懐かしい顔の男性
そしてこの二つの違いは、細かな部分で見れば何箇所かあるのだが、一番の違いは本人が望んでなるか望まずになるかという部分である。
その部分だけを見れば私の元へ来た新しいメイド奴隷達は剣を捧げる、いわゆる忠誠の儀を行ったようなものなのであろう。
しかし、奴隷を希望した経緯から見て彼女達のは忠義と言うよりかは餌に群がる動物のように感じてしまうのは致し方ないだろう。
「う………っ」
そして、目の前には膝を折り優雅にたたずむオズウェルの姿が目に入ってくる。
剣を捧げるが故に私を見つめてくる真剣な表情に思わずときめきそうになる。
「お受け下さい。我が主人よ」
「わ、わかりましたっ!わかりましたわよっ!ですが、わたくしの剣となるのならば折れない程度にこき使ってさし上げますからせいぜいわたくしのために働く事ねっ!」
そんな、ときめきそうになってしまったことを誤魔化すかのようにわたくしは早口で言い切るのであった。
◆
フランお嬢様との忠誠の儀も問題なく終わり、今現在自分用に割り当てられた客間にいた。
しかし、この部屋にいるのは俺だけではなくもう一人、懐かしい顔の男性もいた。
「良かったのですか?」
「我が主人であるフランお嬢様は奴隷にしか心を開いてくださらない。であれば致し方ない事であろう」
それに、とオズウェルは続ける。
「フランお嬢様の剣となりたいと思うこの気持ちは本物ですから、それこそ貴方にも負けない位には」
「フン、言うじゃないですか」
そう言い返す彼は、流石元貴族である。
その姿勢は、貴族の俺から見ても洗礼されており美しい佇まいである。
「それは、これから貴方とはライバルと正式になる訳ですからね。宣戦布告はさせて頂きましたよ、リカルド・コールドウェル」
「こちらこそ、足を引っ張らないで下さいよ。オズウェル・ベーカー」
そして俺達は拳を合わせるのであった。
◆
「ふーん、筋肉バカは相も変わらずペットの世話にご執心のようね」
「は、はい。そのようです」
「あ、そ。じゃぁご苦労さん」
「ヒッ!?辞めっ………」
私はあの筋肉バカの情報を持ってきた使えない奴隷エルフの首を風魔術で切り落とす。
次しょうもない情報を持ってきたらその首を切り落とすと言っていたにも関わらず、この使えないバカは『筋肉バカはやはり筋肉バカでした』などと言うしょうもない内容の情報を持ってきたのだから、本当、使えないとため息を吐く。
「で、他に使える情報を持ってきている者はいないのかしら?」
そう言いながら辺りを見渡すと、私に目線を向けられた恐怖からか空気に緊張感が走るのが肌で感じ取れる。
その感覚に思わず背筋がゾクゾクと感じてしまう。
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