121/140
再開
街角の、少しだけ雲がかかった世界の色
明るくもなく暗くもない、丁度いい光の加減
大通りから見える路地はビルに挟まれて影を伸ばしている
室外機の回る音と風をその身に受けて奥へと突き進む
一つ、二つ、三つの光の線を跨いで到着したのは古びた喫茶店
プラスチックのような布が、申し訳程度の雨を防ぐために備え付けられている
ただ、人の肩幅ほどしかないその屋根はなんともか弱く見えた
茶色のアンティーク調の取っ手が付いた扉には、二列に並んだガラス窓が付いている
扉の隣にある大きなガラス板の奥には、丸机に椅子が点々と置かれていた
一見、適当に置かれているように見える配置
けれど、それは均一に並べられた少しの誤差もない配置だった
誰も居ない机の上には、一つずつメニューの書いている紙が置かれている
店内は素朴だが、とても素敵な色合いだった
光沢のある茶色を基調として、落ち着いた雰囲気の店内
いつも来ていたお爺さんの姿はなく、店内はしんと静まり返っている
このお店が再開する見込みはまだ無いらしい
コロナの影響が一番つらいです……。




