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コンクリートジャングルオブハザード ~ゾンビ世界で遊びましょう  作者: バッド
9章 東京観光をしよう

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120話 ゲーム少女はナナの家にお泊まりする

 意外なレキぼでぃの弱点を知った遥は、おっさんぼでぃが初めてレキの性能を上回ったねと涙を流しそうなほど喜び、オデンをぱくついていた。


 やっぱり大根が一番美味しいよね。この汁気たっぷりな熱々さが良いと味わいながら、ちまちまと小さなお口で食べ続ける。オデンの汁もしっかりと染み込んでおり、大根も煮崩れしていないと丁寧な作り方だと感心する。


 コンビニの大根はときたまグズグズにくずれているときがあるので、しっかりと煮崩れしていない大根に感心をして穂香に視線を向ける。


「美味しいです、この大根はよく味が染みていてたくさん食べられちゃいますね」


 ニコニコと微笑みながら、また大根をパクリと口に放り込む。残念ながら辛子をつけるのは諦めた遥。


「ありがとうございます。たくさんの具材を煮れば煮るほど美味しい出汁となるので、結構楽なんですよ」


 他のお客への注文を聞いて、オデンをお皿にのせながら穂香が返答する。はい、これをあそこのテーブルにお願いしますとリィズにオデンののったお皿を受け渡す。


「ん、わかった。もっていくね」


 リィズが受け取り、お客のテーブルまで持っていき、


「ん、ご注文の品。大根、昆布、はんぺん、がんもです」


 とお客に伝えてテーブルにお皿を置いて、テッテコと戻ってきた。衛生的ではないからと、もうおでんを売った時にお金を貰うのはやめている。


「お姉ちゃんはちゃんと働いているのですね」


 ほぉ~と感心する。リィズは、ここで働いているのである。まだ子供なのにと思うのだが、孤児であるリィズは働くと言ってきかなかったらしい。なので、このオデン屋で働くことになったのだ。というか、その健気さを見て水無月姉妹にお願いをしたのは遥である。


 むふぅと、ちっこい胸をはって得意げな顔でリィズはゲーム少女の前までくる。


「その通り、リィズはちゃんと働けているから問題ない。そろそろレキも養える」


 またまた、むふぅと鼻息を漏らして、ゲーム少女の顔を見ながら、そんなことを言ってきた。


 その言葉に苦笑するが、子供のリィズからである。微笑ましさを感じる遥。


「そうそう、リィズちゃんも頑張っているんだから、レキちゃんもそろそろ私たちと一緒に暮らさない?」

 

 ナナがリィズの話にのって、一緒に暮らそうと誘ってくる。これが崩壊前のおっさんなら、どうしようかと迷って、やっぱりお断りしますと言うだろう。自分の世界が完成されているので、一人暮らしの方が気が楽なのでと。


 今は昔と違い同居しているメイドたちがいるのだ。返答は同じであるが内容が違っていた。


「すみません。私はまだまだやることがあるのです。残念ですが一緒には暮らせません」


 家族もいますしねと内心で思う。その内心が分かったのかウィンドウからサクヤがニヤニヤと口元をからかうようにして遥をみていた。ナインはうんうんと頷きながら微笑んでいるのが見えた。


 その返答を聞いたリィズが、むぅと頬を膨らませて、不満そうに口を尖らせる。だが、すぐにいいことを思いついたように、顔を明るくさせて言葉を続けた。


「それじゃ、お泊り。お泊りしていこう。レキ」


 ぐいぐいとゲーム少女の袖を引っ張りながらのご提案である。なんと、お泊りのお誘いであった。おっさんが誘われたら、家におじゃまするだけで、その姿をみた近隣住民から、怪しいおっさんが若い女性の家に忍び込みましたと玄関から堂々と入ったのに、通報される案件だ。


 だが、この身体はレキなのである。可愛らしい美少女なのだ。おっさんは女子会とかパジャマパーティーとか面白そうだと考えた。


 う~ん、う~んと顎に手をあてて顔を俯かせて考え込む。考え込むふりをして、ちらちらとウィンドウを見ている小物のおっさん。単に女性の家でのお泊りなど、許さないかもしれないメイドたちの反応を見ていただけであった。


「いいですよ。マスター。たまには羽を伸ばすのも良いことです。楽しんできてくださいね」


「そうですね、ご主人様。パジャマパーティーとかも素晴らしい思い出になりそうですし」


 ナインが寛大な発言と微笑みで許してくれる。すでにこの人は私のものだからと余裕感が見える。サクヤが思い出とか言っているが、いつもとは違う可愛らしいレキの撮影ができると考えているのだろうことは間違いない。


