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勇者より最強な黒騎士  作者: 暁 桃香
皇太子巡礼編
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第38話 愚痴と二つの密会

第38話 愚痴と二つの密会





・『ブレスの酒場』とある個室


「たく、やっぱりお前も絡んでたのか、クロード」


 私は向かい側に座っている私服姿の親友に、顔を引きつらせながら言った。


 今私は、『ブレスの酒場』の店内にある個室に居る。


 この個室は、極秘な話をする際に使われる、言わば密会場というものだ。


 と言っても、店主が信用している人間しか使用できない為、犯罪になどのやましい事に使われる場所ではない。


 主に真っ当な企業取引に使われている。


 そうでなければ、私達兵士が動くことになるからな、店が潰れてしまう。


 密会場と言うだけあって窓は無く、防音設備が徹底されている。


 その為、今私は鎧を着ているが、アーメットは外している状態だ。


 なぜそんな場所を借りて、クロードと居るかというと、仕事の話もあるがそれだけじゃない。


「まぁな、極秘調査は俺の十八番で仕事だ。基本仕事場ではコンラットさんが見て、細かい所は俺が担当してたんだよ」


「細かい所ってなんだ!?」


 聞き捨てならない言葉に怒鳴る。


 数日前、陛下から私の監視を、コンラットに命令していたと聞き、あの場には宰相閣下と皇太子殿下がいたため言えなかったであろう、もう一人の協力者に確認する為に、ここ《・・》へ呼び出した。


 思った通りビンゴだった。


「そう怒鳴んなよ。何も心配していたのは陛下だけじゃないんだ。特にコンラットさんが一番心配してて、どうにか纏まった休みを取らせようと、陰で色々してたんだぞ? 結局休みにしようとした日に緊急任務が入ったり、会議に出席したりで失敗してたけど」


「え、マジ? まったく気が付かなかった」


「絶好調のお前なら、気付いていただろうよ。それだけ疲れているって事だろ」


 クロードに言われ、額を押さえて天井を見あげながら「そうかも」と呟く。


 自分の仕事をしながら、色々目を向けていたんだけど、どうやら疲れで鈍っているらしい。


「なぁ、団長の仕事ってそんなに忙しいのか?」


 頬杖をついて聞いてきたクロード。


 忙しいか、だって?


「兵士の訓練内容を月一回確認して修正したり、抜き打ちで実戦を想定した訓練内容を考えたり、議会で現在の治安や軍の状態を説明する為の資料作って出席したり、各村や町に派遣している兵士から送られる大量の報告書に目を通して、問題があれば隊長達を集めて対処方法を考えたり、任務から帰ってきた兵からの報告書や、騎士隊隊長としてと、帝国軍団長としての書類にサインしたり、皇族専属騎士として陛下と后様の護衛任務に、後それから」


「もういい!」


 淡々と仕事内容を語る私に、段々と顔を引きつらせていき、まだ続けようとする私に、片手で顔を覆いながら待ったをかける。


「はぁ~、そういえばお前、団長以外にも兼任してたな」


 今思い出したと、ため息を吐くクロード。


「一応これでも、私がやらなくてもいい仕事は部下に回して、どうしても私がしないといけない仕事だけやってるんだけど」


「その量で減ってんのかよ…」


「まぁね」


 今度は私が深いため息を吐いた。


 これだけやってよく体調を壊さなかったな。


「確かにいい機会かも、任務だけど書類から解放されるのは魅力的だし」


「なんで書類仕事だけ? 他にもめんどくさそうな仕事あるのに」


 私が言うと不思議そうな顔で聞いてきた。


 ああそうだ、こいつ書類とは無縁だから、ずっと座っている楽そうな仕事って思っているんだ。


「お前な書類仕事なめるなよ。文字がびっしりと並んだ紙に、目を通してサインしての単純作業に見えるだろうけどな、内容は頭に入れないといけないし、種類別にまとめないといけないし、毎日大量にあるから見ているうちに段々目が霞んでくるし、長時間同じ姿勢で座ってるから、体中カチコチに凝るし、はっきり言って体動かしている方が楽なんだよ!」


