耳元で囁く
そして入室して来たエルフの女性達はスサノオの前で一列に土下座の様な体勢を取る。
その光景を目にしてエルフの長老は『コレならば黒竜も納得するであろう』と一人安心し、生贄として選ばれた女性達は恐怖で身体を震わせていた。
「一体、何の真似だ?」
「な、何の真似と言いますと?」
しかし、今現在人型となり豪勢な椅子に足を組んで座っている黒竜であるスサノオの表情は喜ぶどころか不機嫌になると、組んでいる足を組み替えながら長老に問い掛ける。
しかし長老からすればスサノオが何について問い掛けているのか、そしてどうして不機嫌になっていくのか分からず、崖底へと飛び降りる覚悟で問い掛ける。
「お主は我には妻がいると言うのにその妻の居ぬ間に他の異性と関係を、妻を裏切る様な行為をしろとでも言うのかと申しておる」
声音自身は静かであったのだが、だからこそその声音から汲み取れる隠そうともしていない怒気に思わず小さな悲鳴を上げてしまう。
「し、しかしスサノオ様っ!貴方様の奥様は人間であると言うでは御座いませんかっ!?それでしたらそんな人間などと言う低俗な種族よりも我々エルフの方が───」
「まさか、忘れた訳ではあるまいな?このエルフの国は我及び我が妻の物となったという事を。それ即ち先程の貴様が申した言葉は不敬罪に当たる、と我は判断しても良いという事で良いのだな?」
「いえっ!とんでも御座いませんっ!!」
エルフの、確かこのエルフ国の王とかほざいていた老人は態度や言葉こそ下手に出ているのだが我が妻に対する見下した感情や不平不満を隠し切れていないのが手に取るように伝わってくる。
「フン、下手に出ていれば我を御せるとでも思うている様だが、我が妻を見下しており、我が妻の、人間如きの下に付きたくないという苛立ちを隠し切れておらぬぞ?そしてあわよくば竜の血をエルフに、という欲望もな」
「………………ッ」
そしてエルフは我が問いに対して一瞬怒りの表情をし、まるで鯉の様にパクパクと口を開閉するだけで言葉を発する事は無かった。
恐らく口を開けば我が妻に対して自分の感情を吐き出してしまいそうになっているのだが、必死に抑えているのであろう。
「成る程、お主が七賢者のパトロンであったという事か。折角育て上げた作品が、実は見下していた人間による儀式の生贄として用意された駒と気付き我に泣きついて来たと。愚か、実に愚かなッ!コレで納得いったわっ!何故元老院が見当たらないのかをなっ!」
そして我は立ち上がり、頭を垂れているエルフの老人のもとまで行くと耳元で囁く。
「お主、殺ったな?」
誤字脱字報告ありがとうございますっ!
ブックマークありがとうございますっ!
評価ありがとうございますっ!
今日も少なめです。
偏頭痛でダウンしてます。
親がテレビで録画した音楽番組を編集した奴を聴きながらラノベ読んでたのですがWANDSの声が私の知っている声と違う人だったのでそれとなくスマホでポチポチと検索していましたら見つけてしまいました。
https://www.youtube.com/watch?v=IsNup-bXLE8
─真天地開拓集団─ジグザグ
一瞬で虜ですわ




