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ANCIENT WORLD ONLINE  作者: 桐に鳳凰
CHAPTER ONE
22/40

TWENTYSECOND:雪国

 プレイ四日目。


 朝早起きしてログイン。今日は寝坊しなかった。

 場所は最初の街。椿のお務めを迎えに行ったからだ。


 さてと、まずは榎の進化先見てみよ。



『深緑魔狼・成』 深緑魔狼の成体。体が成長し、魔力、体力が上昇する。

 ┗必要素材:深緑魔結晶 1個 上等肉 5kg


『深緑魔狼・無垢之童』 外見はそのまま、魔力が大幅に上昇し、深緑魔狼の自由度が増す。

 ┗必要素材:聖木の枝 1個 深緑魔結晶 2個


『深緑魔狼・翼子』 翼が生え、空を飛ぶようになる。

 ┗必要素材:飛竜核 1個 翼獣核 3個 深緑魔結晶 1個


『深緑魔狼・聖』 ????

 ┣開放条件:神獣に会う。

 ┗必要素材:真実(消費しない) 永遠(消費しない) 聖を纏う物 1個



 うーん。意味不明。

 少なくとも今のところは無理っぽい。

『聖』に関しては…聖を纏う物っていうのはこの眼とかで良いのかな。

 真実はある。けど永遠?ほかにもイベントがあるのだろうか。


 ま、私ではどうしようもないな。

 どうするか…あ。


「あ、早いっすね。おはようございます!」

「あ、おはようございます。野良猫さん」


「いいっすよ敬語使わなくて。自分高校生っすから」

「でも一応先輩ですし」


「先輩…先輩かあ」

「で、野良猫さんは何を?」


「ああ。今お使いクエスト中で、この街の商人のとこへ行く途中っす」

「へえ。あ、そうだ。このアイテムって何処で手に入るか教えてくれません?」


「ん?どれっすか?」


 進化先一覧を見せる。


「おお。流石テイムっすね。えっと…うわそこそこレアアイテムばっか。真実?永遠?なんだこれ」

「とりあえず深緑魔結晶というのは?」


「それなら結晶洞窟っすね。推奨レベル50のダンジョンっす。そこの宝箱にいろんな色の魔結晶が入ってる事があるのと、魔晶岩兵クリスタルゴーレムを倒すとドロップすることがあります。あ、魔晶岩兵は緑のを倒さないと深緑魔結晶は出ないっすね。いろんな色のがいるんすけど、こいつは岩小兵リトルではなく、デカいゴーレムっす。防御力が高いんでめんどいんで、普通は宝箱メインっすね」

「なるほど」


「場所は天境山脈の…このへんっすね。近くの街の『雪国アーマーデル』っていうとこに行けばすぐ分かるっすよ」

「けっこう遠い…」


「恋くんさんに頼むと一瞬っすよ。あの人、神エイムなんて次元じゃないっすから」

「迷惑じゃない?」


「俺らなら運賃取られますけど、柊さんならタダっすよ。メッセ送りますね」


 7秒後、私の目の前に矢が刺さる。

 直後恋くんが登場。


「わっはや」

「早すぎっすよ」

「ちょうど暇だったんですよ」


「その割にはちょっとダメージ受けてますし、矢も消費して…」

「さ、柊さん。何処に行きたいんですか?」

「え?あ、じゃあ雪国アーマーデルってとこまで」


「はい。では掴まってください」


 手を握る。


「今度は失敗しませんから」


 ◆◇◆◇


 ホントに一瞬で到着。狙撃手ってめちゃくちゃ便利?

