これは決定事項である
誤字脱字報告ありがとうございますっ!ありがとうございます!^^
ノア様サイドを書いてる時はOfficial髭男dismさんのPretenderを聴きながら書くと物すっごく捗りますww^^
若しくはABC^^
というか女々しい男性の曲ですね^^
清春さんがカバーアルバム出すという事で最近youtubeでPVが観れるのですが、私のオススメに出てたので覗いてみたら色気半端ないおじ様がそこにいました^^
前から色気はあったのですが少年のPVのイメージが強いのでビックリですね^^
あぁ、このようにフランと会話を出来たのはいつぶりであろうか?
遠足で最近何故か避けられていたフランとまた以前の様な関係とは行かないまでも良い関係まで回復出来たと思っていたし実際以前の様に当たり障りない会話も、遠慮の無い笑顔も見れた。
しかしフランは遠足以降、いや──あの日見た路地裏の光景以降また俺を避ける様になり、それどころか心を閉ざしてしまった。
そう思ってしまうと俺は居ても立っても居られなかった。
居られる筈がない。
今もこうして目の前で愛しい女性が追い詰められているのである。
その女性を救いたいと思って何が悪い。
「今フランが一人で何かをその小さな背中で背負っている事は理解してる。しかし、だからと言ってそれが何なのか答えなくても良い。そのかわり、俺を頼ってくれても───」
「結構ですわ」
しかし俺の言葉はフランの、強い声音で言葉で遮られてしまう。
そのフランの表情は決意に満ちており、その瞳は意志の強さを宿していた。
何故そうまでして断るのか、何故フランはそこまでしなくてはいけないのか。
それはまるで───
「一体どうしたんだフラン。ここ最近のお前はなんか生き急いでいる感じがして、俺はお前の事が心配でたまらないんだよ。少しくらいお前の手助けをする事ですら俺は許されないと言うのか?」
「これはわたくしに売られた喧嘩であってその喧嘩をわたくしが買ったのですわ。他人の手助けなどわたくしのプライドが許しませんわ。それにノア様はこの国の第二王子であるお方。ノア様の身に何かあった時は勿論の事その行動、その発言それらすべてがあらゆる場所、あらゆる人々を巻き込んでしまいます。わたくしは関係ない人々をわたくしの単なる我儘で巻き込むことをわたくし自身が許しません。ノア様のお気持ちは嬉しいのですけれども今回はその気持ちだけお受けいたしますわ。わたくしの為に言って下さった言葉、とても嬉しかったですわ」
そしてフランは言った。
これは売られた喧嘩であると。
やはりフランは今何かと戦っているのだ。
そしてそれこそがフランが俺やレオ、シャルロッテを避けている理由であり、側に奴隷を置く理由でもあると俺は考え付く。
そしてそれは言い換えるとフランの奴隷はその全てを知っているという事でもあろう。
でなければ給金も支払っている単なるメイドを側に仕えさせた方が、メイド達を無駄にする必要も無い上に側仕えとしての専門的な技術もあるのである。
そこをわざわざ給金が発生しない上に専門的な技術の無い奴隷にする必要が無い。
その為貴族の中にはかなりキツく命の保証は無い事柄を奴隷にやらせている事が多いのが実情である。
しかしフランはそうしない。
奴隷にメイドの真似事をさせるという行為は、それはひとえにフランの優しさの表れでもあるのかもしれないが、それだけでないという事は分からない程俺も馬鹿ではない。
だったら何故高等部にあがってからいきなり側仕え、それも奴隷を侍るのか。
それはそうする必要があったからに他ならない。
おそらくフランは高等部に上がった頃に何者かによって何かしらの喧嘩を、敵意を向けられ、それは他人に言える様な事ではなく、他人に、それこそ家族にすらバレてはならず、そして命に関わる様な事である、と俺は考える。
だからフランの側仕えは奴隷なのである。
そう考えればフランがあのブラックローズなどと言う組織を作り、あれ程まで戦闘に特化した奴隷を揃えるという事も理解が出来る。
一体フランは何と戦おうとしているのか、最早検討もつかないがこれだけははっきりとしている事がひとつだけある。
「そうか、そうか。それは残念だな。でも、フランがどうしても折れそうなとき、負けそうなときはいつでも俺を頼ってもらって構わない。それはフランを手伝うなどではなく、愚痴を聞く等でも構わない。とにかくフランが潰れてしまいそうな、折れてしまいそうなときは俺の事を頼っても良いと、俺がフランの心の拠り所なれば良いなと思っているという事を心の片隅にでも留めてもらえたら、今はそれで我慢しよう」
それは何があってもフランの味方であるという事である。
欲をいえばフランを娶りたいのだが、今はフランの未来の為にも我慢しよう。
決してヘタれたとかそういう訳ではないからな。
弱みに付け込んで告白するなど男性の風上にも置けぬクズ野郎であり、俺がヘタレという訳ではない。
だというにも関わらず心の中で「それをヘタレと言うのですよノア様、いやノア坊ちゃん。その隙に他人に取られて後悔するだけですよ」という我が執事兼側仕えの声が聞こえて来るので後で罰を与えてやるとしよう。
何故か心の中で「それは無いですぜ、ノア坊ちゃんっ!!私は大人の男性として全くもって善の気持ちから良かれと思ってノア坊ちゃんにアドバイスをわざわざ差し上げたんですよっ!?」などと無駄な言い訳が聞こえるがこれは決定事項である。
「分かりましたわ。ノア様の申し出、心の片隅にでも仕舞っておきましょう」
「あぁ、今はそれで良い。俺も今のフランを見るのは辛いが我慢しよう」
「しかしノア様、いつまで至近距離でわたくしを見つめ、そして頭を撫でておいでで御座いますの?こんな所を誰かに見られでもすれば一応王族であられますノア様、変な噂が瞬く間の広がってしまいますわ」
「知っている。むしろそれ込みでやってるフシはある。それに嫌ならば俺のこの手を振りほどき、ここから去れば良いだけであろう?」
「成る程、それもそうですわね。それでは御機嫌よう、ノア様」
そして俺は去り行くフランの背中を見て、何があっても助けれるよう権力も武力も使える力その全てを強くしようと、そう決意するのであった。




