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勇者より最強な黒騎士  作者: 暁 桃香
黒騎士誕生編
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第13話 乗馬と刺客

第13話 乗馬と刺客





「ハヤテ! 出かけるよ!」


 情報屋、アーロンさんから情報を受けて早1週間。


 休暇の私はハヤテの居る馬小屋に来ていた。


「ブルルルッ!」


 嬉しそうにしているハヤテ。


 この3週間、仕事が終わり夕飯までは、ハヤテと過ごす時間はあったけど、偶にはハヤテに乗って思いっきり走ろうと思い、都の外へ乗馬をする事にした。


 馬小屋からハヤテを出し、城門前まで誘導する。


「それでは黒騎士様、行ってらっしゃいませ」


「あの事は引き続き、監視しておきます。今日は羽を伸ばしてきて下さい」


 見送りに来たコンラットとアリス。


 彼らの言葉を聞いて頷き、馬具を装備したハヤテに乗る。


「分かった。行くよハヤテ!」


 ハヤテに乗って都の外に駆けて行った。







・街道


 快調に駆けるハヤテ。


 先刻から、街道を通っている人達を一瞬で追い抜いて行っている。


 中には馬に乗っている人もいたけど、同様に追い抜く。


 オートバイで高速道路走る時ってこんな感じなのかなと、のんきな事を考えた。






・とある湖


「よっと」


 私達は目的地に到着し、ハヤテから下馬した。


 ここは私が初めてこの世界に足を踏み入れた場所であり、ハヤテと出会った思い出の場所だ。


 この世界に来て早3週間。


 徐々に事件解決まで進んでいる。


 前回アーロンさんから貰った情報で、闇ギルドの本拠地を見つけることが出来、部下に見張らせている。


 もしかしたら誰かと接触する可能性を考え、泳がせる方が良いと言う結論を出したからだ。


 何れは殲滅するけど、今はその時ではない。


 それともう一つ教えてもらったんだけど、これが厄介なんだよな…。


 まぁ、とりあえず!


「う~ん、今日はのんびりしよ~」


 鎧を着けたままの状態で、その場に座り込む。


 偶にはこんな日があってもいいでしょう。


 余り根を詰めると碌な事無いし、休めるときは確り休む。


 それが斎藤家の教えだ。


 横に居るハヤテは、私の膝に頭を乗せリラックスしている。


 私鎧着てるけど、痛くないのかな?


 それにしても、本当に此処はのどかだ。


 近くに魔物の気配は全く無く、聞こえるのは鳥の声と風に揺れる木々の音。


 初めてこの場所に来た時もそうだったな。


 普通は何処からか魔物の気配がするけど、此処ではそれが無い。


 のどかなのは良いけど、そう思うと何処か不自然だ。


 私が此処に来た事と何か関係があるのかな?


「ヴ~………ん?」




――――ガサガサ




 考える事に夢中で唸っていると、周囲の彼方此方から茂みを掻きわける音がする。


 でもこの気配、魔物みたいな禍々しいものじゃない。


 人間とも普通の動物の気配とも違う。


 何て言うか、ハヤテに………てっ、この気配!!




