快感が身体中で感じてしまっている
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「まったく、エルフの蹴りでそんな見苦しい声を出すなんてまだまだ鍛えたり無いんじゃないのか?」
そんな俺の脇腹を件のエルフが足を振り上げて蹴りを入れられ、主であるエルフの皮肉めいた言葉を聞きながら意識を手放すのであった。
◆
「くっ、あっ、はぁはぁ、くぅっ!もう無理だっ!」
「何だ、もう限界だなんて言わないよなあぁ?お前の身体はこんなにも喜んでいるというのに。相変わらずお前と違って身体は正直だな」
俺が苦悶の表情で耐えていると主であるエルフ、ヤ・ジュ―が相も変わらず見下したような目で話しかけてくる。
その瞬間俺は頭の中が怒りで満たされ、体の限界など忘れてしまう。
「やっぱり、君は素直じゃないな。俺が思った通りまだまだ耐えれているじゃぁないか」
「くっ!うっせぇーっ!!うぁっ!く、あっ!」
「ほら、ほら、ほら、リズムよく動けよ」
しかし、いくら怒りで限界を忘れ耐えうる事が出来たとしても、限界は既に超えているのである。
その状態から更に耐えうる事ができる範囲などたかが知れている。
そして俺は今度こそ力を使い果たし、無様にも床に這いつくばってしまう。
「ふん、まぁこんなもんだろ。しかし感じているんじゃぁ無いのかね?甘美なる程の快感が身体中で感じてしまっている事にねっ!」
「………っ!」
「ふぅむ、無言は肯定と受け取っておこう」
悔しいのだが、このエルフの言う通りなのである。
そしてコイツに調教され早三か月、俺の身体は見事なまでに美しい筋肉美を手に入れていた。
今日は腹筋を重点的に扱かれたのだが、俺の身体が日に日に美しい筋肉が作られている様を見てしまうともっと鍛えたいという欲が出てしまう。
そしてヤ・ジュ―はそんな俺の葛藤を見抜いているのか、許可を得ず筋トレする事を奴隷の禁止項目にしている為、筋トレできない歯がゆさで頭がどうにかなってしまいそうである。
これが、あのエルフの精神攻撃なのか、と今更ながらその威力に屈服しそうなのをエルフに対する怒りでどうにか堪える。
そして俺の主であるヤ・ジュ―はカギを閉め満足そうに部屋から出ていくのであった。
◆
『くっ、あっ、はぁはぁ、くぅっ!もう無理だっ!』
『何だ、もう限界だなんて言わないよなあぁ?お前の身体はこんなにも喜んでいるというのに。相変わらずお前と違って身体は正直だな。やっぱり、君は素直じゃないな。俺が思った通りまだまだ耐えれているじゃぁないか』
『くっ!うっせぇーっ!!うぁっ!く、あっ!』
『ほら、ほら、ほら、リズムよく動けよ』
『ふん、まぁこんなもんだろ。しかし感じているんじゃぁ無いのかね?甘美なる程の快感が身体中で感じてしまっている事にねっ!』
『………っ!』
『ふぅむ、無言は肯定と受け取っておこう』
「あぁぁあああっ、なんで私は今隣の部屋にいないんでしょうかっ!?」
私は今日も隣の部屋から聞こえてくるお兄様とエルフとの言葉に悶え苦しんでいた。
それこそ、もうそろそろ目から血涙が出て来そうな程である。
あんな会話を毎日毎日聞かされているこっちの身にもなって欲しい。
そのせいで一目で良いから見させてほしいという欲求が日に日に増していっているのだ。
精神攻撃よりも体罰の方が嫌だと昔は思っていたのだけれど、今なら分かる。
体罰よりも精神攻撃の方が耐えられないと。
虐殺などとは違い体罰であるのならば捕まえた者が死なない様に粗悪品であったとしてもポーションを使用されて死なない程度には身体の受けたダメージを回復してくれるのだが、精神に受けたダメージはポーションでは回復しないのである。
これぞ正に心休まる日が無い、無限地獄である。
そして私は誓う。
いつかエルフに復讐をし、そして今まで私のお兄様へ行ってきた事を私の目の前で行ってもらうと。
プライドの高いエルフにとってその行為を見下している人間、しかも女性に見られるなど屈辱の極みであろう。
想像するだけでまた新たな扉が自分の中で開きそうになる事に気付けないまま、今日も私は妄想に耽るのであった。




