無駄死二
「こちら、ヒトマルゴ部隊……本部、応答をお願いする……」
「ズザッ……ズズッ……」
墜落した戦闘機
辛うじて残った機体の前部では
独りの兵士が死に物狂いで無線へと声を張り上げていた
だが、彼の出す声はか細く、焼き切れたように霞んでいる
「こちら、ヒトマルゴ部隊……本部、応答を……」
「………………」
放り投げた無線機が
機体のメーターにぶつかりガラスが割れた
砂嵐調の嫌な音が耳に極まれり、
どうにも、無線機から漏れ出ているようだ。
仲間は撃たれ、墜ちて、死んでいった。
なぜ私は生きているのだろう。
いっそ殺してくれればよかったのに、
腹部に刺さった鉄が抜けず、痛みだけが襲い来る。
死にたいと切に願うが、どうにも死ねない。
放り投げた無線機も、今はもう届かない。
動くことがどれほどの苦痛を伴うのか。
私にはそれが恐ろしくて動けない……。
本部はどうなったのだろうか。
応答がないということは、負けてしまったのかもしれない。
そもそも、小さな島国が、
大きな国を相手に勝とうというのが無理な話だ。
誰もが分かっていたことなのに、
誰一人として、この事実に見向きもしなかった。
私も含めて、バカばかりだ……。
言葉でどうにかしようともせず、
武力でどうにかしようとするなんて……。
知恵のある者のすることじゃない……。
眩む視界には曇り空、
広がっているのは灰色の世界。
綺麗なのか汚いのか、
それすらも曖昧な世界。
もし、世界がもっと秩序ある場所だったなら、
私は私の好きなことをしただろう。
けれど、世界はそうはさせてくれなかった。
人間という生き物が、そうはさせてくれなかった。
もし、次の生を授かれるのならば、
もっと平和な……綺麗な世界を……見せて欲しい…………――――――