 メイドのお許しもでたので、まぁ、いいかとゲーム少女は考えた。たまには良いではないか、羽を伸ばそうと決心した。


「いいですよ。オペレーターからは外出許可を貰っておくねと言ってくれました」


 その答えに大きく目を見開き、大きく口を開けて驚く表情となるリィズ。隣にいるナナも驚きの表情となる。誘っては見たが、断られると考えていたのだろう。凄い驚きである。


 なんか断った方が良かったのかなと不安になるゲーム少女。京都のぶぶづけを食べていかないかい? という意味と同じだったのか。中身がおっさんはダメなのか。もちろん、おっさんはNGであるが、この人たちはそれを知らないのだ。


「え~と、ダメなんでしょうか?」


 不安感いっぱいで、顔をリィズに向けて恐る恐る聞いてみる。


「ダメじゃない!」


「ダメなわけないよ!」


 リィズとナナの大声が重なるように店内に響く。店内のお客が、なんだなんだとこちらを注視してくるのが見えた。


 大声をだしたナナは、周りのお客にすみませんと頭を下げて、リィズは、ヤッターと大喜びでぴょんぴょんと可愛くジャンプをしている。


「おぉ、珍しいね、レキちゃんがお泊りするなんて。ナナさん、私たちもいいですか?」


 その話を聞いていた晶がナナに参加を申し込んでくる。


「私も一緒にパジャマパーティーをしたいですね」


 穂香も同じことをナナに聞いてくる。


「いいよ! みんなでパジャマパーティーをしよう。楽しみだね!」


 むぅんと元気よく答えて、顔を輝かせてナナが宣言する。


「ん、リィズも楽しみ! いっぱいお菓子を用意しておく!」


 キャッキャッと皆が楽しそうにするのであった。


           ◇


 初めて夜の若木コミュニティを出歩くかもしれないと、遥はオデン屋の営業が終わったので、皆でテクテクとナナの家に向かって歩き始めていた。お泊まりセットを水無月姉妹は持っている。若木ビルに部屋を持っているらしいが、常にお泊まりセットは持っているらしい。というか、リュックなので何かあっても逃げられるようにとの備えであろう。崩壊後の過酷さをさり気なく感じる備えである。


 五人の美女、美少女、中身おっさんな美少女の組み合わせは歩くだけでも華がある。中身がおっさんなのは誰にも気づかれないので、一応全員に華があった。


「ふへぇ、今日も疲れたね、姉さん」


 晶が肩を落としながら、幾分猫背になりながら、疲れたねと穂香に話しかけていた。


「そうですね、でも今日もお客様が大勢来てくれて嬉しいでしょう?」


 まあねと言いながら、頭の後ろで両腕を組みながら晶が笑う。


「ん、リィズたちの力で繁盛しているから、やり甲斐がある」


 リィズもその話にのって、顔を綻ばしながら答えていた。


「穂香さんが作るオデンは美味しかったので、繁盛するのは当たり前ですよ」


 三人組に視線を向けて笑顔で遥は褒める。遥がやっていた頃と違い、もうお酒などは通常価格なのだ。すなわち、嗜好品は高い価格設定で大樹は売っているからして。


 それでもお客がたくさん来ているのは、水無月姉妹とリィズの頑張りである。


「そうだよ。あのオデンは崩壊前も食べたことがないほどの美味しさだよ」


 ナナも称賛して、三人組に笑顔を向ける。


「ありがとうございます。これからも美味しいオデンを作りますね」


「僕たちみたいな看板娘が三人もいるんだから、流行るのは当たり前だよ」


「これがリィズの力。皆はそれがよくわかっている」


 三者三様に反応は違うが嬉しそうに答えてきた。


 頑張っているねぇ、若人よとおっさんらしく内心で応援をして若木市場を通り過ぎていく。


 もう露店もほとんどが閉まっており、人々は帰り支度で荷物を纏めている。


 買い物客もちらほらとしか見えず、昼間の賑わいを見ていると寂しく感じる風景だ。


 ハァと息を吐き出すと、白く冷え切った空気となっていった。もうかなり寒い季節に入っている。


「冬の夜空は綺麗だけど、崩壊後は凄いね〜」


 ナナが空を見ながら、そんなことを言ってくるので遥も釣られて夜空を見てみた。


 おぉと感激する美しさであった。星々が宝石のように煌めき、夜の暗さは星の光で無くなるような感じである。以前は都内では見れない、田舎でしか無かったであろう風景であった。


 自分はどれほど久しぶりに夜空なんか見たかと考えるが、夜空を見ても気にしないおっさんなので、思い出すことはできなかった。それに以前は街の光が強くて、見たくとも星など見られなかった。


 それに美少女が夜空を見上げていれば絵になるが、おっさんが夜空を見上げていれば、どこか女性の部屋を覗いているんじゃと周りの人々から疑われるのがオチであろう。


 どこまでもおっさんと美少女は隔絶した格差があるのである。


 団地と化したビルからは、煌々と光が漏れているがそれぐらいでは夜空は影響しない模様。崩壊前はどれだけの人々が生きていたかを示す証拠であった。


 こんばんは、寒くなったわねぇと急ぎ足で帰宅するおばちゃんやら、そろそろ雪が降るかもなぁと挨拶をする男性たちにそうですねと、おやすみなさいと答えながら夜の町を歩いていく。


