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ANCIENT WORLD ONLINE  作者: 桐に鳳凰
CHAPTER TWO
34/40

THIRTYFOURTH:近接格闘術

『しかしのう、お主では圧倒的に弱すぎる』

「あ、そうですか」


『そうだな。先に進むのはケルに単独で勝てたらにするか』

『ほう。それは愉しそうな…ゴホン。重要な役割ですな』

「喋った!」


 ケルベロスさんの真ん中の首が喋った!まあリストが喋ってたんだから当然といえば当然だが、リストより流暢だ。

 ていうかケルベロスさんに勝つ?リストより強いとしたら…うん、無理だね。


『たしか今のケルベロスはだいたいLV500位だったかのぅ』

『封印を開放すればその十倍は上がるよ』


 今度は右の首が喋った。


 ていうかレベル。

 文字通り桁が違う。なんかあれだな、私色々すっ飛ばして今のレベルじゃ来ちゃいけないところに来てるな。


『ケルベロスもそうだが狼王種は決して滅ぶ事はない。死んでも生き返る。ただただ戦い、一度でも死ねば負け。そして負ければ相手に従う生き物よ』

『僕らが滅ばないのは狼神との契約のおかげだからな。自分の実力で戦って死んだのならそれは完全に敗北。負け犬は勝者に従うだけだ』


 今度は左の首が喋った。それぞれ口調が違う。


『まあ正式に我を下僕にしたいのであれば今の我が君主、アルアスエート様に勝つ必要があるがな』

『それはそうと柊殿、我が末弟の調子はどうです?』

「え?ああ元気そうでしたよ」


『…そのようですね。彼奴の加護が見えます。末弟の無事を伝えてくれた礼として…そうですねこれなんてどうでしょう』


【スキルセット《炎狼流闘武拳舞》を獲得した】


『僕の人間形態の時に使う技だよ。使えば使うほど技の精度は上がっていくからがんばって』

『おいこら。第弐形態のネタバレはやめろ』


 なんかもらった。え?めちゃめちゃ強そうなんだけど。


『子狼にはこれかな』


【榎がスキル《覇狼刃》を獲得】


『わうわう!』

『レベルに斬撃の威力が比例する。我が使えば山をも裂くぞ』


 …これは本格的に狼王巡りを進めたほうが良いかも。


『我が一つ下の弟、リュカオンはこの近くの”あそびの森”にいるぞ。そこで…お、丁度良いスキルがあるな。《森遊戯》でもすればすぐ会えるだろう』

「情報ありがとうございます!」


『そう慌てるでない。まずは地獄観光楽しんでくれ。案外楽しいぞ』


 ―――――――――


 ひっっっっっっっっっっっっっっっっっっろ。


「地獄」のマップを開いたら絶句。なんとびっくり地上と同じ面積だ。

 なんか昔のゲームであったなそんなの。「涙の王国」だっけ。

 これ世間に広まったらどんな反応するんだろ。ちょっと楽しみだな。


 町の住民は皆幽霊もしくはスケルトン。たまに鬼みたいなのもいる。


 しかし流石に深夜すぎるので不健康だ。

 取り敢えず街の中華風の宿屋(キョンシーの美少女店員。マジでくそかわいい。どう見てもモブのキャラデザじゃない。恐らく制作陣に”癖”の方がいる)で寝てログアウト。


 ◆◇◆◇


 朝起きて即ログイン。いやー無事沼ってるねこのゲームに。


 さ、地獄観光レッツゴー!


 武器屋。関係ない。スルー。

 未だに悲しいな。別に不満があるわけじゃないけど、RPGで武器屋といったらワクワクそのものなんだよなあ。


 防具屋は…高いしめぼしいものはない。

 炎属性が基本で高い…ていうか今の装備に似合わなすぎる。

 あれ、なんかさっき称号で「業炎属性」とかゲットしてなかったっけ。


 称号欄を見ると確かにゲットしていた。これ手に纏わせられるのかな。

 ………魔力が無いから無理っぽい。使えなすぎるだろ。なんかレアっぽいのに。

 観光終わったらスキルの試し打ちも兼ねて闘技場にでも遊びに行くか…ん?


