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第11話:アンケで引越し先決めるよ

【回想・中級ダンジョン「湿り気の洞窟」】



《クエスト更新:ルート確保》

[難易度:C (推奨Lv.15〜)]




《⚠ WARNING : MASS OUTBREAK》




[MOB] スケルトン ....... 10

[ Total Threat: C (Fatal) ]




カイト:

 ――チッ、



 おいソラ。行ってこい。



ソラ:

 え……?



 で、でも、



カイト:

 うるせえな。



 いいから行け!



 ――ガツン



 背中を蹴られた。



 暗闇の奥から、



  カタカタと



   骨が擦れる音が聞こえてくる。



 怖い



 助けて




 私は、使い捨ての「警報機」兼「囮」





【現在・未踏破区域アビス



 ――ガサッ!!



 岩陰から音がした。

 私はビクリと身構える。




 (何か来る……!)




 あの時と同じ、肌を刺すような殺気。




 トラウマが蘇りかけて、足がすくむ。




 飛び出してきたのは、

  獅子と山羊の頭を持つ怪物――キメラ。




 推定レベル80超えのSランクモンスター。



ソラ:

 ひっ……!



 ――ギャオオオオオン!!



 キメラが咆哮を上げ、



  私に飛びかかろうとした、



   その瞬間。



ティアグラ:

 ……あ?



 隣を歩くティアグラが、



  不機嫌そうに一瞥した。



   ただ、それだけ。



 ――ピタッ



 空中でキメラの動きが止まる。



 ――次の瞬間



 「キャイン!?」



 と情けない声を上げ、

  尻尾を巻いて脱兎のごとく逃げ出した。




ティアグラ:

 チッ。近隣住民モンスターの質が悪いな。



 新居の庭で騒ぐなと言っておかんと。



ソラ:

 ……(ポカーン)



 魔王様の「睨み」だけで、

  深層が散歩コースになってる。



 私はホッと息を吐き、

  改めて隣の彼女を見た。

 


 今の私は、捨て駒じゃない。



  最強のパートナーの、



   隣を歩く「オーナー」だ。



ソラ:

 よし……行きましょう、ティアグラさん!





 最高の物件を探しに!






《配信を開始しました》






◼️タイトル:【新居探し】深層エリアで物件内見ツアーします』





【コメント欄】

: タイトル二度見した

: 深層で内見www

: 不動産屋も来ない場所だろ

: 命がけの家探し

(視聴者数:6,000人 ↗)



ソラ:

 今日は、ティアグラさんの希望で、



  ダンジョン内に拠点を



   構えることになりました!




 候補は2つ!




 まずは一つ目です!




【物件No.1:水晶の地底湖】


 視界が開ける。

 そこは、巨大なドーム状の空間。

 壁一面に生えた水晶が青白く発光し、

  中央の湖を照らしている。



ソラ:

 わぁぁ……! 綺麗……!

 見てくださいこれ!

 天然のイルミネーションですよ!



ティアグラ:

 ほう。水質も悪くないな。

 これならいつでも水浴びができる。

 水晶の魔力密度も高い。

 美肌効果がありそうだ。



【コメント欄】

: 幻想的すぎる

: 映えスポット確定

: ここに住めるとか羨ましい

: 湿気すごそうだけど魔王様なら平気か




【物件No.2:天空の浮遊遺跡】

 次は、さらに奥へ進んだエリア。

 広大な縦穴空間に、

  ラピュタのように浮かぶ古代の遺跡群。



 私たちは飛行魔法で、

  その一番大きな



 「浮遊島」



  に降り立った。



ソラ:

 た、高い……!

 でも見晴らし最高ですね!

 誰にも邪魔されないし、

  まさに「秘密基地」って感じです!



ティアグラ:

 うむ。



  下等生物どもを見下ろして



   暮らすのも悪くない。



【コメント欄】

: 男のロマン!!

: 秘密基地感やばい

: ここなら絶対安全だな

: 眺め最強








【選択の時】






ソラ:

 どっちも素敵すぎて選べません……!

 うーん、どうしよう……



 私が悩んでいると、

  ティアグラが私の顔を覗き込んだ。



 カイトの時とは違う。

  私の意思を、待ってくれている瞳。



ティアグラ:

 ソラ、お前が決めろ。



ソラ:

 えっ? 私が……ですか?



ティアグラ:

 そうだ。



 お前が



  『綺麗だ』



    と笑って過ごせる場所。




 それこそが、私の城に相応しい。



ソラ:

 ……っ



 (全肯定……!)



 私が決めていい

 


  私の



   「好き」



     を、ティアグラは叶えてくれる




 なら、みんなにも相談してみよう。




ソラ:

 視聴者のみんな、アンケします!

 私たちの「新居」、どっちがいいですか?






《アンケート機能を使用します》






 〜Q. ソラと魔王様の新居はどっち?〜



 ①『水晶の地底湖』

 ②『天空の浮遊遺跡』



【コメント欄】

: ①!水着回期待

: ②だろ!ロマンの塊

: 迷うわww

: ティア様には②が似合う



ソラ:

 ふふっ、みんな迷ってますね。

 じゃあ、結果が出るまで……

 ここでお昼ご飯にしましょうか!



 私はリュックから、



  タッパーを取り出した。



   中身は、



    今朝早起きして作ったオムライス。

 


ティアグラ:

 おお!



 ついに来たか!



 私のオムライス!



 クールな魔王様が、

  尻尾を振って目を輝かせる。



 こんな幸せなピクニックが、

  ダンジョンの最深部であるなんて




 私は、

  心からの笑顔でケチャップの蓋を開けた。



(第11話 完)

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