「お、おう。なんか悪かった」


 言っているうちに声を荒げて必死に言う私に、引きながら謝る。


 クロードの反応に、ハッと我に返り誤魔化すように咳払いをして、話を切り替える事にした。


「個人的な話はここまでにして、本題に入るぞ」


 私が言うとクロードの顔つきが変わる。


「今回の殿下の護衛任務、クロードも同行しろ」


「何となくそんな気はしていたが、一応理由を聞かせろ」


 仕事モードに切り替えたため、私が単刀直入に言った言葉に、理由を求めるクロード。


 これが普段通りの友達としての会話だったら、盛大なツッコミを入れられるけど。


 私は理由を答える。


「1つ目はこの任務は少人数行動で行う。殿下、私、クロード、それからあともう一人の四人での旅になる。表向きは聖堂での洗礼を目的としているが、実際は殿下の時期皇帝として成長させるのが目的だ。その為、贅沢とは無縁の旅路となる。もちろん戦闘になったら殿下も参戦することとなる。だから大人数ではなく少人数の四人だ」


「一つ目了解」


「2つ目、私の素顔を知っている事。普段の二、三日の任務ならともかく、今回は長期任務だ。何時かは素顔を公表するが、今はまだ時期じゃない。今現在で素顔を知っている人間以外は外させてもらう」


「宰相閣下や隊長達にもか?」


 クロードの質問に、頷く。


「まだ詳しくは話せないが、そうしなければならない理由がある」


 言った後私は顔をしかめる。


 できれば話したい。


 自分が異世界から勇者召喚に巻き込まれて、この世界に来た事。


 元の世界の神様に直接加護を貰っている事。


 後二年したら、勇者が召喚される事。


 本当は話したい事が沢山ある。


 でもそれは出来ない。


 何処で何が起こるかわからないからだ。


 例えば私が異世界人であることが、何の準備も出来ていない今バレたら?


 私の容姿がこの世界の人間とかけ離れた姿だとバレたら?


 間違いなく面倒事をこの帝国に運んでしまう。


 勇者である勇介が来る前に、魔族の進軍があるかもしれない。


 ただでさえ魔族から私は危険視されているんだ、余計な刺激を与えたくない。


 しばらく沈黙が続いた。


 数秒後、向かい側のクロードがため息を吐き。


「2つ目了解だ。俺もお前に言えていない事があるんだ、詮索なんて野暮なまねしねえよ。それに何時か話すって事は、一生黙っておくわけじゃねぇんだ。気長に待つし、そん時は俺の事も話す」


「え? 教えてくれるの?」


 私が話さない事を了承してくれた後、まさかの発言に驚く。


「当たり前だろ、お前が話さないって事はよっぽどの事だ。その秘密を話すって時は、相当の覚悟をした時だってことだろ? なら俺もお前に自分の事を話すさ。そん時には祝い酒しようぜ」


 にかっと笑ってそういったクロード。


 その言葉を聞いて、表情を見て私はほっとした。


「私が酒飲めないの知ってるだろ? でもそうだな、その時だけは飲める気がするな」


「ああ、そういう気分が良い時に飲む酒は上手いぞ!」


 そいつは楽しみだと、私達は笑う。


「さて、辛気臭い話はここまでだ。すまないクロード、続きを話す」


「別に、気にするな。で? 他の理由は?」


 互いに切り替えて、私は続きを話す。


「三つ目は、少人数で行動にあたって、確実に任務を遂行できる実力者が任務に就く必要がある。しかし私の事を知っている兵士の中で、少人数での任務は難しい。コンラットは団長の私が不在の時、代わりに軍をまとめてもらう必要がある。カイルには騎士隊の事を任せたい。他の兵士達は実力が低い訳ではないけど、コンラットとカイルに比べればまだまだだ。比べる相手を間違っていると分かっているが、殿下の護衛を決めるにあたって、やっぱり隊長クラスの実力が欲しい」


