでもかと宣伝及び各々の銃の扱いのデモンストレーションを行ったのである。
その意味が分からない俺では無い。
それは即ちブラックローズの一人勝ちという構図が出来上がってしまうのである。
我々は銃で殺し合い力を削がれて行き、ブラックローズは何もせずとも敵対組織達が弱って行けば弱って行くだけ勝手に儲けているという構図の出来上がりである。
そして、こんな馬鹿げた武器を世間に普及させるという事は、ブラックローズのメンバーが使う武器は今世に普及している武器と同じ性能であるわけがないのである。
これ程の武器なのだ。
自分達で独占して来たる時にその武器を使い武力行使していけば簡単に勝敗はつくであろう。
にも関わらず普及させた理由は、今普及している銃よりも更に高性能の銃が既に作られており、そして全員に行き渡り扱いも長けているという事に他ならない。
そして銃の扱いに関しては武闘大会のブラックローズの戦闘を見れば銃という武器を手にしてまだ日が浅い我々などより遥かに使いこなしている姿を見れば明らかである。
そして彼女達は単なる構成員レベルであり更に上がいるというアピールでもある。
なぜなら武闘大会に出ていた彼女達は全員奴隷だったからである。
これでは喧嘩も売れやしない。
何代続いているのか分からないのだがブラックローズの長は我々の想像を絶する程の叡智の持ち主なのであろう。
それは今の今まで我々ですらブラックローズという組織がある事すら知らなかったという事実こそがその証拠であろう。。
そしてそれと同時に何度シャドウクロウの面子を潰し、プライドを踏みにじれば気が済むというのか。
しかし我々シャドウクロウは策が無いわけでもない。
で、あれば一矢報いる為にもやらないという選択肢は無い。
そしてその矢に有りっ丈の猛毒を仕込んで見せよう。
そして俺は反逆の機会を静かに伺うのであった。
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宿敵に心配される悪役令嬢とは最早悪役令嬢なのだろうか?
そんな事を思いながら本日のお昼休み、メイドと共に二人飯の時間を過ごしていたりする。
因みに本日の場所は学園校舎の屋上である。
なぜそんな所で食べているのかと言うと、基本的にこの屋根の上には飛翔魔術で飛んで来るかハシゴを使うしか来れない場所であるからである。
これなら以前の様に尾行されてしまった場合でもわたくしの大切な時間を妨害される心配が無いという事である。




