正しい行為
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眼下には聖教国と王国の民が互いに殺し合いをしている光景が広がっており、時間が経つ程命が消えていくのが分かる。
その光景を目にして『本当にコレは正しい行為なのか?』という疑問が強くなって行く。
自分には過ぎたる力を手に入れた教皇様が侵略行為を聖戦と名前を変えて行っているのでは無いか?
今俺の下で戦っている物達は、この聖戦という名の戦争が無ければ本来であれば今も平和に暮らしていたであろう民達なのである。
一度感じてしまった疑問は何度も忘れようと思っても俺の中で消える訳もなく、むしろそう思えば思う程にその疑問が強くなって行く。
「こんな所で高みの見物ですか?」
「誰だ?貴様は?何処の国の者か?」
そんな事を思っていると、誰かが声をかけてくる。
私達以外に空を移動出来る者がいる事に驚愕すると共に、それが表情に出ない様気をつけ警戒しながら問い掛ける。
「何処の国と言うよりかは何処の組織かと言った方が正確ですわね。私はブラックローズの一員であり、あなた方の敵で御座います」
「…………貴様、あの爆姫か?」
「あのと言われましても、むしろいつの間にかそんな二つ名がついていた事に今驚いておりますわね。ただまぁ、爆破が得意である事は肯定致しましてよ」
赤く燃える様な髪がウェーブを描きながら腰まで伸び、胸は大きく、その谷間を見せつけてくる。
しかし太っているという訳でもなく腰はくびれ、その妖艶さに拍車をかけていた。
それは、ブラックローズの幹部候補と言われているナンバーズの一人、爆姫の情報と一致する為カマをかけて見たのだがどうやら俺の推理は残念ながら正しかったみたいである。
しかし彼女は一向に俺を攻撃する気配を見せず、それが違和感として俺を襲う。
彼女程の者になると俺に気付かれる事なく、やろうと思えば奇襲も出来た筈なのである。
「何を考えている。何故俺へ攻撃して来ない?」
「あら、では貴方は何故王国軍を攻撃しないんですの?」
「それは………」
痛い所を突かれ、俺は思わず言葉に詰まってしまう。
「貴方は、教皇に違和感を感じて、疑問に思っているのでは無くて?」
「………………」
彼女の目はまるで全てを見透かしている様に俺の心を覗いてくる。
「沈黙は肯定と見ますわよ。良いでしょう。真実をお教え致しますので我々について来て下さるかしら?」
「わ、我々………?い、いつの間にっ!?」
そして気がつくと俺は黒い仮面を被った軍服とメイド服を着た者達に囲まれているでは無いか。
「あら、そんな事もあなた方ののいう神とやらはお分かりでなかったのですか?」
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