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転生悪役令嬢は闇の秘密結社を作る  作者: Crosis


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飼い犬であるペス

そう言いながらもホルンと呼ばれた男性は嬉しそうに鼻の上を掻く。


「さぁ、少し予定より早まってしまったのだが、最早十分過ぎる程の力を蓄えたと思っている。我々を世界に知らしめる為の最初の一手として、我々シャドウクロウをコケにしやがったブラックローズとやらを潰しに行くぞっ」

「あいあいさー」

「勿論ですとも。彼らには私の研究材料であり私のオモチャであった王国国王、ルーベルトを横から掻っ攫った事を心のそこから後悔させてあげようじゃぁないかねっ!!」

「了解」


そしてこのチームのリーダー格であろう男性が作戦の決行を宣言すると各々がバラバラの返事をするが、思う所は皆同じであり過去一番と言える程結束している事が伺える。


そして彼らは森林の中へと消えて行った。





「学生の皆様っ!!強大な魔獣が突如として現れましたっ!!コレより避難致しますので本館までお逃げ下さいっ!!また、今現在魔獣に対しては我々学園側が今回の合宿中護衛として予め雇っている高ランク冒険者達が討伐に当たっておりますのでご安心下さいっ!!ですので間違っても学生の方々が討伐しようなどとは決して思わないで下さいっ!!繰り返しますっ!!強大な魔獣が突如として───」


スキル【鷹の目】を使い確認した所、此処より五キロ程離れた場所で爆音がした場所には身の丈五メートルはあろうかと言う程の巨大な魔獣と五人もの冒険者が戦闘を繰り広げているのが見えた。


突然の出来事により周りは慌ただしく騒々しいのだが、皆様どこか少しだけ心に余裕があるのか、騒ぎ立てることもせず順番に避難場所に指定された本館へと移動していく。


やはりそこは帝国屈指の魔術学園、帝都マルギス学園の生徒であるという自負とプライド、そしてマルギス学園に対しての信頼があるのであろう。


「フランお嬢様………私、怖いです」

「あー、大きな音でしたものね。よしよし」


そしてわたくしはというとウルを此処ぞとばかりに撫でまくっていた。


あぁ、この感じは昔実家で飼っていた飼い犬であるペスを思い出しますわね。


ペスも雷や花火の音が苦手で、それらの音が聞こえて来る度に尻尾を巻いてわたくしの所へ来ては身体を擦り寄せていた事を思い出す。


まぁ、ウルは人狼族なのでどちらかというと犬よりかは狼なのだが、そこは些細な違いであろう。


しかし、ウルの尻尾がブンブンと振られているのは一体何故なのか。


わたくしに撫でられて怖いよりも嬉しいが勝ったとかでしたらいいなぁーなどと思いながらわたくしは何か違和感を感じ取る。


それは、こういう時に率先して騒ぎ出しそうなレオの声や、何時もであればわたくしの元へ駆けてくる親友であるミシェル様とリリアナ様、そしてシャルロッテさんやノア様の姿が見当たらないのである。


その事に気付いたわたくしは一気に血の気が引くと最悪の事態を想像してしまい立ち眩んでしまう。


「………ミシェル様?……リリアナ様?…シャルロッテ様っ!?ノア様っ!レオっ!!どこに行っておりますのっ!?」


しかし、やはり彼らからの返事は無い。


そしてわたくしは逸る気持ちを抑えてスキル【探索】を使い、この森林一帯を調べ上げる。


すると、わたくしの予想通り魔獣へ向かう青い点が五つ確認出来る。


「やっぱり………ですが、何故ミシェル様やリリアナ様まで………。っ、今はそんな疑問などよりも早く助けに行かなければ…………ん?何ですの?この真っ赤な四つの点は……個々のレベルも非常に高いですわね。この場合今回の化け物の件はコイツらが原因であると思って間違いなさそうですわね」


そこまで現在の状況を整理するとわたくしはいつ命令されても良いようにわたくしを真剣な表情で見つめてくるウルへ目線を向ける。


「ウル、あの化け物退治をお願いしても良いかしら?」

「畏まりました、フランお嬢様。あとお願いでは無く命令して頂ければ今よりもっとやる気が出るのですが?」

「あら、そうなの?」

「はい」

「ではウル、あの化け物を倒して来なさい」


赤い点一人ならば問題なくウルが勝つであろうが、四人ともなれば万が一の事も考えられる為、ウルには化け物退治の方をお願いするのだが、命令をして欲しいと言われて命令した瞬間、疾風の如き速さでウルは化け物まで駆けて行く。


お願いするよりも命令した方がやる気に満ち、尻尾扇風機もブンブンと風切り音が増す所もわたくしの前世での飼い犬であるペスとソックリで可愛いなぁーなどと思う。


「さて、強大化け物はウルに任せたとして、わたくしも仕事を致しますか。この日この時に空気も読まず合宿をぶち壊しにした、帝国に仇なすクソどもを、始末しに行きますか」





「な、なんだ?コレは………?結界?」

「こんな結界などぶち壊せば良いじゃねぇか。例えそれで敵に感知されたとしても返り討ちにしてやれば良い」

「それもそうだな」


我々の先頭を走っていたホルンが何かにぶつかった様な鈍い音とともに地面へ倒れた為急停止後辺りを調べてみればどうやらあの化け物を外に逃がさない為の結界により閉じ込められてしまったようである。

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