武器を装備しよう!④
「やっと帰ってこれたー!!」
「お疲れ様」
村に帰り着くと、アリアが喜びの声を上げる。
さっきは連戦すると言っていたのに、今はヘトヘトのようだ。
まあ、無理もない。
帰りに結構な数の魔物に追われることになった。
「予想以上に魔物に襲われましたね」
「いっぱい、来てた」
最後の方は全速で村に向かって駆け抜けることになってしまっていた。
それも、俺たちが倒した魔物の魔石を持っていたからだ。
魔石は魔力の塊だ。
魔物にとっては美味しい餌になる。
だから、魔石を持っていると魔物がたくさん襲ってくるのだ。
どうやって感知しているのかはわからないが。
「だから最初は魔石は魔物を倒したところにおいて行った方がいいって言ったのに」
「……だって。もったいないじゃない。これひとつで結構な価値があるのよ?」
貧乏性を発揮したアリアがガンとして聞かなかったので魔石を持って帰ってきた。
だが、彼女も予想以上の、魔物の襲撃だったらしく、ちょっと後悔しているようだった。
「まあ、いいじゃん! 俺は楽しかったぜ!」
「もう。リノったら」
一人だけ元気なリノが笑顔でそう言うと、ピリピリした空気は霧散した。
魔物のいない帰路を探していた斥候のリノが一番大変だったと思うんだが彼女は堪えた様子が見えない。
「そんなことより、早くグレイウルフを倒しに行こうぜ!」
「あぁ。少し待ってくれ」
そう言って俺は工房から今までに作っておいた土属性の魔術成分物質を持ってくる。
「一回戦闘したらちゃんと『装備修復』で武器を直しておいたほうがいい」
「これくらい大丈夫よ」
アリアはそう言って自分の盾を俺に向かって見せる。
表面には小さな傷がいくつかついているが、ほぼ新品だ。
「まあ、今回は大丈夫だと思うが、戦闘ごとに『装備修復』をかけるくせをつけておいたほうがいい。もし戦闘中に壊れたりすれば洒落じゃすまないからな」
「……レインがそう言うんだったらそうするわ」
アリアがそう言って武器を差し出す。
それに倣うように他の四人も武器や防具を俺のところに持ってくる。
どうやら、五人ともきれいに使ってくれているようで、傷らしい傷は見つからない。
いや、リノの武器だけは豪快に魔物に突き刺したせいで少し曲がっていた。
しかも、結構大きな傷もある。
枝を払うのとかにも使ってたな?
「リノはこれを振ってて違和感なかったのか?」
「うーん。たしかに戦闘後はちょっとモヤモヤしたけど、すぐになれた」
「そうか」
リノはやっぱりセンスがいい。
武器の歪み分にすぐに対応したらしい。
「歪みを戻しても大丈夫そうか?」
「うーん。多分大丈夫!」
「そうか。じゃあ、リノの短剣からやるか。キーリ」
「えぇ!? 私がやるの?」
「いや、当然だろ。何のために昨日『装備修復』の魔術を教えたと思ってるんだ」
『装備修復』の魔術は実はそれほど難しくない。
武器に初期状態を覚えさせておいて、魔術を使えば自動でその状況に武器が戻っていく。
その際に土属性の魔術成分物質を消費するので、今はあまり使われていないらしいが、ここでは魔の森から素材が取り放題だからやらない手はない。
「わかったわ」
キーリは決意を固めてリノの短剣の前に立つ。
そして、気持ちを落ち着けるように深呼吸をする。
「……。『装備修復』!」
キーリが魔術を発動すると、素材が減ってリノの短剣が修復されていく。
しばらくすると、リノの短剣は新品同然の状態に戻った。
「おー! スッゲェ! キーリねぇ! ありがとう」
リノはキーリの直した短剣を手に取り、何度も振って具合を試す。
どうやら振り心地はいいようだ。
キーリもその様子を見てホッと胸を撫で下ろす。
「オッケー。うまくいってるよ。今後は素材の減り方とかを確認して、これ以上は直す必要がないってところで止められるように気をつけてね」
「? どういうこと?」
「実はこの魔術は素材が元の形に近づけば近づくほど素材と魔力の減り方が多くなる。でも、正直、完璧に元どおりにする必要ってないだろ? だから完成の直前で止めるのが1番いい」
物を作る呪文は最後の詳細な整形部分が1番魔力を消費する。
だけど、正直、そこまで詳細な整形は必要ないのだ。
分子の並びとか顕微鏡でも見えない小さな傷とかがあっても害になることはまずない。
だから、基本的に最後の部分に入る直前で魔術を止める。
物体形成系の魔術はそのために大体途中で止められるようになっている。
「じゃあ、それを念頭にアリアの盾から修繕していって」
「わかった」
キーリは俺の指示を胸に留めて続きの『装備修復』の魔術を始めた。
今日も二話投稿します。
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