ぷぷぷぷぷぷ
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私は、この私の左腕を吹き飛ばした攻撃が来た方向を注意深く観察する。
しかしこの私に攻撃を当て、更には左腕を吹き飛ばせる程の威力がある攻撃ができる程の者である。
それ程の相手が早々尻尾を出すわけも無く、既に攻撃をした場所であろう所にはその様な強者の面影は無かった。
「さすが害虫だな。少し目を離した隙で姿を消すとは………っ!?」
「ち、外しましたか」
下に意識を集中していたその時、真上からとてつもない殺気を感じ取り咄嗟に避けると、先程まで私がいた場所に敵の攻撃が通り過ぎていくのが見えた。
そして、上を見上げると黒い仮面を被っているメイド服を着た女性が目に入ってくる。
今の攻撃を喰らっていたと思うとぞっとしたのだが、逆に今の攻撃を外したという事は敵は千載一遇のチャンスを失った事になる。
その事実に思わず口角がにやりと上がってしまうのも仕方のない事であろう。
これ程の羽虫であればこの私の実力をある程度は出せるであろう。
実に楽しみである。
「たしか、フランお嬢様の名言にこんな言葉があったはず。『数撃てば当たる』という名言が」
そして件のメイドは、恐らく銃という武器であろう杖の先を私の方へ向けて攻撃を仕掛けてくるも、攻撃の出所が分かってさえいれば超人の力を手に入れた今の私からすれば避ける事など造作も無い。
「ウロチョロウロチョロとまるでゴキブリみたいに動いて………いい加減諦めて観念なさい」
「やっと攻撃しても無駄であると気付いたか。しかし、もう遅い。観念するのは貴様の方である。この空中で神から頂いた翼があるこの私に勝てると思わない事だな」
「ぷぷぷぷぷぷっ。翼という補助がないと空を飛べないゴキブリが何か言っているわ」
いくら羽虫と言えど舐めた態度で周囲を飛び回られたら流石に腹が立つという物である。
たかだか羽虫如きに対して感情的にならないよう我慢してきたがもう、良いだろう。
「楽に死ねると思うなよっ!!この羽虫がっ!!」
「遅い」
そして私は翼に力を入れ一気にトップスピードまで速度をあげるとメイドの背後を取ろうとする。
しかし、逆に背後を取られたのは私であった。
「な、何故追いつけぬっ!?何故後ろを取られるっ!?」
「そんなでかい翼なんか付けてるから無駄に空気抵抗が生まれて素早く動けなくなるのは新人ですら知っている周知の事実。そんな事も分からないであんなにイキリ倒してただなんて、ぷぷぷぷぷっ!私なら恥ずかしすぎて死ねるね。ぷぷぷぷぷぷ」
何故だ?何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だっ!!!!!
スピードも旋回能力もその全てにおいて私の方が圧倒的に劣っているではないかっ!!
こんな事認められえるわけが無いっ!!
これは何かの間違いであるっ!!
そう、きっと何か悪い夢でも観ているに違いないっ!!
そうでなければこの私が、神から頂いた翼が、あんな小娘に劣るなどあり得ないっ!!
「ごめん、もう飽きちゃった。強いと思ったんだけどね、想像以上に弱かったよ、君」
「ちょっ!まっ────」
次の瞬間轟音と共に化け物であった何かは消し炭となった。
「化け物用に新たにカスタマイズされた銃は、敵に対して有効である事を確認、と。さてと、報告がてら帰還しますか」
誤字脱字報告ありがとうございますっ!
ブックマークありがとうございますっ!
評価ありがとうございますっ!
祝っ!一周年っ!!
まだまだだと思っていたのですが、早いものでこの作品を書き始めて一年が経ちました。
当初は多くても100話以内で終わらす予定でしたけどかなり長くなってしましました(*'▽')
ここまで頑張って来れたのもこの作品を読んでくださっている皆様のお陰でございます。
ありがとうございます。
また、これからもよろしくお願いします。(*'▽')
ちなみにこの作品が終了後に書きたい作品(最低10万字以上)が二つほどありまして、どちらを書こうか絶賛迷い中でございます(*'▽')




