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ディスペル  作者: SIN


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111/122

正直に

 シールドの中にルシフェルが入った事で何かが作用したのか、その後スグにピヨがやってきた。

 コンコンと開いている窓をノックしてから部屋の中に入ってきたピヨは、色々と重症な俺を見て何を言うよりも先に溜息を吐き、ルシフェルの肩を叩くと窓の下を指差し、2人して出て行った。

 「帰った?」

 部屋の隅にいたドラクルが窓に駆け寄って下を覗き込むようにして外を見て、慌てて後ろに飛び退くと、その直後ポチを抱えたルシフェルと、ペペを抱えたピヨがドヤドヤっと入ってきた。

 「また随分と派手にやられたわね」

 ピヨと同じく、まず始めに溜息を吐いたペペが呆れた風に言うから、激しく怒られると思っていただけに少し拍子抜けしたというか…それだけ物凄く心配かけたんだろうなって。だから、怒られるとするなら一息付いた後だ。きっと、激しく…。

 それに、ポチ達だけじゃなくてエドからも怒られるんだろう。

 「エドとアンさんは?」

 まさか人間の住む大陸に帰ったって事はないよね?前にはなかった出来事だから良く分からないし、天使の羽も生えてこないしで予定とか全部グチャグチャしてるけど、エドはまだ俺の事嫌ってない…よね?多分…。

 「呼んで良いのか?」

 呼ぶって事は、まだ魔王島にいるんだ?

 本当は、こんな怪我をしてるんだから会いたくない。なんなら怪我が治るまでは屋敷にも戻りたくないし、ポチ達だけ屋敷に帰ってもらうとか、また樹海に篭るとか、とにかく会う事は避けると思う。けど、それをすると嫌われるんだと思うから。

 「うん。会いたい」

 それに、龍の抜け殻をアンさんに言って予約しとかないとね。

 自然治癒に任せるのと龍の抜け殻を手に入れるのとどっちが早いのかは分からないけど、もしかしたら現時点で持っているかも知れないし…そうなったら今回の報酬はいらないから抜け殻を少しでも分けてもらえるように頼んでみようかな?

 「まだ増えんのかよ」

 部屋の主であるドラクルが部屋の隅っこでボソリと文句を口にした。でも、エドとアンさんには会いたいんだ。

 俺が出て行けるんなら簡単で良いんだろうけど、薬の効果で痛覚が飛んでるのか、それとも副作用で昇天レベルの負傷になったから痛覚が飛んだのかも調べないといけないし、薬の効果だった場合には使われてる薬草の種類とか、調合方法とかも知りたいし、そもそも足首の腱がどうにかならない事には歩けないし。

 「後2人だよ。ね、ルル、ピヨ」

 連れて来て。

 そう改めて頼もうとした時、窓の前に立ったペペが上半身を窓から出して上空を見上げ、チョイチョイと右手を動かしたかと思った次の瞬間。

 ブワッと物凄い風圧と共に聞こえるドラゴンの声と、

 「お前誰だよ!」

 と怒鳴る物騒な台詞。

 まだこれをドラクルが言うならば何の問題もないし、寧ろ正しいと思う。だけど、爆発したみたいな勢いで部屋に飛び込んできた人物が言うのは、ちょっと…いや、大分違うんじゃないかな?

 「キリクを連れ去った奴だろ?」

 ポチも普通に話を進めないで!

 まずは再会の挨拶とか、タマの背中に乗ったまま入ってくるタイミングを完全に失ってしまっているアンさんを部屋に招くとかさ。あぁ、俺の部屋じゃないんだから招くってのは違うか…。

 「入って。キリクが会いたがってる」

 ピヨ!部屋の主を完全に無視するんじゃありません!

 えっと、まず始めに声をかけるべきは誰!?

 「キリクン大丈夫…なの?」

 アンさん、頭が完全に混乱する前に話しかけてくれて助かったよ。

 さぁ、問題はどうやって超レア素材である龍の抜け殻を分けてくれるように頼むか、だ。今回の報酬として欠片でも良いから頂戴、なんて…やっぱり言い辛いや。

 「あの、龍の抜け殻なんだけど…手に入ったら少しだけ売って欲しいんだ」

 龍の抜け殻は時々道具屋や薬屋に出るけど、季節によって金額はバラバラだから相場が良く分からない。それに予約待ち状態にもなっているから…相場よりも少し多めに支払わなきゃね。鱗1枚分の大きさで10万G位?1万G位ならほんの欠片かな。欠片を煎じて何処までの効果が出るんだろう。

 「勿論だよ!」

 力いっぱい答えてくれたアンさんの顔色は少し悪くて、さり気なく俺から視線を外していた。

 ドラゴン使いのアンさんは魔物とも戦っている筈だし、負傷した人も見て来た筈だ。それなのに顔色が悪くなるほど俺の姿は酷いのだろうか?

 まぁ…確かに酷いけど。

 千切った腕の断面と足は隠してた方が良かったかも…。って、今更だけど隠さないよりは良いよね。

 ベッドのシーツを引っぺがして体に巻き、ドラクルに詰め寄っているエドとポチの元へ行こうと這うと、フワリと体が浮いた。

 羽が生えた?と思ったがそうではなく、ルシフェルが起こしてくれていて、ゆっくりとエド達の所に運んでくれた。そしてピヨはエドの隣にイスを1脚置いて、俺はそこに座らされた。

 「寝てなくて良いのか?つか痛くないのか?」

 あれ?昇天レベルの怪我をすると痛覚がなくなるって事を知らない?知ってて言ってる?これ、本当の事を言ったら怒られるんだろうな…嫌われる?いや、黙ってる方が駄目だったじゃないか。だったら正直に全部話した方が良い…でも、今痛覚がない理由が良く分からないしなぁ…。って、それも全部説明すれば良いんじゃないか。

 「魔物用の痛み止めを飲んだら痛覚が全くなくなったんだけど、それが薬が利いたからなのか、副作用的なもので昇天レベルの負傷になったのかがいまいち分からないんだよね」

 よし、全部言った!だからくるぞ…絶対にくるぞ…。

 「はぁ!?」

 ホラきた!じゃない、早く何か言わないとドラクルに向けていた怒りが全部俺に来てしまう!って、それで良いのか。

 確かに俺はここに閉じ込められてる訳だけど、そこにこんな大人数で押しかけちゃって迷惑かけちゃってる訳だしね。

 とは言っても、怒りに燃えるエドの相手が今の俺に務まるのだろうか?

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