「三つ目了解。成程、そこで俺ってわけか」


 三つ目を言い終わって、クロードは自分が同行者に選ばれた理由を悟る。


「そういう事だ。クロードなら実力も申し分ない。1年半前の件で軍から、一般協力者として信頼され、陛下から正式に勲章も承っている。それにお前となら、任務の効率も格段に上がるしな」


 クロードとの連携しての戦闘は、大勢の一般人や兵士に目撃されているから、兵士達は納得する筈だ。


 何人かの議員には反対されると思うが、もう陛下と宰相閣下から了承してもらっている。


 この二人から許可が下りたらこっちのものだ。


「それから最後にもう一つ」


「ん? まだあるのか?」


 三つ目で終わりかと思っていたクロードが、キョトンとした表情で私を見る。


 最後の理由は、今後の為にそろそろと考えていた事だ。


「今回の任務で、殿下にお前を『帝国・隠密捜査官』として紹介する」


 目を見開いて驚き、「どういう事だ?」と聞いてくる。


「この旅が終わると言うことは、いつでも皇帝に即位できるようになった、という事だ。その為にお前の存在を知ってもらう必要がある。殿下と私達は年が近いから、その分長い付き合いになるだろう。今回の任務は殿下と交流するいい機会でもある」


「俺と皇太子殿下が、互いの事を知って、信頼関係を築かせる為にか?」


 クロードの言葉に頷いて肯定する。


「前から何時、殿下とお前を交流させるか考えていたんだ。でもなかなか機会がなくて、どうしたものか悩んでいたんだ。この任務、殿下にとっても、私にとっても、そしてクロードにとってもいい機会だって事だな」


 苦笑をしながら言う。


 よく考えたらこの任務、いい事尽くしだな。


 殿下は一時的避難になる、私は城から離れてリフレッシュ、クロードは殿下との交流。


 今の私達には必要な事ができる。


 仕事だが、今から出発するのが楽しみだ。


「さて、仕事の話はこれで終了だ」


 仕事関連の話を言い終えた私は、クロードの前にグラスを置き、ワインを注ぐ。


 私はノンアルコールカクテルの入ったグラスを持つ。


 それを見て微笑みを浮かべながら、クロ―ドもグラスを持つ。


「それじゃ、任務成功を祈願して」




――――「乾杯」




 二人で言って、いっきにあおる。


「はぁー! うまい!!」


「おっさんみたいだぞ」


 笑いながら言った私に、うるさいと笑いながら返すクロード。


 この後、楽しい飲み会が始まった。





「そういえば、もう一人の同行者って誰だ?」


「アリスだ」


「……は?」





**********





・皇太子自室


「コンラット、何時チエに告白するんだ?」


「っ!? ゲホッ!!」


 殿下に言われた言葉に、侍女が持ってきた紅茶が気管に入り咽る。


 何故俺が殿下の自室に居るかと言うと、まぁ単純に呼ばれたからだ。


 なにか相談だろうかと思ったが、まさかそれを言われるとは。


「い、いきなり何ですか?」


 咳が収まってきて、ようやく話せるようになり、顔を引きつらせながら問う。


「いきなりじゃないさ、お前がチエに恋をしていると自覚してもう一年だぞ? 互いに忙しいのは知っているが、それでもそろそろ進展してもいい頃だ」


 殿下の言葉に押し黙ってしまう。


 一年前、俺は殿下と姫に呼び出され、




――――「コンラット、あなたチエに恋してるでしょ?」




 と、姫に唐突に言われた。


 はじめは何を言っているのかと思ったが。


 団長を見ている時の俺の表情、明らかな周りとの態度の違い、何かと目線が団長を見ているなど、色々たとえを上げられた。


 そして姫に




――――「チエを見ている時、可愛いとか、そばにいて心地が良いとか、ずっとそばに居たいって、思ったことないかしら?」




 と言われ、俺は固まった。


 すべて思った事がある。


 そんな俺を見て、今度は殿下が




――――「コンラット、お前チエに寄って来るご令嬢達を見ている時の自分の顔、分かっているか? 眉間に皺をよせ不機嫌丸出しの表情だ。それにエレーネがさっき言った例えの感情、その反応からして覚えがあるんだな? ただの上司に対して、そんな感情普通抱かないんじゃないのか?」




 思い返してみろと言われ、その場で思考を巡らせる。


 団長は、俺の憧れで、尊敬できる上司だ。


 でも、それだけか?


