特産品を作ろう! ②
「うーん。うまくいかないわね」
キーリが錬成鍋から出てきた謎物質を見つめながら頭をひねっている。
この謎物質は知力を上げるブレスレットの失敗作だ。
結局ミーリアが納得のいくものができるまで一週間の時間を要した。
その結果、蔦と花を使ったなかなかかわいいブレスレットを作ることはできた。
制作を担当させられたリノは犠牲になったが。
一日に同じブレスレットを何十個も作らされれば嫌にもなるわな。
だが、ブレスレットが完成したからといってすぐに完成品はできなかった。
キーリが錬成で失敗してしまったのだ。
「なんでうまくいかないんだろ? 間違いなくやってるはずなのに」
「……もしかしたら、魔力が足りないのかもしれないな」
「? どういうこと?」
「古代魔術師文明の人たちは今よりも魔力量が多かったらしい。だから、キーリの魔力量がこの錬成をするのに足りてないのかも。これよりむずかしいものには最低魔力量みたいなのが書かれてるものもあったし」
古代魔術師文明の人は今の人間より魔力量の濃いところで生活していたらしい。
だから、全体的に魔力量が多かったらしいのだ。
この知力が上がる装備も古代魔術師文明の人なら当然のようにあった魔力量なので書かれていなかっただけで必要魔力量があったのかもしれない。
今、キーリの魔力量は合計で15くらいだ。
「じゃあ、私には作れないってこと? 最近魔力量が上がってないんだけど」
「まあ、今探索しているあたりではこの辺が限界って感じがするからなー」
魔の森の浅いところでしか探索していないから頭打ちになっていて、ここからはなかなか伸びないだろうと思う。
「ほんとはもうちょっと奥に行く予定だったんだけど、遺跡を見つけたり、ブレスレット作成でミーリアがハイテンションになっちゃったりでまだいけてないんだよ」
「あ~」
「あ、この話ミーリアたちには内緒だぞ」
遺跡を見つけた日、魔の森の深くに行って複数のグレイウルフと戦闘しようという話になっていたが、あれから遺跡を見つけてしまったり、ブレスレットの材料を探すのがメインになったりでまだ複数のグレイウルフとは遭遇していない。
「ミーリアは気づくと思うわよ。彼女は周りをよく見てるから」
「そうか……。スイの魔導書がどうなるかも心配だったし、ミーリアの件がなくても変わらなかったとは思うが。直接ミーリアにそれを言っても気にするよな」
確かに、ミーリアならすぐ気づきそうだ。
もしかしたら、ブレスレットが出来上がった今、落ち着いて考え直して頭を抱えているかもしれない。
「……アリアとミーリアを集めて、スイの様子を確認するのはどう? それなら、それとなくスイのことが心配で魔の森の奥に行っていなかったって伝えられるんじゃないかしら?」
「お! それはいいな。今日の夜に四人で集まって話をするか」
実際、俺の見ていないところでスイに何か異常が起きていないかというのも気になる。
もし何かスイに異変が起きているのであれば、その対応をする必要がある。
俺の魔導書みたいに呪いみたいなのがあるかもしれないからな。
***
「ふぁ〜。こんな時間に集めて何よ」
「とりあえず集まってほしいと言われたので来ましたが、詳しい話を教えてください」
夜。
スイとリノが寝てしまった後、アリアとミーリア、キーリと俺の四人は食堂に集まっていた。
アリアはいつもは寝ている時間だからか、かなり眠そうだ。
「三人に集まってもらったのはスイのことだ」
「スイ? スイがどうかしたの?」
「スイは魔導書に選ばれただろ? その後、変化がないか確認したい」
「! やっぱりあの魔導書危ないものだったの!?」
アリアはガタリと椅子から立ち上がる。
仲間思いのアリアは本気でスイのことが心配なんだろう。
「……特に何もないはずだ。魔導書って言ってもそれ自体にはそこまでの力はないと思う」
アリアはホッと息を吐いて腰を下ろす。
俺は少し嘘をついた。
魔導書には持ち主を乗っ取るような危ないものもある。
まあ、そう言った魔導書は古代魔術師文明時代に処分されて、今残ってるものに危ないものはほとんどない。
「それで、スイに特に異常がないのならもう少し魔の森の奥に行ってみようと思ってるんだ」
「……危険じゃないですか?」
ミーリアが不安そうに俺に聞いてくる。
その不安はもっともだ。
「今のみんなならもう少し奥に行っても十分やって行けると思う。いざとなれば俺が手を貸すし」
「……もっと強くなってからじゃダメなの?」
「アリアは最近魔力の伸びが悪くなってきてないか?」
「え? えぇ。そういえば、最近伸びてないわね」
「今探索しているところの魔力濃度だと、このあたりで頭打ちになる。グレイウルフ一体ではアリアたちにはもう弱すぎるんだよ。効率よく鍛錬しようと思えばもう少し奥に行った方がいい」
「……そうなんだ」
アリアは俺の話を聞いてにやにやしだした。
やはり、自分が強くなると嬉しいものらしい。
(アリアはもう行く気になっているな)
ミーリアのほうを見ると、彼女もまんざらでもないという顔をしている。
「私たちの師匠はレインですから。レインがそうしたほうがいいと思うのでしたらそれでいいと思います」
「よし。じゃあ、明日から魔の森の奥に行ってみようか」
こうして、俺たちは魔の森のさらに深くに行くことにした。
ブクマが1万の大台を超えました。
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明日も二話投稿します。
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