――――ガサガサ




 音が段々近づいてくる。


 そして、茂みから出てきたのは。


「……一角獣ユニコーン……」


 全身真っ白な一角獣ユニコーン達だった。





 茂みから出てきた一角獣ユニコーン達。


 彼等は湖の周りで寛いでいた。


 見渡す限りの白白白。


 そんな中に黒が2つ。


 ハヤテは気にしていないみたいだけど、私はかなり違和感があった。


 そう言えば、知識の中にあったな。


 一角獣ユニコーンの聖地って言うのが。


 分かりやすく言えば、一角獣ユニコーンが集まる場所だ。


 一角獣ユニコーンはなかなか人前には姿を現さないが、この世界のいたるところに存在する清らかな場所に集まり生息している。


 その一つが此処だ。


 だからこの場所には魔物がおらず、のどかなのだ。


 たぶん私が初めて来た時は警戒して、ハヤテ以外出てこなかったのだろう。


 今日は初めだけ警戒されたみたいだけど、ハヤテが私にベッタリしているのを見て、大丈夫と判断したんだと思う。


 それにしても眩しいくらい白いな……。


 日の光が反射して余計に眩しいよ。


「なんか、ハヤテが黒くて良かった」


 一瞬、白い一角獣ユニコーンに乗った、真っ黒な鎧の私を想像した。


 何この白黒、変なんですけど。


 物凄い違和感を感じ、黒が一番だと思う私だった。






・夕方・帰り道の街道


 帰りはゆっくり歩くハヤテ。


 いや~、今日は色んな意味で、凄い光景を見てしまった。


 今日見たあの場所の事は誰にも話さないでおこ。


 もしかしたら無理やり捕まえようとする、密猟者や盗賊が荒らしてしまうかもしれない。


 それにあの場所にはまた行きたい。


 光景はともかく、のんびりできる所だ。


「ハヤテ、また行こうね」


 私は男の声で言った。


「ブルル!」


 ハヤテも嬉しそうに鳴く。


 よし! この事件が終わったら、また行こ!


 そのためにも……。


「そこに隠れている奴、そろそろ出てきたらどうだ?」


 先刻から感じていた殺気がする方を向いて声をかけた。


 それと同時にハヤテの足も止まる。




――――ザッ!




――――トスッ!




 森の木々に隠れていた人物が跳躍して私達の前に降り立つ。


「アサシンか?」


 目の前に現れたのは、濃い金色の短髪に青く鋭い目。


 黒く長いスカーフで鼻まで覆い隠し、後ろで縛って余った布は垂らしている。


 服装は黒いシャツの上に黒いロングコート、同じく黒の革のパンツに黒のハニーブーツ。


 指が露出するタイプの黒い手袋をしている。


 身長は170から175クアメイト位の若い男だ。


 アサシンらしい格好なのだけど、この時間にその全身真っ黒は滅茶苦茶目立ってる事は言はないでおこう。


 私もそうだから。


「………」


 ずっと黙ったまま、私を睨みつける。


 ハヤテから降りて、警戒しているハヤテを後ろに下がらせる。


 私は腰の朔夜に手をかけ、相手の出方を見る。


 一見武器を持っていないように見えるが、こう言う奴はコートで隠している。


 それも大量の刃物類を。


「一応確認しておく」


 静かな声でアサシンが言う。


「お前が……黒騎士か?」


 分かっているようだが、確認してきた。


 携帯小説では良くこう言う場面で、主人公が空気をぶち壊す事が多いけど、現実的に考えてアレは通用する訳が無い。


 それに私は、ふざけはするが空気は読む。


 あの勇介バカとは違って。


「そうだとしたら?」


 よって、真面目に答えた。


「仕事だ………殺す」


 言うと同時に一瞬で右手にダガー持ち、私に向かって駆けてきた。


 私は素早く抜いた朔夜で受け止める。


「ほぉ…」


「一つ聞く。アンタの雇い主は誰だ?」


 私が受け止めた事に感心した様子を見せるアサシンに問う。


「教えると思うか?」


「だろう、な!」


 予想していた言葉が返ってきた。


 私はアサシンを押し、切りかかる。


 アサシンは右手で持つダガーを逆手に持ち、私の攻撃を防ぐ。


 動きが早い。


 オーガの時と違い、考えて打ちこむ人間の動きに、いくら魔王と互角に闘える力があると言っても、実戦経験の無い私は苦戦していた。


 アホ剣士達の時は、相手が頭に血が上っていたり、私を嘗めていたから隙をつく事が出来た。


 でも、今は違う。


 本物の殺し合いだ!


