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転生悪役令嬢は闇の秘密結社を作る  作者: Crosis


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藪を突いていないのに

「そうですね、婚約者候補とだけ言っておきましょう」


その瞬間女性特有の黄色い声が教室中に響き渡った。


ほんっとうにコイツは面倒な事をしてくれますわねっ!!


これはあれですかっ!?

外堀から埋めて行こうという作戦ですわねっ!

残念ですがその手には乗りませんわよっ!

お母様と約束した二回目の顔合わせ、所謂高級レストランでお食事デート擬きという名の罰ゲームが終わり次第お断りの連絡をさせて頂きますっ!!


お母様にわたくしのお願いを聞かせる手札を手離すのは勿体無いのですが、この状況で三回四回とデートを重ねてしまうと、現段階では土嚢程度の外堀がコンクリート、そして鋼鉄製へと強固になって行き本当に逃げられなくなって来る為勿体ないと手離さないというのは悪手中の悪手である。と、そこまで考えてわたくしはふともしもアレックスと結婚した場合を打算的に考える。


逆にこの方と結婚してこの学園を中退して王国へ逃げるという手も無きにしも………無いですわね。


そもそもわたくし達ブラックローズは王国と王国騎士団に喧嘩を売ったのである。


噂では今王国騎士団は元団長殺しの犯人を血眼になって探していると囁かれているし、間違いなく王国騎士団の威信にかけて探しているであろう。


このアレックスとの結婚はある意味でただでさえ多い死亡フラグを自ら増やす行為な上に他の死亡フラグと違って予測が出来ず対策がしにくい。


そんな事を考えている時『ガタンっ!』と勢い良く椅子が床に倒れる音がした。


その方向を見ればノア様が授業中にも関わらず立ち上がっておりアレックスを親の敵かの如く睨みつけているではないか。


「どうしたのかな?ノア君」

「フランをどうするつもりだ?」

「どうするもこうするも君には関係ない話だと思うけどこれは俺とドミナリア家、そしてフランさんの問題であって君には関係ない話だ」

「ふっ、フランはそこら辺の娘ではないっ!公爵家の娘であるっ!その公爵家の娘が王国の騎士団団長と婚約などと言うのだぞっ!?帝国第二王子としてはいそうですかと簡単に流せる話では無いであろうっ!?」


ノア様の態度は今まで見た事が無いほど鬼気迫るものを感じる。


それ程までにノア様がアレックスに噛み付く理由が何なのか分かりそうで分からない感覚に、喉に魚の小骨が刺さったかのような感覚に少しだけイラついてしまう。


「ふむ、ドミナリア家には長男がいる上にとても優秀である為現在少しずつ世代交代の準備をしていると聞いている。それに両国の絆を深めるために公爵家の娘が政略結婚する話も珍しく無い」


アレックスはそこまで言い切ると今まで柔らかな笑顔をした表情を取っ払いノア様を睨め付ける。


「それに、君はどの立場で俺に文句を言って来ている?」

「ど、どの立場であるかは先程───」

「王族として口を挟むなどというふざけた事は抜かすなよ?文句を言いたければ俺と同じ土俵にたってから言え、小僧。フランさんの反応を見るに君はまだスタートラインにすら立っていない、ライバルですらないのではないかな?」

「………っ」


何でそこでわたくしの反応どうこうが出てくるのか意味が分からない上に勝手にこの火中に放り込まないで頂きたいのだが、ノア様にとっては効果抜群であったようで思い当たる節があるのか言い返す事も出来ず悔しげに唇を噛み締め両の手をこれでもかと握りしめている姿が見える。


しかしながら王族であれば国の未来のために公爵家の娘の嫁ぎ先に多少は口を出しても良いのでは?とは思うものの藪蛇なのは間違いないためスルーを決め込む。


そう、わたくし程のレベルになれば相手の感情を機敏に感じ取り藪蛇かどうか見分ける事が出来るのです。


何故なら前世では恋愛相談のプロと良く言われるレベルでした為藪蛇かどうかの空気など読む事くらいわたくしにとっては最早朝飯前である。


むしろこの程度の空気すら読めなくては恋愛相談のプロなど夢のまた夢である。


「だったら───する」

「ん?なんだい?」

「だったら俺もフランに婚約を申し込むと言ったのだっ!!これで同じ土俵であろうっ!!」

「そうだな、そこまで啖呵を切ったんだ。君をライバルと認めよう」


その瞬間女性たちの様々な声音の悲鳴が飛び交う。


おいノア様、お前っ!お前ぇえっ!子供じゃないんだから変なところで負けず嫌いな性格を出すんじゃないよっ!


アレックスもアレックスでややこしくなるからライバル認定なんかするんじゃありませんっ!!


お陰で藪を突いてすら無いのに蛇が自ら飛び出して来て噛まれたじゃないですのっ!


しかもこの蛇は猛毒も猛毒、噛まれたらひとたまりもない蛇ではないですかっ!!


こうして学園に王国騎士団団長とノア様の二人でわたくしを取り合っているという噂が瞬く間に広がって行き、鎮火させるのにかなりの労力を使う羽目になるのであった。





「本当に、ああいう事をされては困りますわっ!」

「はは、ちょっと若い頃の俺を見ているようで、どうやらノア王子の若さに当てられたようだ」

「笑い事ではございませんわっ!!ほんっっっっとうにあの後大変だったのですからねっ!」


あの後学園中を走り回って噂を鎮火していく羽目になり本当に大変だったのだ。


しかしアレックスはまるで歳の離れた妹をあしらう様に先程からわたくしが怒っているにも関わらず暖簾に腕押し状態である。


お母様との約束とは言え今晩セッティングされていた高級レストランで二度目のお見合いという名のデート擬きは流石にドタキャンしてやろうかと何度思った事か。

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