『いらっしゃいませ〜』

「装飾屋か…」


 今私の装飾品枠3つ埋まってるけど太陽明暖の腕輪外せば一つ空くな…


『おや、お客様ですか』

「え?あ、じゃあちょっと見せてください」


 店員がグイっと顔を近づける。


『ふむふむ…やはり…』

「な、なんですか?」


『生者のお客様第一号!全品2割引にしといてあげましょう』


 なにかプレゼントがあるわけでもないか。

 まあ普通に嬉しいからちょっと見よ…


『おや、気になります?』


 赤い装飾品だらけの中、ひときわ目立つ。

 真っ白な首飾り。銀のチェーンの先には牙のような飾りがあってとてもシンプル。

 だがよく見るとその牙にはびっしりと小さな彼岸花の文様。

 なんだろう、なんか惹かれる。


『そちらは装飾品の鬼才、彫鬼の最終作、〔楽しい旅を〕です。一点ものですよ!』


 説明を見る。



楽しい旅を(ルーシンユクライ) レアリティ:唯一無二 品質:ー 耐久:不壊〕

 ┣呪:外す事ができない。

 ┣効果:移動速度上昇(大)

 ┣効果:エンカウント率上昇(大)

 ┣効果:スキル《浮遊》使用可能

 ┣効果:装備者本人の属性に応じて固有スキルを獲得する

 ┗備考:世界に一つ。早い者勝ちだ!



 どうしようめちゃくちゃおもしろそう。

 めっちゃほしい。逃せば二度と手に入らないって…余計に欲しくなるに決まってる。

 お値段なんと300万。二割引でも240万。

 現在私これまでの戦闘で稼いではいるが161万。うん全然足んない。


「すいません、これキープってできますか?」

『追加料金がかかりますが』


「いくらです?」

『元々の金額に1割上乗せです。2割引とあわせて264万Gですね。一週間毎に1割上乗せ、3週間で期限切れです』


「お願いします」

『まいどあり〜♪』


 よし、金策の時間だ。


 ◆◇◆◇


 大学。


「今朝はお楽しみでしたね」

「何?ドラ●エの定型文みたいな」


「闘技場で無双してたでしょ。謎のスキルオンパレードで荒稼ぎ」

「なんで知ってるの?」


「連勝記録第八位じゃん。常にリアルタイムで把握できるよ。何62連勝って」

「最後の方格上ばっかになって苦戦したけどね」


「普通強い人の戦法は研究されるから勝ちづらいんだけど、初見殺し超瞬殺だからよくわかんないし」

「レベル58になった。榎は51。60でレベルキャップだからもっと先だね」


「普通40超えたあたりから伸び悩むんだけどね。ていうかもう悪熊超えたね」

「そういえばそうだね」


「今やよっちゃん悪熊以上に恐れられてる徘徊モンスターだから…」

「友達に呼ばれたら行くに決まってるじゃん」


「何あの武術。燃える拳で剣を回して弾き、よろけた隙に顔面一撃とか、一瞬の隙に足を払って宙に浮いた足をつかんで投げ飛ばしたりとか」


「多分もう少ししたら一般開放されるであろうマップでゲットしたスキル」

「なにそれ」


「秘密」

「ほうほう。よっちゃんが秘密にするほどか〜。わくわくだね」


 《炎狼流闘武拳舞》。マジで面白い。

 八つの技があり、それぞれが優秀。


「烬の舞 回火転」 刺突攻撃を上手く受けると、大きく横にそれる。

「煜の舞 光烈掌」 とても速い一撃。弱めだが使いやすい。

「燐の舞 紫炎脚」 蹴り技。隙が大きいが威力も大きい。

「煨の舞 埋 炎」 上方向に跳ね上げる。攻撃を弾くと大きな隙ができる。

「熕の舞 撃体靠」 瞬時に敵前へ移動し、大ノックバックの一撃。攻撃力は弱め。

「熛の舞 現陽炎」 1m後ろへ瞬間回避。条件は両足地面についていること。

「爆の舞 轟落衝」 踵落とし。高所から落とすほど威力も上がる。


そして「爀の舞 炎獄連」 発動に詠唱が必要。詠唱完了後3秒以内に攻撃がクリティカルに入るとコンボに入る。

タイミングよく撃ちまくれば連撃可能。今のところ最高記録8連撃。

 一撃目より二撃目が強くなり、二撃目より三撃目のほうが強くなる、水の呼吸拾ノ型みたいな技だ。


 戦闘における手札が一気に増えた。詠唱は恥ずいがいちいち技名叫ぶ必要は無いので発動までの時間が短縮できる。

 これで近接戦闘に関して大幅な上昇ができた。後の課題は遠距離だが、そこは榎にがんばってもらおう。


ちなみに《覇狼刃》はシンプルな飛ぶ斬撃。コストが低く威力もそこそこなのでMPを節約したい時に重宝しそうだ。

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