 アサシンが私と距離を取り小さい30クアメイト位の矢・・・ダート を3本同時に左手で投げてきた。


 私は一振りでダートを弾く。


 しかしそれを読んでいたアサシンは、素早く私の懐に入り込もうとした。


 私は右に移動して攻撃を回避し、横一文字に朔夜を振る。


 アサシンは素早く跳躍し朔夜を避ける。


 空中で器用に体制を変え、落下のスピードを利用してダガーを振り下す。


 振り下ろされたダガーを朔夜で受け止めると大きな音が鳴り響いた。


 互いに押し合いながら兜越しに睨みあう。


「鎧着ている割には、随分動きが早いんだな」


「そりゃどうも。アンタはアサシンの割にはよく喋るな」


「久しぶりに手応えのある標的に会えて、興奮してんだよ」


「そう言ってもらえると、光栄だ!」


 私がアサシンを押し返すと、高速で剣をぶつけ合う。


 辺りには金属のぶつかり合う音が響く。


 暫くぶつけ合いを続けて、同時に後ろに下がった。


 数秒睨み合い、私は朔夜を鞘に納める。


「? どう言うつもりだ?」


「次で終わらせようと思ってな」


 そう言って、左足を後ろに引き姿勢を低くする。


 左手で鞘を押さえ、右手を添える。


「フゥ~…」


 息を深く吐き、精神を集中する。


「!? ……」


 無意識に危険を察知したのだろう。


 相手も何時でも攻撃に移れるように構える。


 私が今からやろうとしているのは、有名な抜刀術だ。


 私が、日本刀好きになった切っ掛けの技。


 鞘から抜き放つ動作で一太刀を与えるか、攻撃を受け流し二の太刀で止めを刺す形だ。


 日本の武芸十八般ぶげいじゅうはっぱんの一つである。


 私の中では、刀の技の中で一番の技だ。


 それを今からやろうとしている。


 私は本気を出す。


 今目の前に居るアサシンを殺す為に。


 どの道、今回殺さなくても近い内に私は、人間を殺す事になる。


 軍に入っている人間なら尚更だ。


 その日が今日になるだけの話。


 怖くないと言えばウソになる。


 でも、覚悟はとっくに決めている。


 暫く、木々の擦れる音だけが響いた。


「「………」」


 睨み合いが続き


 私とアサシンは同時に踏み込む。


 朔夜を抜きかけたその時


「「!?」」


 周囲から嫌な気配を感じ取った私達は攻撃を中止し、急ブレーキをかける。


 互いにすれ違い背中合わせで周囲を見る。


 お互い闘っている暇ではないと感じ取ったからだ。


「「!」」


 強い気配を感じ取り、アサシンがダートを木の中へ向けて投げる。


「よっと、アブね」


 ダートが投げられた所から飛び出してきたのは、見覚えのある者。


「お前ガルド!」


 銀色の毛に覆われた身体にオオカミの頭、赤いスケイルアーマーを着けたウェアウルフ、『炎の牙』ガルドだった。


「よお、黒騎士。久しぶり」


「………相変わらず、なれなれしいな」


 私とアサシンはガルドを睨み警戒する。


 コイツは以前、皇族やコンラット達にオーガを嗾けた張本人だ。


 今回私の前に現れたのも絶対何かある。


情無つれないな~……まぁ良いか、今回の狙いはアンタだけだ」




――――パチッ!