 殿下の言う通り、いくら尊敬する上司でも、可愛いと、そばに居たいと思うか?


 熱のこもった目で団長を見るご令嬢達を見て、不機嫌になるのか?


 なんだ感情は?


 いくら何でも上司に対しておかしいだろう!?


 俺はどうしたんだ!?


 混乱する俺に落ち着くように殿下が言い、そして俺が自覚する決め手の言葉を言った。




――――「コンラット、尊敬していると言えど、さっき上げた感情はただの上司には抱かない。熱のこもった視線を送っている誰かを見て、不機嫌にはならない。そんな感情を抱くのは、恋している相手にだけだ」




 殿下の言葉に衝撃を受け、今までのこの感情が恋からくるものだと、ようやく理解でき、自覚したとたん顔が熱くなった。


 今まで恋愛感情を抱いた事がない俺が、初めて恋を知った。


 俺は団長に色目を向ける奴らを見ると気分が悪くなる。


 それは嫉妬だった。


 俺は団長が近くにいると、心が安らぐし、団長は頼もしいと思うと同時に可愛らしく見える。


 今まで付き合ってきた女達には、一度も抱いたことがない。


 俺は団長に恋していたんだ。


 俺が自覚したと理解した殿下と姫は、それはもう呆れた表情で俺を見ていた。


 その後家に帰り、アリスに言うと、




――――「はぁ~、ようやく自覚しましたか兄上」




 ため息を吐いて、やれやれと言われた。


 次に、クロードに報告したら、




――――「え!? コンラットさん、自覚して無かったんですか!?」




 と、心の底から驚かれた。


 どうやら、俺が自覚して無いだけで、周りには気付かれていたらしい。


 自覚してから今までの俺の行動を思い浮かべ、鈍すぎるにも程があると頭を抱えた。


 こんな感じで、俺が団長に恋心を抱いていると、自覚したのは今から一年前。


 自覚したからと言って、何か変わったかと言われれば、そうでもない。


 はじめは、どういう顔をして団長に会えばいいのか悩んだが、基本団長はアーメットをかぶって素顔を見せないのもあり、思ったよりも平常心でいられた。


 素顔の時は流石に『ドキッ』とするが、表に出さずに普通に接している。


 そんな状態が一年。


 流石に痺れを切らしたらしく、今日殿下に呼び出された、と言う訳だ。


「コンラット、来週チエと私は共に、暫く城を留守にするのだぞ? 私達の同行にはクロードと言う男とアリスがつく。アリスはともかく、もう一人の男は何かとチエと共にいることが多いと聞いた。チエが女だと知っているらしいが、心配にはならないのか?」


 殿下が心配そうに言ったが、俺は絶対ないと確信している。


 どうやら殿下は少し勘違いをしているようだ。


「お言葉ですが殿下、それは絶対にございません。勘違いです」


 苦笑しながら言った言葉に、眉を寄せて首をかしげる。


「勘違い?」


「はい、あの男は団長の親友で、恋心を抱いている相手は、自分の妹のアリスです」


 流石に驚いたのか、俺の言葉に目をパチパチさせる殿下。


「そ、そうなのか?」


「はい、ですのでその心配は杞憂です」


 勘違いだとわかり、力が抜けた殿下が「なんだ、そうだったのか」と呟く。


 だが「ん?」と一瞬顔を顰め、俺を見る。


「コンラット、お前他人の恋愛は見抜いていたのに、自分の事は全く気が付かなかったのか?」


 殿下の言葉に、思わず顔をそむけてしまった。


「あ、その、あの時まで恋愛感情という物を理解できなかったもので…」


 俺がそう言うと、呆れた顔で見てきた。


 深いため息を吐き、殿下が言う。


「私もエレーネも、チエは姉のような存在で、幸せになってほしいんだ。それが出来るのはお前しかいないと思っている。父上も母上も、いずれはお前との婚約を考えているのだぞ? しかし、コンラット自身が行動しなければ話を進められない。私達皇族が動けば強制になってしまうからな。だから、早く告白して恋人同士になれ」


 腕を組んで、早く行動を起こせという殿下。


 殿下の言い分はもっともだ。


 これは俺自身の事で、俺が動かなければならない。


 しかし、婚約とはどういう事だ?


