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転生悪役令嬢は闇の秘密結社を作る  作者: Crosis


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特別講師

わたくしはちゃんと奴隷達の事を大切にしていて、そしてその気持ちが奴隷娘達に伝わり奴隷娘達もまたわたくしの事を大切に思う。


それは見方を変えれば単なる共依存なのかも知れない。


家族が居ないも者、その家族や信頼している者に裏切られた者、他人を信用出来ない者、そして家族を信用出来ない者。


だけど、ブラックローズだけは信用できるし、家族だとも思える。


だからこそ大切な存在達なのである。


「もう、フランお嬢様は自分の事となると急に頭が弱くなるから危なっかしいですっ!」

「誰の頭が弱いですってっ!?覚悟はよろしくて?メイさん」

「いや、その、フランお嬢様?言葉の綾と言いますか、そのぉ……」

「言い訳無用問答無用ですわっ!!」

「きゃぁーっ!!」

「うりゃうりゃうりゃぁーっ!そんな事を言う悪い娘にはくすぐりの刑でお仕置きですわぁっ!!」


あぁ、前世の妹もこの様に戯れ合ったな、と思うと少し寂しくも思う。


そして今ではこの者達がわたくしの妹達であり家族なのだと姦しい馬車の中で再度思うのであった。





「はい、注目」


朝のホームルーム、担任である男性教師がドスの効いた声で静かにしろというオーラを撒き散らしながら言う。


いつもなら覇気もなくボサボサの髪に無精髭、ヨレヨレのローブスタイルなのだが何故だか今日に限っては髪はオールバックに揃え髭は剃られローブには皺一つ無いのが、先生には悪いのだがなんだか全てが違和感過ぎて気持ちが悪い。


そしてこの流れは、前世であればこの後「みんなが静かになるまでに一分かかりました」とかほざくパターンだなと少し思い出に浸ると共に担任教師の異様な雰囲気に一人、又一人と静かになって行く。


「……………………………はい、私語が無くなるまでに一分かかりました。戦場ではその一分一秒がそのまま自分の死となります。気を引き締めるように」


うん、前世でも他校他県どの年代でも通じるネタというのは異世界でも通じるのですわね。


「今日は何と、あの王国騎士団団長が我が帝国へ来てくださったという事で特別に一時間だけではあるが特別講師としてこのクラスだけ授業をしてくれる事が決まった」


その瞬間レオ以外の全員が嫌そうな顔をする。


それはそうだ。


運動系の中でもキツくてしんどい基礎練ばかりの戦闘術や走るだけの持久走の特別講師が来て授業をしてくれるなどと言われても身体を動かすだけで楽しいなどと思ってしまうバカ以外は嫌と思うのが当然である。


「先生なぁ、この授業でこれから貰うお給金が変わってしまうかも知れないのだぞぉー。だから、今の顔を王国騎士団団長に向けたりしたら、分かっているよなぁ?お前達。まぁお前達は皆賢い子ばかりだと先生は信じている」


どの世界も教師という職業は上と下の板挟みになりやすい職業なのかも知れない。


そして担任の表情は何時もの寝惚けまなこなやる気のない瞳と違いギラついていた。


どれほどギラついているかというといつもは半目の為一重なのだが今日に限っては二重である。


この無駄にキリっとした表情もお給金アップのなせる技であると担任のやる気に満ちた声と表情で思う。


夏目漱石先生っ!確かにお金で人は今まさに目の前で変わっておりますっ!


そう密かに感動していると担任はしたり顔で呟く。


「因みに騎士団団長はイケメンだ」


その瞬間女性たちが色めき立つ。


どこの世界も女性はイケメンという言葉に弱い生き物なのかもしれない。


まあでもわたくしには関係ない事ですわね。


日々身体も鍛えておりますし一時間分の授業など適当にこなして終わりである。


「では王国騎士団団長であらせられるアレックス・ボールドウィンさん、どうぞ教室へ入って下さいっ。ささっ、どうぞどうぞ」


そして入って来る人物を見てわたくしは脂汗をダラダラと滝のように流し始める。


そんなわたくしと対照的に周りの女生徒達は呑気に黄色い声を上げているのが羨ましい。


「どうも皆様、王国騎士団団長のアレックス・ボールドウィンという者です。短い時間ではありますが今日はよろしくお願い致します」


そう言うとアレックス様は軽くお辞儀をした後に一直線にわたくしを見つめて来た。


こ、これは間違いなく王国に喧嘩売って一方的に殴り飛ばして帰った犯人がわたくしであると疑われているのではっ!?

へ、下手な死亡フラグなんかよりガッツリ濃厚濃縮死亡フラグじゃないですかっ!!

ここはもう体調不良で早退して疑いが確信に変わってしまう前に逃げるのが最善の手ではなかろうかっ!


「せ、先生………ちょっとお腹が───」

「逢いたい気持ちを抑えきれず多少強引ではありますが逢いに来ました、フランさん」


わたくしの言葉を遮るように言葉を被せてくるアレックス様。


わたくしの小細工などお見通しであり狙った獲物は逃がさないと言う強い意志がその瞳から伝わって来る。


あぁ、胃が痛い。


「はいはいはいっ!アレックス様とフラン様はどういう関係なのですかっ!?」


そんなわたくしの緊張とストレスなど御構い無しにクラスでも元気印女性担当のクラスメイトが藪の中をこれでもかと突きまくる。


おいやめろっ!マジでやめろっ!今すぐ止めろっ!!やめてっ!!お願いしますっ!!止めてくださいっ!!あぁああああっ!!今すぐコイツを引きずり回した後頭を掻き毟り叫びながら走って逃げたいですわあぁぁぁああっ!!

ブックマーク200突破しましたっ!!ありがとうございますっ!ありがとうございますっ!!

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