 ニヤリと笑って指を鳴らしたガルド。


 すると




――――ガサガサ




 周囲から緑色の肌に頭には二本の角。


 牙は鋭く、剥き出しになっている。


 身長低く130クアメイト位。


 腰にボロ布を巻きつけ、手には身長と同じくらいの、こん棒を持っている。


 初級モンスター『ゴブリン』。


 一匹はそんなに大した事なく、軍の任務でも新人が相手にする様な小物だ。


 確かギルドでも低いランクの任務だった。


 しかし、今いるゴブリンの数は半端じゃなかった。


 私とアサシンはゴブリンの大群に取り囲まれていた。


「ホントはさぁ、お互いに潰し合ってくれたら良かったんだけど、気付かれちまったし。あいつにも、そこのアサシンを始末するように言われてんだよ」


 アイツとは誰の事か分からないが、


「アンタ、捨て駒にされたみたいだな」


 背中合わせで構えながら、アサシンに言う。


「………どうやらそのようだ」


 アサシンもダガーを構えて頷いた。


 私も災難だけど、彼も災難だ。


「雑魚でも此処まで集まれば、上級モンスターに匹敵する。せいぜい頑張りな! 」


 そう言って、あっという間に姿を消したガルド。


 気配を探しても何処にもいなかった。


 残ったのはゴブリンの大群と私達。


「………俺達が争う理由がなくなったようだ」


「そうだね。此処は、共同戦線と行くか!」


 私達は互いの意思を確認し、同時にゴブリンの大群へと駆けだした。





・数分後


「おらぁ!」


「グギャァァァァ! 」


 最後の一匹を切り殺し、周りには大量のゴブリンの屍骸しがいが転がっていた。


 朔夜を鞘に納め、途中から参戦していたハヤテが近づいてきた。


 一緒にアサシンの元へ向かう。


「お疲れ。アンタも災難だったな」


「……全くだ」


 鼻から下が隠れているが、目を見てウンザリしているのが分かる。


「アンタ、闇ギルドの一人か?」


 私は確認のため聞く。


「ああ。今回アンタの暗殺任務を受けたんだが、とんでもない奴相手にしてたみたいだな俺」


 若干顔を引きつらせた様子のアサシン。


 おそらくゴブリン相手に、容赦なく相手にしていたのを見たからだ。


 アサシンを相手にしていた時は、上手く本気を出せなかったから、その時と比べて驚いたみたい。


「さて、アンタは俺を捕まえるのか?」


 アサシンが服に付いた汚れを落としながら聞く。


 確かに、犯罪集団の闇ギルドに所属している者を、軍の人間は逮捕する義務がある。


 でもな~ぁ。


「ここで捕まらなかったら、アンタどうなるの?」


 疑問に思っていた事を聞く。


 闇ギルドはハッキリ言って碌でもない集まりだ。


 でもこのアサシンは、何処か違うような気がしてならない。


 そんな彼が今後どうするのかが気になったのだ。


「別に。ただギルドのペナルティーを科せられるのは確かだろう。中には死ぬ奴も居たっけ」


 平然と私に背を向けてそう言ったけど、なんだかな~。


 ………。


 駄目だコイツほっとけん。


「おい、アンタうちに来ないか?」


「………はぁっ!?」


 突拍子も無い言葉を言ったら、アサシンが目を見開いて声を上げた。


「アンタ馬鹿か!? 俺はアンタの命を狙って来たんだ! そんな奴を普通勧誘するか!?」


「………五月蠅いなぁ。良いだろ別に。ただアンタが、ほっとけなくなっただけだ」


 その言葉に顔を顰めるアサシン。


 確かに、自分でもとんでもない事を言っていると思うけど。


「先刻、一緒にゴブリン倒したんだ。もう敵じゃないし、争う理由もない! 確かに私はアンタを捕まえる義務はあるけど、そんなことしたらアンタ死刑決定だ。今まで何人も殺してきたのかも知れないけどな、背中を預けた以上、アンタは捕まえたくない!だからうちに誘ってんだよ!」


 言ってて無茶苦茶だと思うけど、これが本音だ!


「……アンタ変わってんな」


「私はいたって普通だ」


 アサシンの言葉に言葉を返す。


 沈黙が流れてしまった。


 しかし嫌な沈黙では無かった。


 沈黙の後


「「プッ」」


 何故かそんなやり取りが可笑しくなって


「「アハハハハハッ!」」


 二人でお腹を抱えて笑った。






・数日後。智慧、寝室兼仕事部屋




――――バンッ!




――――ビシュッ!




――――ガシッ!




「………行き成り何するの、クロード」


 私が仕事机で書類整備をしていた時、突然窓が開きダートが飛んできた。


 それを余裕でキャッチした後、投げた張本人をジト目で見ながら言った。




――――バン!




