決裂
でっぷりと太った身体を揺らしながら神の使徒は目の前の金髪ドリル娘に向けて要求する。
「そもそも我々が捕獲した者共はエルフ国、王国、帝国、への大罪を犯しております。その様な要求が通用するわけがございません。それに、この化け物共の処遇に関しては我がご主人様を通してエルフ国、王国、帝国からしっかりと許可も頂いておりますので化け物と言えど罪人にはその国に沿った償いをさせて頂きます」
しかし、物分かりの悪そうな目の前の秘書奴隷は不敬にもこの私の出した要求を断る。
実に、実に愚かしい事か。
「極めて遺憾である。神は絶対である。その神の使徒を捕獲するどころか、我々が好意から武力ではなく話し合いで穏便に解決しようとわざわざこの未開の地まで足を運んできてやったというのに」
「くどいですね。先ほど申しましたように解放はございません」
思わずキレそうになるのをぐっと堪える。
ここで怒りに任せて潰すのは簡単である。
しかしそれは美しくない。
潰すならば我々にたて突いた事を後悔させ、心の底から神に許しをこう姿を見てから潰すのが理想である。
「では、あなた方は我々神並びにその使徒に対し、敵対的措置を執る。このように解釈させて宜しいので?」
そして私は、これが最終確認であるという事を視線に込め、未だ一言も発言していない金髪ドリル娘に問いかける。
すると、周りにいる奴隷たちが我々を、まるで可哀そうな者を見る様な表情で見つめ始めるではないか。
「その言葉はそっくりそのままあなた方にお返しいたします。あなた方は私たちに敵対するということでお間違いないでしょうか?」
所詮は神の存在すら知らぬ、ただの小娘でしかないのだと、私は彼女たちを、金髪ドリル娘も含めて思わず小ばかにするような視線を向けてしまう。
しかし、それは仕方のない事であろう。
無知と言うのはそれだけで罪になるのだから。
知ってからでは遅い、という事がこの世にはあるという事を彼女たちはまだ知らないのであろう。
「あなた方の態度は良く解った。今回の我が国及び我らが神の意見は追って連絡しよう。まるで話にならん人擬きの獣が」
私は抑えている怒りを隠す事もせず音を立てながら席を立ち、部屋から出ていく。
「交渉は決裂したと神にお伝えしてくれたまへ」
「かしこまりました」
そして私は部下である使徒へ今回の事を我らが神へ報告するよう命令する。
するとその使途は背中から羽が生え、聖教国がある方角へ飛んでいく。
神の力は絶対であるのならば、神より力を分け与えられた我々もまた絶対である。
その姿を見て私は、早く我らが神より武力行使の許可を頂きたいものだと思いながら帰路につくのであった。
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