 しばらくして、荒須総合エネルギー会社と書かれた看板が掲げられている小さな雑居ビルのようなナナの家に到着した。


 あれ? 会社名が変わっていると気づいてナナに視線を向けると、その視線に気づいて指でポリポリと頬をかきながら、苦笑してナナが教えてくれた。


「ほら? 私は電力の他に水道も扱うようになったでしょ? それで、社員から会社名を変えましょうと頼まれちゃってね」


 それで、会社名を変えたのよと伝えてくる。最近の取引はツヴァイに任せっきりだったので、知りませんでしたと看板を見ながら返答する。


 立派な看板である。以前にとりつけた看板よりも、大きく立派な金属の看板となっている。社員が決めたらしいので、社員たちのかなりの本気さを感じる内容だ。このままナナの成り上がり伝説は続くかもしれない。


 ダムや発電所を復旧させれば無用の長物になるかもとは思っていたが、現状では難しいかもしれないと以前の考えを改めている。


 30000の報酬である新幹線大蛇は地の利があちらにあれば勝てなかった可能性がある。


 それが50000? 勝てない可能性が高い。しかもエリア化されているので、強力な性能アップもあるだろう。たとえ解放してもどうやって維持をしていくのか? かなり難しいだろうと予想できた。


 なので、しばらくはナナの会社に頑張ってもらうしか無いと思う遥であった。


「とうちゃーく! どうぞ、私の家に!」


「ん、レキにはリィズの部屋も見てほしい」


 ナナとリィズが家に向けて手を振り上げて嬉しさを隠しきれない表情で歓迎する。


 遥も何気に期待でわくわくである。この家は遥が作成したので間取りやら何やらは知っているが、内装はさっぱりなのだ。


 お邪魔しま~すと、女性の家に上がるのは久しぶりなので、ぎくしゃくと不自然な動きで家にあがる。水無月姉妹も同じく家に入る。


 一、二階は社屋なので素通りして、三階に訪問だ。テクテクとリビングに入る五人。


 遥の家には劣るが、それでもかなりの広さを持つ部屋である。ドデンと大きなテレビが置いてある。もはや通信はできないので録画を見ているのだろう。


 洋風なリビングルームには白いレースのカーテンが窓にかけられており、綺麗な薄い緑の絨毯が敷かれている。高級そうなソファが窓際に置かれており、スッキリとした木のテーブルが真ん中に配置されていた。隅にはガラス戸のチェストが置いてあり、コップなどが置いてあるのが見える。


「そこらへんに適当に座って〜。お茶を淹れるね」


 そう皆に言いながら、ダイニングルームにナナは向かい、お茶を出そうとする。


「あ、ナナさん、わたくしもお手伝いいたします」


 すぐに大和撫子な穂香がお手伝いを申し入れてダイニングに続く。


 晶も元は金持ちだったので、ほぉ〜と感心して調度品を眺めていた。リィズは部屋に戻っていったので、遥は一人でちょこんとソファに座り緊張していた。


 だって、よくよく考えれば女性たちのみの集まりである。そこに中身がおっさんな少女が混ざっているのだ。そのことに思い至り、バレたらどうしようと急に不安感に襲われてきたのだ。


 ソワソワし始める挙動不審なゲーム少女。それに気づいた晶が声をかける。


「あれ? レキちゃん、緊張しているの? 珍しい」


「はい。他人の家に訪問するのは初めてなので」


 そう緊張を表に出して答える。


「えぇ〜、前に家に来たじゃんか」


 晶が口を尖らせて、そう伝えてくる。


「そういえば、そうでした。でも、あの時はコミュニティの中にある感じでしたので、個人の家は初めてな感じがするのです」


 あぁ、確かにあの時は人がたくさんいたしねえとうんうん頷く晶。


 そうなんですと頷く遥。おっさんが中身なので仕方ないのだ。バレたら牢獄行きなのだと緊張感が更に増していた。


 アホな不安に陥るゲーム少女をよそに、ダイニングの方からは、ナナと穂香が話している声が聞こえてくる。


「ナナさんの家はガスが使えるのですね。家は電熱コンロなので羨ましいです」


「アハハ。ガスが使えるとお風呂とかも入れるしね。社長になって良いことの一つかな。でも、これはガスではないような気がするような……」

 

 何やらナナが気づいてはいけない謎パワーに気づきそうである。まぁ、気づいてもどうしようも無いとは思うけどと放置しておくゲーム少女。


 談笑しながら待っていたら、テッテコとリィズが戻ってきた。


 リィズはバスタオルとかを両手に持っている。


「ん、リィズはお風呂を沸かしている。お姉ちゃんと一緒に入ろうね、レキ」


 期待に目を輝かせて、むふぅとゲーム少女を見ながらリィズはそう誘ってきた。


 なんとお風呂イベントかよと、どう答えるか迷うゲーム少女であった。


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