 いやたぶん恋くんの精度が凄すぎるだけだ。


「そういえば恋くん、学校は?」

「え?ああ、僕社会人ですよ」


「え?」

「今はプロゲーマーですね。僕結構有名人ですよ。普段はゲームの練習、大会ですけど、偶に配信もやってます」


「ああ、そのモジュールリアルと違うんだった」

「いや、外見はほぼリアルと同じですね。顔を覚えてもらわないといけないので。まあ髪色と目の色、ついでに髪型ちょっと変えただけです」


「ん?」

「ネットで調べれば出てくるんで言いますけど、22歳の身長146cm童顔男。だいぶ珍しいですね」


「年上!?」

「よく言われます」


 まじか。あとで調べよ。


「因みにギルマスもウチの事務所所属ですよ。チーム名『戦国浪漫』でヒットします」

「へえ〜」


 正面を見ると、大きな門。

 その前には門番。

 そして出るログ。


【状態異常:体温低下 LV2 を受けた】

【徐々にSPが減少】


 寒い。とはいってもゲーム的な補助で耐えられないほどではないが、それでも寒いと感じる。


「恋くん。寒いんだけど…」

「え?あ、すいません!僕常時寒冷耐性あるんで忘れてました」


 渡されたのは綺麗な腕輪。金を基調とした腕輪で、真ん中に大きな橙色の透き通るような宝石。

 太陽の模様が宝石の中心に浮かんでいる。周りには草花のモチーフが施され、芸術品のようだ。


 〔太陽明暖の腕輪 レアリティ:AA 品質:S 耐久値:30/30〕

 ┣効果:状態異常:体温低下 をLV3まで無効化

 ┣効果:氷属性耐性(中)

 ┗備考:あったかい


 けっこう良いもののようだ。

 少しブカブカだったが、腕を通すと縮んでピッタリになった


「ありがと。これ幾ら?」

「え?お金はいいですよ」


「いやそれは流石に」

「どうせ僕は使っても意味ないんで売るつもりでしたし」


「売ったら幾ら?」

「それはまあ3万ほどには…」


「はい。5万G」

「え?会話が噛み合ってない気が」


「ここまでの運賃も含めて」

「いやいや」


「私そこまで図々しくないから」

「…まあそこまで言うなら」


「さて、私はこの街回ってから落ちるけど、恋くんは?」

「あ、僕も少しこの辺りに用があるんで、別行動でいいですか?」


「おっけー」

「あ、あと…」


「ん?」

「…こ、この前の話は気にしないでください」


「了解」

「では」


 ◆◇◆◇


 さて、美しき雪の都アーマーデル。

 中世風の街だがところどころに雪対策の建築設備が見られ、街全体青を基調としたホントに綺麗な街。広場の中心には荘厳な魔導師の氷像が立っている。


 看板を読むと「賢者アリアストルア」。嘗て絶凍龍フィリーゼスを永久凍土に封印し、世界氷結を未然に防いだ英雄らしい。

 世界氷結ってなんだよ。


 武器屋は氷属性ばっか。この短剣とかめちゃくちゃかっこいい。

 凍竜牙の短剣とか、氷雪無影の弓とか。


 ま、私には関係ないけど。私もかっこいい武器使いたいなぁ……


 NPCに聞くと、結晶洞窟はこの街の更に北にあるらしい。

 まあ洞窟は大学から帰ってからでいいか。


 朝日とそれに映える雪は絵画のようだ。スクショ。


 そのあとは街中をぶらつく。行く時間まではあと二時間くらいあるし、ワープポイント登録もしたから闘技場でも行こっかな…


『あのぅ…』

「え?」


 振り返ると、赤い髪の女性。

 NPCだ。


『この子、知りませんか?』


 出された写真には、同じく赤い髪の少年。


「いえ」

『そうですか…やっぱり森かなぁ』


【ミニクエスト:雪の国のお姉さんの困りごと】


 お、なんか出た。

 受諾っと。


【受諾した】


『探すの手伝ってくれるんですか!?』

「ええまあ。とはいっても少し用事があるので、あと二時間ほどですが」


『ありがとうございます』

「それで、この男の子は?」


『私の弟の、トウカです。先日薪を取りに行ったっきり帰ってこなくて…』

「薪を取りに行く森とは?」


『すこし東の、雪狼王の森です』

「なんか狼モンスターがいそうなとこですね」


『いえ。雪狼はいないんですけど、昔から雪狼王が住んでいるという伝説がありまして…まあ目撃情報も無いですし、比較的安全です。奥に行くと入り組んでいてたまに行方不明者が出るってくらいの…』


 いかにもなフラグ。


「森には捜しに行ったんですか?」

『はい。ですが浅いところです。奥には行かない様に言いつけているんですけど、どこにもいないのでやはり森の奥に迷い込んでしまったんだと…』


「わかりました。ではまず行ってみましょうか」

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