新国家
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わたくしは今、ある事を聞き眩暈がしそうであった。
いや、実際眩暈は起こっており、意識を手放して倒れてしまいそうになるのをぐっと堪え何とか持ちこたえていた。
今現在わたくしはジュレミア邸の執務室にて、さすが奴隷商で名を馳せたジュレミア邸の執務室というような無駄に豪華な装飾品に囲まれ、それらに負けずとも劣らぬ豪華な机に、それに合わさって作られたであろうこれまた豪華な椅子に座わりながらわたくしの奴隷たちの近状報告を聞いていた。
その内容は
●メインキャラクター達がいつの間にか風嵐の誓いという、何故かわたくしを陰ながら支える組織を作っており、最近出没している化け物の一体を封印可能な状態までダメージを与えていた事。
●王国できな臭い動きがある事
●聖教国教皇が今回の事件の黒幕である事
もうこの時点で、特にメインキャラクター達について詳しく根掘り葉掘り聞きだしたいのだが、そんなメインキャラクター達の事や今回の事件の黒幕であるとか、以前帝国へ戦争を仕掛けようとしていた王国がきな臭い動きをしているだとか、これら全てが取るに足らない些細な出来事であると思ってしまう自分がいた。
「ええと、アンナさん。わたくしの耳がおかしくなったみたいですので今一度先ほど述べた事を仰っていただけないでしょうか?」
「かしこまりました、フラン様。帝国の隣国の一つであるエルフの国であるオウルデストウッドの国家君主、女帝としてフランお嬢様が即位………この場合はむしろ一度オウルデストウッドは滅び、フランお嬢様を君主とした新オウルデストウッドとして生まれ変わったというべきですね。ちなみにお嬢様は女帝という響きがお似合いであると満場一致で可決した為正確にはオウルデストウッド帝国となります。つきましては一週間後新国家誕生祭をオウルデストウッド帝国の都市であるテーラスにて開催いたしますのでよろしくお願いいたします」
うん、何度聞いても意味が分からない。
何故わたくしが一国の頭、それもエルフの国女帝とならなければならないのか。
オウルデストウッドが一度滅びているという事はどういう事なのか。
そもそもわたくしはエルフではないのだが、その部分はどうなっているのか。
そして何故目の前のアンナ、そして周りにいるブラックローズの面々は誇らしげにしているのか。
と、いうかこれはブラックローズによる侵略行為ではないのか。
そもそも一週間後などいくら何でも早すぎるのではないか。いくら早くても最低一年以上は開けて欲しい。
などなど、考えれば考える程、思い浮かんでくる疑問その一つ一つを考えるだけで頭が痛くなってくる。
「わ、分かりましたわ。ご苦労様です」
そしてわたくしは考える事を止めるのであった。
◆
新国家誕生による式典が執り行われていた。
天気は晴天。風は右に二十センチと心地よく来賓たちを迎えていた。
城下町では平民が、まるで一か月前に訪れた悪夢を忘れようとするかの如く楽し気に笑い合い踊りだす。
オウルドウッド帝国中からエルフを中心に人族が集まりお祭り騒ぎのどんちゃん騒ぎである。
そんな平民とは打って変わって城へと訪れた貴族達は浮かれる者等一人もおらず、悲しみを堪えるか怒りを堪えるかのどちらかの表情をしている。
平民からすれば、頭が変わろうが自分たちが楽できればそれでいいという考えであり、言い換えれば国が滅びたという事を悲しむだけの心の余裕など、日々を暮らすだけで精いっぱいである平民たちには無いのである。
それはエルフの国であろうが人間や獣人であろうが大差ない部分であろう。
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最近睡魔に勝てません(*'▽')




