寂しい夜に思う。でこちゅーはOKです
視点戻ります。
ヤンデレの前触れですね。舐める、吸血シーンがあります。苦手な方はお気をつけ下さい。
襖を開ける前からスタートです!
死亡ENDから逃げて3日が過ぎた。
社での生活には十分に慣れてきて、案外安らかなひと時だったと思う。
しかし、胸にぽっかりと穴が開いてしまってるのではないかと思うときもあった。
特に夜は一段と寂しい。
広い部屋の寝室にふかふかな布団を敷かれて、ポツリと、まるで一本の線のような不安が押し寄せる。
寝れずに、体育座りをしていると廊下からヒタヒタと近付いてくる音が聞こえた。
その音の主と思われる影は私の部屋に通じる襖で止まる。
な、なに……気味悪い!
私は音速で襖に近寄ると影よりも早く襖を開けた。そして、隠し持っていた筆の固い方で目でも潰してやろうと思っていたが、襖を開けた先にはサラリと風圧で揺れ動く濡れた髪が背徳的で、金の瞳は少々見開かれている蘭月であった。
「まだ起きてたのか」
鈴の音が転がるような優しい声音が降ってきて、外に目を向ける。
今は深夜、夜の2時を疾うに過ぎている頃だった。
「それは蘭月も一緒でしょ?」
蘭月に視線を戻すと紺の寝間着を黒の細い帯で緩く着ている。
湯上がりだと分かる姿にゲームではこんなシーンなかった!と完璧なボディにぺろぺろしてしまいそうになった。
欲望を抑えつつ、私は背の高い蘭月を見上げる。
「どうしたの?」
前に芋虫やら排除やらと酷いことを言われ血を啜られて以来、来ていなかったのに。
そこまで考えてハッと気付く。
「血を飲みに来たわね!絶対ヤダ!」
言った瞬間に首筋をガード!睨みつける私を見て、何が面白いのか蘭月は笑い出した。
くっそう!笑った顔も魅力的すぎる。ま、眩しい!
蘭月は官能的にゆっくりと首を傾け微笑むと、私はその美しさに背筋がゾクリとした。
「ああ、そういえば言ったね『また喰べにくるよ』って」
それを聞いた私は、しまっつあ!!と項垂れる。
こ、こいつは血を飲みに来たんじゃなかったんだ!思い出したとでも言いそうな顔でニヤニヤする蘭月に一発殴りたい。
「飲む場所は幾らでもあるんだよ?」
そう言ってするりと私のガードしていた手に指を絡めると、端正な口元にもっていき手首を舐められた。
…な!?めっ!
ピチャピチャと音を異様に鳴らしながら舌で弄ばれた手や指は唾液だらけである。
「ちょ…や、めて」
私の静止を聞こうともしない蘭月はそのまま牙を手首に突き刺した。
「ッう!」
痛さに顔を歪めた私を見て、満足した口元を手で拭った蘭月は顔を近付けてくる。
何をしようとしているのか分かるその閉じた瞳に、私は両手をつっかえ棒にして防いだ。
拒否反応が気に入らなかったのか、ぐいっと噛んだ腕を掴まれて引き寄せられると、唇に来るであろうリップ音が違う場所から聞こえたのだ。
「え…おでこ…?」
予想外な行動に目を丸めた私をチラリと見て、不敵に笑う。
「何だ、物足りないか」
色っぽい大人の男を匂わせる蘭月に不覚にもときめいた私だが、どうして拒んだのだろうか。
香夜の不意打ちキスは拒んでいなかったのに。
そういえば香夜なんでキスしたの!?
でも、安心できたな。シェルベートのキスに比べてほっこりする感じ。
そりゃあシェルベートもほっこりするキスをしてくれるけど……。
そう思って首を横に振った。
ーーーシェルベートのことは忘れるんだ。
「何を考えている?」
何も言わない私に蘭月は目を細めて睨んだ。
美人が睨むと凄みが出ると聞くが、これは男でも同じらしい。
細められた金の双眼が私の黒い目とかち合い、より一層黒い影が増す。
「痛めつけられていたのに、まだ心にあるのか」
サラリと黒髪を耳に掛けられ、首の傷痕に触れられる。湯冷めしたのか触る手が冷たかった。
その金の瞳に何も映してない顔は、見たことがあるな。とゲームの映像と混同して、客観的に眺めた。
ーーー押し倒されていると分からずに




