77/140
疾風迅雷
赤い絨毯が敷かれた城内を駆け抜け脱兎のごとく走り去る。立ちふさがる兵士の横をすり抜け片手でサヨウナラ。
曲がった先には大男――股下めがけて滑り込み急いで態勢を立て直す。踏みしめた右足をバネにして一気にその場を去って行く。
急げ急げと自分を動かす――兵士の真横で半回転、掴まれかけた手を振り切ってそのまま逃走。一人の兵士、掴みに来る手前でバックステップをかます。体制の崩れた兵士を跳び箱に、次の兵士に頭突きを食らわす。
「捕まえられるもんなら捕まえてみやがれってんだ」
金色に輝く瞳に電流がビリビリとほとばしる。
ニカッと歯を見せて笑う少年。
まっすぐ伸びた廊下の向こう、外へと出る扉の前を数人の兵士が守っている。通さぬと言わんばかりの気迫を少年に向けて剣を構える。
「――――んじゃね」
「――ッ!?」
開く扉、兵士たちが振り返るよりも速く――
「もうちょっと鍛えた方がいいかもね」
少年は振り向かずにそう言い残した。
「あれ、今たしかにここに……」
一瞬の出来事にただ茫然とすることしか出来ない兵士たち。
彼らのまばたきのその合間――一瞬の隙間に少年は姿をくらませていた。




