恐らく・多分・だろう
そして、これから国家を運営していくにあたってわたくしの考えを、わたくしの言葉を代弁してくれる側に控えていたエルフへと耳打ちし、その内容が集まった貴族並びに王族達へと伝えられていく。
「我々エルフを含む人類は各種族に分かれて争いをしてきた歴史がある。そして我々エルフの国の中でも最も古くから存在し、最も高い軍事力を誇っていた我らがオウルデストウッド王国が滅びた。我々人類が長きに渡り争って来た理由、そして我が王国が滅びた理由、その理由を上げればキリがないのだが、その中でも一番の原因は我々人類は各種族によってそれらの地に根付いた差別があったからに他ならないっ!!」
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ここまで一気に、わたくしの考えを言葉として代弁したエルフは『ドンッ!!』と手に持つ槍で床を叩き、一区切りすると、大きく息を吸い込む。
「我々エルフは他種族を見下し、獣人種は戦力無きものを見下し、人間種は権力無きものを見下して来たっ!!それら各種族が差別的な考えを持っていたが故に、戦力が拮抗していたと言えようっ!!エルフ国はエルフ以外の種族にも優秀な者がいると理解していれば、獣人種は戦力無き者にも知力がある者がいると知っていれば、人間種は平民達にも武力知力ある者がいると知っていれば、この拮抗していた種族間の争いを制し、終止符を打てたかもしれないのであるっ!!」
そしてエルフの代弁者はわたくしが『恐らく・多分・だろう』で考えた事を力強く、あたかもそれが正しい事であると言わんばかりに代弁していく。
「故にっ!!我らが新国家オウルデストウッド帝国は人種間に起こる様々な差別を禁止すると共に、全ての国家の頂点へと上り詰めようでは無いかっ!!」
ここまで一気にエルフの代弁者が語ると、辺りは静まり返り先ほどの代弁者の語った内容に、興奮している者、不安そうな者等が少しづつ現れ、それらが騒めきとなり音を立てていく。
そんな中、一人のエルフが静かに手を上げるのが見えた為、代弁者へ声をかける様に告げる。
「元オウルデストウッド王国軍・元帥大将ッ、エムール・アディンセル!発言を許可する!!」
「発言の許可、ありがとうございます。先ほどの皇帝様のお考えは実に的を得たお考えであると思われます。がしかし、差別を無くせとの事でございますが先の十年、百年と見据えました場合、我らが国家を運営していくにあたり、その要である役所へ配属された者が、例えば獣人種であった場合は、その者は獣人国家へ優遇するよう国の舵を取ろうとするのでは無かろうか?そのあたりのお考えを、お聞かせ下さい」
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すみません、少なめです。




