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転生悪役令嬢は闇の秘密結社を作る  作者: Crosis


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売られた喧嘩は買う





「ルーベルト・キングニスクが我々の言う事を聞かなくなっただと?」

「あぁ。さらに言えば魔族国の麻薬栽培場も何者かによって焼き払われており販売ルートも壊滅しているとの連絡が来た」


仲間からの報告を聞いて俺は青ざめる。


この計画を実行するまでに何年もの時間をかけて下準備をし、目的に向かってやって来たと思っているのだ。


使った金も最早バカにならない額になってしまっており今更引くに引けない。


世界を征服する足掛かりとしてやっと国を奪える段階まで来たのだ。


今回の作戦が成功すれば帝国皇帝と王国国王を傀儡にでき、更に魔族国の国土の一部を我々の手にする事ができた筈であったのだ。


それがたったの数日で白紙に戻されただけではなく、ルーベルト・キングニスク国王は我々を信頼に値しないと評価を一変して切り離し魔族国国土やそこから王国、帝国へと繋がるパイプまでもが徹底的につぶされていたとはなんの冗談を言っているのだと叫びたい気分である。


「誰がやったか目星はついているんだろうな?」


ここまでされて誰にやられたか分かりませんじゃ我々秘密結社シャドウクロウの看板に傷が付くどころの話では無い。


「ルーベルト・キングニスク国王が『ブラックローズのローズ様の言う事を聞けば俺の夢が叶うのだっ!邪魔をするでないっ!!そもそもお前達の言う通りにして王国に何の利益があったか教えてみろっ!我が偉大なる偉業を称える国民に麻薬中毒者が増えただけではないか!』などとほざいていたからな。時期的にも状況的にも恐らく、いや間違いなくブラックローズという組織の仕業である事は間違い」

「ブラックローズという組織………聞いたことないな」


これが俺の率直な感想であった。


我々シャドウクロウの計画を頓挫させるだけでなく、更に我々が傀儡にしていた王国国王を逆に傀儡にしてしまう程の組織の名前を知らない。


その瞬間俺はゾッとした。


これ程の組織が一年や二年程度で出来る筈が無いのである。


一体、どれ程深い闇の奥で活動をしていると言うのだ。


そしてその組織が表面に現れて来た。


血の気が引くとはこの事である。


「やはりお前もこの組織のヤバさとこの組織が表面に上がって来た意味を理解出来たか」

「最早闇の底に潜て姿を隠す必要が無い。機は熟した、という事か」

「で、どうするんだ?」


その問いに俺は細く笑みながら答える。


「売られた喧嘩は買う。我々に喧嘩を売った事を後悔させてやろうではないかっ!」

「ハハッ、よく言ったっ!それでこそお前というものだっ!」


当たり前である。


ここまでバカにされてすごすごと逃げる様なら今現在このシャドウクロウの実質トップである三賢人にまで登りつめてなどいない。


そして二人の笑い声は闇の中へ消えていった。





現在わたくしはブラックローズの帝都支部、いわゆるジュレミア邸及び元奴隷売り場であり現在は異世界初チョコレート専門店へと来ていた。


「ローズ様、連れてきました」


そしてわたくしは以前までジュレミアが使っていたジュレミア専用の部屋でアンナに淹れて頂いたコーヒー、更に新作チョコレートの試作品を嗜んでいると部屋の扉から三回のノックが聞こえ、次いで例の人物を連れて来た事を伝えてく来る。


「はい、入って良いですわよ」


そしてわたくしはそう言いながら黒い仮面を着ける。


「失礼します」

「し、失礼……します」


最初に入って来たのは声の通りウル、そしウルの後ろからおっかなびっくりと言った感じで一人の女性が入って来る。


その女性は髪は伸ばしっぱなしで手入れもしておらずボサボサ、ご飯もろくに食べていないのか骨と皮だけの身体なのだがその瞳からは確かなる強き意志を感じ取る事が出来る。


しかし、それと同時に人間ここまで強い意志を持っていても抗う事が出来ないのかと改めてその恐ろしさを痛感する。


「貴女には娘がいたようですが……」

「現在メイが相手をしております」


まぁ、今から見せる光景はある意味ショッキングな光景である為寧ろ娘は居ない方がかえって良いだろう。


「分かりました。流石にこれからの光景を娘に見せる訳にはいきませんからね。では、時は金なりとも言いますし早速始めましょうか。ではまずお名前をお教えいただきますか?」

「は、はいっ!私はアナスタシオ・アダムズと申しますっ!」

「ではアナスタシオ、今から貴女を最高位の奴隷契約をこのわたくしと契約して頂きますわ。そして既に聞いているかとは思いますがこの最高位奴隷契約をしてしまうとこれを解除する事は現時点の魔術では出来ません。それでもよろしいですか?」

「はい。構いません。もう既にコレはわたくし個人の意志でどうこう出来るものでは、いえ……もしかしたら使った段階でもう元には戻れなくなってしまったと言うと方が正しいですね。それは言い換えると生きる為には仕方ない事だと考えており、この運命を受け入れております」


そう言うとアナスタシオ真っ直ぐわたくしの目を見つめて来る。


その瞳には迷いや先程まであった恐怖と言った感情は無く、あるのは決意。ただそれだけである。

誤字脱字報告ありがとうございますっ!!^^

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