今更お化けだ何だと怖くはありませんわ。
そして我は転がった頭を右足で踏み抜くと何かが割れる鈍い音とスライムが飛び散るような音が辺りに響き渡る。
「まったく、本当に私を苛立たせる。結局この我が、神であるこの我が自ら出向いていかなけれならないとでも言うのか?神であるこの我がっ!」
結局この場にいた者達が死んでしまったのも元を正せば我の力の一部を分け与えたにも関わらず何一つ成果を上げる事ができないばかりか敵に簡単に討伐されているあの使えないゴミムシ達が悪いのである。
「クソがっ!クソがっ!クソがっ!」
そしてひとしきり叫び散らして何とか平常心を取り戻す。
周囲を見渡せば床に落ちた肉の数が多くなっている様な気もするのだが気のせいであろう。
そして我は、自身にいつの間にかついた肉の破片や血液を洗い流す為に扉を開けて部屋からでると、部屋の両脇にいた虫に部屋の中を片付けるように指示を出す。
「かしこまりましたっ!では部屋の中を清掃………ひっ!?………うっ!?おえぇぇええええええっ!!」
「我は片づけろと言ったはずであるのに自分の吐瀉物で更に部屋を汚すとは、言われた事も出来ない様な無能は死んでおけ」
まったく、使えない虫ばかりだなと、思いながら我は虫を一匹駆除しながら風呂へと向かうのであった。
◆
漂う臭いは何とも表現しずらい独特の匂いが聖教国の都市、その中心にある大聖堂の中を充満していた。
その臭いは今まで前世を含めて嗅いだことが無く、あえて言うのならば死臭というやつであろうか?
本来であれば数多くの参拝者やその数に見合あうだけの修道士や修道女がいる筈であるのだがそれが一人も見当たらず、気持ち悪いくらいに静まり返っていた。
とりあえず、シューベルト元聖教皇曰く神と名乗る者はこの大聖堂に間違いなくいると聞いて何も考えずにそのまま来てしまったのだが、想像していた以上に広く大きな建物に、どうせ人が誰もいないのであればいっそぶっ壊してやろうかと思わずにはいられない。
とりあえず、一旦は死臭がする方へ向かうとするのだが、こういった神聖な場所、神社仏閣教会等はなぜこうも見かたを変えれば不気味な雰囲気に感じとってしまうのであろうか?
葬式等人の死に少なからず携わっているからなのだろうと自己完結して先に進む。
決してお化けが怖いとか、自己完結しないと恐怖で先に進めないとか、その結果トイレにすらいけなくなってしまうのを防ぐだとか、そういう事ではないのであしからず。
わたくしはもうお姉さんですし、前世も含めると年齢的には三十年以上もの経験と記憶がございますもの。
今更お化けだ何だと怖くはありませんわ。
ただ、正体が分からない何かが怖いのであってお化けが怖いとかではないとかでは────
「まったく、ゴミムシ────」
「ひっ………」
「むっ………?お主見かけない服装をして────」
「ひゃぁぁぁぁあああああっ!!お化けが出ましたわぁぁぁあああああああっ!!!!!」
誤字脱字報告ありがとうございますっ!
ブックマークありがとうございますっ!
評価ありがとうございますっ!
久しぶりのバドミントンは、身体が悲鳴をあげてました(*'▽')