「そりゃ、こっちのセリフだチエ! あんなヤバい所に忍び込まさせやがって!!」


 ダートを投げた黒尽くめのアサシン……クロード・オルグレンが窓を勢いよく閉め、怒鳴りながら言った。


 現在お互いに素顔だ。


 数日前、彼を軍へスカウトし、見事私の部下になった。


 正確に言えばまだ仮だけど。


 その時にお互いの顔や名前、年齢も明かした。


 私が女だって知った時は凄く驚いた様子だったけど、同じ年齢と知った時はお互いにもっと驚いた。


 それから色々話す内に、互いを名前で呼ぶようになっていた。


 上司と部下と言うのは建前で、友達と言い合えるほどの中になった。


「………た、隊長。彼は?」


 行き成り現れたクロードと、彼と親しげに話す私に驚いた状況で付いてこれていない、書類処理中のコンラット。


「ごめんコンラット。紹介する、彼はクロード・オルグレン。こないだ話した隠密の」


「ああ! お前がそうなのか……」


 コンラットは感心したようにクロードを見た。


 クロードをスカウトした次の日、コンラットとアリスにだけ彼の事を話した。


 初めは心配そうにしていたけど、背中を預け合ってゴブリンを討伐した事を話せばすっかり安心した様子だった。


 元闇ギルドのアサシンで、初めに殺し合いをした事は言わなくて良かった。


 じゃないと、クロードの身が危険だ。


「クロード、彼はコンラット・エイデン。私の直属の部下で騎士副隊長だ」


「ああ、『最強の騎士』って言われてた」


 クロードはコンラットの名前は知っていたみたい。


 当然か、コンラット有名だし。


「よろしく、コンラットと呼んでくれ」


「こちらこそ、クロードって呼んでください」


 コンラットがガントレットを外し、右手を差し出す。


 それに手袋を外して答えるクロード。


 良かった、この二人仲良くなれそう。


「っとそうだ! チエ! お前の言われた通り、例の裏町にある廃墟に忍び込んだが、何だアレ!? 胸糞悪いにも程があるだろう!?」


 元闇ギルドのアサシンとは思えない発言。


 だからこそ、ほおっておけなかったんだけど。


「良いでしょ別に。その為にアンタにお願いしたんだから」


 そう言って、やれやれと思う。


 スカウトを受けてくれてすぐ私は彼に、ある場所に忍び込んでもらう様にお願いした。


 その場所とはアーロンさんのもう一つの情報、裏町の人間でも近づこうとしない廃墟に怪しい集団が出入りしていると言う情報だ。


 さっそく調査しようと思ったけど困った事に、この軍には隠密行動に適した人間が居なかった。


 長剣や槍、打撃武器を扱うのは、慣れない建物の中では不利になる可能性があるし、弓矢は論外。


 魔導師の魔法で姿を隠す事は出来るが、相手にも魔導師が居たら、すぐにばれてしまう可能性がある。


 そこで戦闘の時に見た身軽さを見込んで、クロードに頼んだのだ。


 結果は


「アレって奴隷オークションだろ!? 噂には聞いてたけど、マジで見ると気分悪くなった!!」


 大当たりだった。


「有難うクロード。これで後は現場を押さえるだけだ」


「悪かったな、感謝する」


 クロードにお礼を言う私達。


「……今度酒おごれ」


「……私は飲まないよ」


 照れくさそうに言ったクロード。


 お酒は飲まない事を言っておく。


 本当はお酒なんて見たくもないです。




――――コンコン




 部屋のドアがノックされ、私は兜をかぶり、クロードが部屋の奥に隠れる。


 彼の存在を気付かれる訳にはいかない。


 コンラットがドアを開けると、そこに居たのはアリスだった。


 それにホッとして、兜を外す。


「只今戻りました」


「お疲れ、学校どうだった?」


「何時も通りでした」


 学校から戻ってきたアリスが、ニッコリとして言った。


 アリスは午前中から午後2時まで、使用人学校の中等部に通っている。


 つまり、学校に行きながらにして就職しているのだ。


 日本では、アルバイトをしながら学校に行く人はいたけど、就職している人はまず居ない。


 改めてアリスは凄いなと思う。


 ……色んな意味で。


「クロード、出てきて大丈夫だよ」


 私は奥に隠れたクロードを呼ぶ。


 ホッとした顔をして出てきた。


「アリス、彼がこの間話した、クロード・オルグレン」


 私はクロードを紹介する。


「まぁ! 貴方が。はじめまして、オルグレンさん。私は黒騎士様に仕えている、侍女のアリス・エイデンです。以後お見知りおきを」


 礼儀正しく挨拶をするアリス。


「ああ、俺は……っ!?」


 クロードが固まった。


 それもアリスの顔を見て。


「? どうかなさいましたか?」


「い、いや! そんな別に……」


 何故か顔を真っ赤にして、あたふたしている。


 はは~ん、成程。


 アリスは可愛いからねぇ。


「……アイツ苦労するだろうな…」


 コンラットも気が付いたようだ。


 でも心配なのは妹ではなく、クロードの方らしい。


 その気持ち分かるよ。


「クロード、とんでもない侍女に恋しちゃったね」


「まぁ、俺達は出来るだけ応援してやりましょう」


 苦笑いを浮かべながら、クロードとアリスを見ていた私達。


 クロードとの出会いは最悪だったけど、初めてこの世界に来て出来た友達だ。


 相談には乗ってあげるよ。





To be continued

あとがき


第13話お送りしました!


前回出てきた情報は2つありました。


今回はそれを調べるための、隠密キャラとの出会いのお話でした。


これでメインキャラは全て出しました!


今後の展開をお楽しみください!

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