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16.魔法の研究、始めました

しおりを挟んでいる方には分かりづらいとご指摘を受けまして……。

14話、謝って数話先のを投稿してしまっていたため、差し替えさせていただきました。いきなり話が飛んで皆様、混乱したことと思います。申し訳ございません。

また、配慮が足りず、ご指摘を頂くまで気づくことができなかったことも謝罪申し上げます。

教えてくださった方、ありがとうございました!

 お茶会はその後、私の回復祝いとヴィクターの脱・引きこもり祝いをしよう、なんて方向にシフトした。浮かれた楽しいこと大好きエル先生が、領を挙げてお祝いしよう、なんて言いだした時には驚きすぎて息の仕方を忘れた。勿論、丁重にお断りさせて頂いた。

 あまりに恥ずかしいし、何より領民の皆様も領主の娘の回復祝いだなんてつまらないだろう。貴族の戯れで大事な時間を割かないといけないなんて、と言われてもしょうがない状況になってしまう。


 エル先生が口を尖らせていたが、祝うよりも先に今後の生活に慣れる方が優先だと思う、とそれらしいことを言えば納得してくれた。

 全く…良くも悪くもマイペースな人だ。

 そんな感じでみんなでワイワイ話をして、尋問から始まったお茶会は割とほのぼのと終わりを告げた。


 そして、お茶会の翌日からわたくしの編み出した…らしい、『義肢魔法(仮)』(エル先生命名)の検証が始まった。お父さまとお母さま、それから万一に備えてエル先生の監視の元で、だけれど。魔法使う時に大人三人からジッと凝視されんの、すっっごいやりづらいんですけど!!


 そんな検証を繰り返すこと数回。いくつか分かったことがある。


 一つ。魔法の発動時間は30分〜1時間。差が結構あるしランダムだけど、大体その時間の中だけ。多少、無理をすれば2時間いける。


 二つ。一度発動したら2、3日のインターバルが必要。正確に言えば足の痛みがなくなってから更に1日が必要になる。痛みがなくなったその日に使えないこともないが、発動時間が15分しか無い上に産まれたての子鹿状態で全く動けない。無理して2時間発動した時は4日ほどかかる。


 三つ。使用後すぐに治癒魔法をかければインターバルの短縮ができる。初級だけど痛みがマシになれば、とお母さまが治癒魔法を施してくれたことで発覚。正直、初級とは言え治癒魔法を使えるお母さまの方に驚いたよ。


 四つ。身体強化を使って運動能力を底上げしてるからか、普段なら絶対できないであろう動きが可能。剣術の先生から一本取ることや、屋敷の屋根に登ることができた。屋敷の屋根にお兄さまに案内された時は正直ビビった。お兄さま、そこまでして逃亡したかったのか。それと剣術の先生、ズルしてしまっごめんなさい。


 ……ザックリといえばそんなところだろうか。まだまだあるにはあるけれど、今回は割愛させてもらう。

幾つかの発見があり、わたくしが思ったことはただ一つ。この魔法、とんでもなく使い勝手が悪い!!誰だ、魔法って便利!とか言ったの!!わたくしだ!!

 だけどお母さま曰く、この不便さにも理由があるらしい。


 本来、魔法と言うのは魔法陣を構築して対象に魔力を干渉させることで発動するからしい。その為に必要なのが、より多くの知識による構築式というもの。この構築式というものを元に魔力を操って描くのが魔法陣。

 建設現場に例えるなら、構築式が設計図。魔力は人。陣は重機、魔法が建築物、と言ったところか。

 で、基礎魔法に使われる魔法陣というのが簡単すぎる。円の中に五芒星でも描いておけばそれで完成。構築式?1+1=2くらいのレベルですが何か?

 そんな単純な陣を組み合わせて中級魔法レベルのものを発動させてしまったから、制約は多いわ反動はでかいわ、なんだそう。

 そこで、お母さまの提案により、この『義肢魔法(仮)』の構築式を確立させてしまおう、ということになったのだ。


 お陰で最近は習い事が、剣術、馬術、ダンスが減った代わりとでも言うように魔法に割く時間が増えていた。魔法を教えてくださっている先生には『義肢魔法(仮)』の構築式を作るのも手伝ってもらっている。公務で忙しいお父さまとお母さまには、あまり時間が取れないから少しだけアドバイスを頂いている状況。ありがたやー。

 ある程度検証が終わった今、インターバルの間は構築式の研究、検証時に試す、と言う形だ。


 この魔法を学ぶということ。これがなかなかどうして面白い。構築式がただの数字の羅列じゃなくて詩のような部分もあるから、歴史学や言語学と結び付けて考えると更に楽しいこともあって他の勉強も捗る捗る。

 家庭教師の先生方曰く、怒涛の勢いで授業を進めるわたくしに触発されたのか、お兄さまのやる気も上がっているらしい。何故かものすごく感謝された。ヴィクターもわたくしの真似をして少しずつ絵本を読むようになってきた。

 良く分からないが、わたくしの行動が周囲に良い影響を与えているようで良かった。



「に、しても……ここが本当に分からないのよね…」



 わたくしの研究は今、大きな壁にぶち当たっていた。


 ――――身体強化。


 何気なく使っていたこの魔法がなかなかの曲者だったのである。


 よく少年漫画で描かれているが、人間の体とは普段はどんなに頑張っても80%程度しか力を発揮できない。体を守るための制限がかけられているからだ。しかし、危機的状況下で100%の力を出せることが稀にある。「火事場の馬鹿力」と言うやつだ。


 身体強化とは、意図的にこの「火事場の馬鹿力」を発揮する魔法らしい。

 制限が外れたこの状態は当たり前に体に負荷をかける。それを多少、軽減させるのもこの魔法の役目らしい。それでも「多少」だ。負荷がないわけじゃない。だから身体強化を使えば疲労が溜まりやすくなるし、連発したり長すぎる時間、使用したりすればあっという間に体がボロボロになる。

 とどのつまり、身体強化とは諸刃の剣なのだ。何故そんなものを基礎魔法に分類したんだ、先人たちよ!!


 この身体強化を構築式に組み入れるのがとんでもなく難しい。一歩間違えれば使った瞬間に体が大破する自滅魔法になってしまう。

 一度、身体強化を抜いて構築式を立ててみたが……モロにラジコンだった。動きが完全なるロボットだったのである。

 そのうち、緊急時の……例えば暴漢に襲われた時に使うことも視野に入れると、使えないことこの上ない。身体強化はなくてはならない要素だったのだ。



「さーて……どうするのが正解なのかね?」



 言葉を削り、増やし、言い回しを変え、言語を変え……。あの手この手のアプローチで構築式を組み立てては先生に意見を求める……。

 うん、やっぱり楽しいわ!!

14話の件、本当に申し訳ありませんでした。

精進して参りますのでどうか見捨てないでやってください……!

よろしくお願いします!

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