「あの婚約って…」


「いった通りだぞ? お前は今年で26歳だったな。そろそろ結婚を考えるべきだ。しかしさっきも言ったように、コンラットが行動を起こさない限り、チエにこの話は持ち掛けない。幸せになってほしい姉に強制したくないからな」


 当然だろと言う殿下。


 なんというか、皇族一家は団長を家臣として見ていないだろ。


 俺だけしか知らない事だが、彼らは団長を娘や姉のように思っている。


 陛下や后様は、団長をどうにか女性に戻れる時間を作ろうとし、殿下と姫は、彼らが二人だけの時、団長を姉上、お姉さまと呼んでいるらしい。


 表立って行える事ではない為、本人にすら内緒だが。


何故俺は知っているのかと言うと、殿下が俺と居る時、間違って団長を『姉上』と言った事があり、顔を真っ赤にしながら説明してくれたから。


 殿下曰く




――――「チエのような頼りになる、姉上か兄上に昔から憧れていたんだ」




 と言う事らしい。


 その時の殿下は子供っぽく見え、微笑ましかった。


 そんな風に思っている皇族一家が、団長の幸せを願うのは当然だった。


 クロードが同行者と聞き、勘違いで焦った為、旅立つ前に俺に告白させようと、今日俺は呼び出されたのだ。


 しかし、告白するにしてもな…。


「殿下、たとえ自分が告白しても、団長がその気でなければ意味がありません」


「うむ、それは私も考えていたのだ。姉上がコンラットをどう思っているのか」


「…殿下、自分の前ならいいですが、呼び方が『姉上』になっています」


 俺が指摘すれば、少し頬を赤らめ、咳払いをして話を続ける。


「しかし、それでも気持ちを打ち上げるべきではないか? 行動しなければ結局同じ事だろ?」


 殿下の言葉にまったくだと自分でも思う。


 妹のアリスと一つしか違わない年下の殿下に、指摘されるとは。


 今までの人生でここまで悩む事は初めてだ。


 恋愛とはこうも難しい事だったのだな。


「…つかぬ事を聞くが、アリスとクロードと言う男は、コンラットがチエに抱いている感情を知っているのか?」


 少し考えるしぐさをした殿下が問いかけてくる。


「はい、アリスには自覚したその日に、クロードには次の日に報告しました」


 二人には呆れた顔をさせてしまいました、と言うと「だろうな」と返ってきた。


「(となれば、二人から見た姉上とコンラットについて聞くチャンスだな。二人も気が付いているようだから、協力を得られるかも)」


「あの、殿下?」


 黙って考えだした殿下に、どうしたのかと声をかける。


 殿下はにっこりと笑い。


「いや、何でもない。悪かったな、どうやら私の杞憂だったようだ。この話はまた改めてするとしよう(思わぬところで戦力の補充が出来そうだ)」


 もう下がっていいを言われ、俺は退出した。


 最後に見た殿下の笑顔。


 あれは『良いことを思いついた』や、『思わぬ収穫があった』時に殿下がする顔だった。


 何をするつもりですか殿下…。






To be continued


第38話をお送りしました。

前回の話で皆様からの感想に、クリス皇太子の智慧への感情が恋愛だと思った方々、申し訳ございません。

彼が智慧に抱いている感情は信頼する、姉に対するものです。

具体的にどうしてこういう感情を抱くようになったかは、本編に書いていきます。

今回も楽しんでいただけましたでしょうか?

次回もよろしくお願いいたします。


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