弱肉強食
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「何だあれは?」
「団長っ!!」
最初人間の成人女性を半透明な体で覆いながら、恐らく捕食しているであろうあの化け物を見た時、俺はあの化け物正体が分からず一瞬動きが止まってしまう。
そんな隙をあの化け物は見逃してくれず、化け物は自らの身体を針状にして俺の頭目掛けて突き刺してこようとしていた。
その間一秒にも満たず、気付いた頃には逃げる事すらできない様な状況であったのだがヒルデガルドがいち早く敵の攻撃に気付き、間一髪防いでくれたおかげで何とか生き延びる事が出来た。
「誰だね?私の食事を邪魔する者は?食料なら食料らしく私に食べられるその時まで静かに待ちたまえよ」
そして、食事を邪魔された化け物は苛立ちを隠す事もせず人の言葉を喋りだす。
「我々が、食料だと………?」
「そうであろう?どうみても私よりお前たち人間の方が明らかに弱い。この世が弱肉強食でできているのであれば人間より強者の位置に立つ私が弱者である人間を食して何が悪い?それに、私からすれば貴様ら人間は家畜も同然である」
その化け物は、我々人間を食す事の正当性を自慢げに告げる。
我々王国騎士団二人を前にしてもその余裕ある態度は崩す事も無く、圧倒的強者であるとその態度からも告げてきている。
「そうか。そうだな。お前の言っている事は正しい。我々も魔物や獣を倒し、それを食しているのだからな」
「そうであろう?」
「だが、人間がお前より弱いとは限らないぞ?」
その化け物の言っている事は正しい事であろう。
竜種等は普段は食料としては小さすぎる為普段は人間を食べないのだが、それでも数百年に一度あるか無いかの大飢饉のときは偶に人間を食す事が、過去の文献より明らかになっている。
しかし、だからと言ってただ食べられるだけの存在ではない。
我々に捕食されている魔物や獣達もまた、捕食されない為に何かしらの行動は取るように、人間を捕食する存在が少ないからと言って我々もまた何も抵抗せず捕食されるだけの存在であるはずがなく、この化け物の家畜等に成り下がった訳では断じてない。
「ほう、弱者の癖に無駄口を叩て死に急いでいるみたいだな。良いだろう。お前から食ってやんよっ!!」
そして化け物は、弱いと思っている人間である俺に挑発されたのが耐えられなかったのか、その怒りを隠す事もせず、身体の一部を針に変えて攻撃してくる。
「その攻撃は先ほど見させてもらった」
速さこそあるものの一度見てしまえば簡単に対処できてしまう単調の攻撃など、当たるはずも無く、目に見えて目の前の化け物の機嫌が更に悪くなり、それにつれただでさえ単調な攻撃に雑さが加わってくる。
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少なめです。
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