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転生悪役令嬢は闇の秘密結社を作る  作者: Crosis


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浅ましい娘

そう言うとカミーラはゆっくりとカミーラの元親の元へと歩き出す。


「か、考え直せっ!カミーラ!!」

「そ、そうよっ!カミーラっ!!私達は今のカミーラなら愛することが出来るのですっ!!」


魔術が通用しないという事、魔力が切れているという事、そしてカミーラがその表情からも見て分かる程に明らかにブチ切れて怒髪天である事により今までの高圧的かつ尊大な態度が嘘のようにみっともなく命乞いをし始める。


そして次の瞬間にはジュレミア邸に爆音が響き、その振動で窓ガラスがカタカタと揺れるのであった





「あれでよろしかったんですの?カミーラ」


わたくしはジュレミア邸の門構え、その出入り口の方を物憂げに見つめているカミーラへと優しく語りかける。


一瞬そっとしておいた方が良いのかもとは思ったのだがあれ程の美人が物憂げに窓辺に佇んでいるのである。


逆に声をかけないという事は前世の感性からしてあり得ない。


そしてカミーラは最後の最後で元親達を殺す事はせずに今カミーラが出せる最大威力の爆破魔術を、元親にも分かるようにジュレミア邸上空に放っち、逆立ちしても勝てない事を悟ったカミーラの親は殺される前にすごすごとジュレミア邸から退散して行った。


そして、わたくしは彼等の息の根を止めなくても、怨みを晴らさなくても良かったのかと聞く。


「良いのですわ、あれで。あの人達を生かしておいて良い事など何も無いとは思いますけれども、逆に殺した所で何も良い事などございませんもの。だったら後悔や恐怖、そしてそのプライドを粉々にし、さらにわたくしの情けで生かせていただくという生き恥を抱えながらこれからの人生を消費して頂く方がよっぽどあの方達にとって良い罰として、また良い薬となりましょう」


そう言うとカミーラはわたくしの方へ振り向き最高の笑顔をした後、わたくしの胸に飛び込んで声を殺して泣き始める。


あぁ、わたくしの胸板………ではなくて豊満なボディーに伝わるカミーラの柔らかな感触、不謹慎では御座いますがたまりませんわねっ!


でもまぁ、あんな奴らでもカミーラの親であることには変わりない為カミーラにしか分からない感情があるのであろう。


ですからカミーラの気持ちが整理出来るまで存分にわたくしの胸で泣いてよろしくてよ!


ええ、この様な状況にも関わらず邪な気持ちなど誰が持ちましょうか。


もし邪な気持ちを持ってしまう者がおりましたらわたくしの元へ連れて来なさい。


このわたくしが直々に説教して差し上げましてよっ!


あぁ、同じシャンプーとトリートメントを使ってる筈なのにめちゃくちゃ良い匂いがカミーラから匂って来ますわぁ。


た、体臭からその者の体調や感情が分かるという話もありますし、ここでわたくしがカミーラの頭に鼻を付けて深呼吸するという行為は何も疚しい事では御座いませんので勘違いしないでいただきたいですわねっ!まったくっ!まったくっ!けしからんっ!!


おっと、ヨダレが………。





わたくしカミーラは浅ましい娘で御座います。


それは何故かと言いますとわたくしカミーラは今現在実の親をダシに使って今フランお嬢様に抱き付いているのですから。


なんと浅ましい事か。


あぁ、同じシャンプーとトリートメント、石鹸を使っておりますのにフランお嬢様からとても良い匂いが致しますわぁっ!!


もうわたくしこの幸せを噛みしめる事が出来るのならば浅ましい娘で結構で御座いますわぁーっ!!


あぁ、あぁ、なんと甘美な香りっ!なんと甘美な肌触りっ!!天国はここの事で御座いますねっ!!皆様っ!天国はここで御座いますっ!!


そしてわたくしがフランお嬢様を堪能していると、その時は不意に訪れた。


なんとっ!フランお嬢様がわたくしの背中に手を回して引き寄せた後、わたくしの頭を撫でて下さっているではないかっ!!


心なしかフランお嬢様のお身体が震えている様に感じますが、わたくしは何も気付きませんわ。


ええ、フランお嬢様がわたくしの境遇に心を痛めて泣きそうなのを、ここはわたくしが泣く時であると、自分が泣く時ではないと必死に我慢しているであろうその身体の震えなど全くもって気付きませんわ。


だって、その事を気付いてしまったのならば罪悪感で押し潰されてしまいそうだもの……あぁっですがそんな罪悪感なんかよりもフランお嬢様のかほりがっ!!身体の感触がぁっ!!もうっ、もうっ!たまりませんわっ!!





やはりカミーラはなんだかんだで強がっていたのであろう。


意を決してカミーラを抱き寄せた後その頭を優しく撫でてあげるとカミーラは更に先程よりも震え出すと強く抱き返して来てわたくしの胸元へと顔を埋めて来る。


どんな親であろうとその子供からすれば親は親なのである。


何も思わないわけがない。


そんなカミーラを見てわたくしの邪な感情はいつのまにか消え去っており、代わりに新たな決意が宿る。


カミーラだけではない。


奴隷娘達の本当の親にはなれないのだが心の拠り所になろうと、この時わたくしは静かに決意するのであった。


「ほら、カミーラ。皆んなが待っておりますわよ。そろそろ行きましょう」

「は、はい。フランお嬢様」


あれから数十分程はカミーラを優しく抱いて頭を撫でていたのだが、今現在他の奴隷娘達を待たせっぱなしな為カミーラへ促しパーティーの準備をしてくださっている大広間へ行くように告げる。


そして、カミーラは今まで泣いていたのか顔は紅潮しており、それを誤魔化そうとしてるそんな彼女を、そして奴隷娘達を命に代えても守り抜くと誓うのであった。

誤字脱字報告ありがとうございます!!^^



連休が終わってしまいました………初日以外台風による嵐でした……。

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