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【WEB版】追放魔術師のその後 ~なんか、婚約破棄されて、追い出されたので、つらい貴族生活をやめて遠い異国の開拓村でのんびり生活することにしました~  作者: 砂糖 多労
なんか、弟子がたくさんできました。

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武器を装備しよう!①

「帰ったな」

「なんで来たんだろ?」


 俺はアリアとミーリアと一緒に去っていく辺境伯一行の後姿を見送る。


 あっという間の訪問だった。

 来てからそう時間もおかず、魔石やキーリの抽出した土属性の魔術成分物質を結構な値段で買い上げていった。

 まさか、買い物をするためにこんな開拓村まで来たわけではないだろう。


 アリアの言う通り、なんで来たのかわからない。


「おそらくですが、最近になって男手がいなくなったことに気づき、人員の補充に来てくれたんではないですか? 一緒に来ていた男性のうちの一部はこの村への移住希望者だったのではないかと」

「え? でも一緒に帰っちゃったわよ?」

「それはおそらく、レインがいたからです」

「俺のせい?」


 いきなり責任を擦り付けられた。

 俺は何かいけないことをしていただろうか?


 困惑している俺にミーリアは優しく笑う。


「別に悪いことをしたというわけではないです。家や塀のことを聞いていたので、辺境伯様はレインがこれを作った凄腕の魔術師だと気づいたのでしょう。だから、そんな魔術師のレインともめる危険性のある住民を置いていくより、このまま私たちにこの村を任せた方がいいと判断して全員連れて帰ったんだと思いますよ。収集した魔石の量を見て連れてきた人の顔がこわばってましたから、移住しても大して役に立たなかったでしょうし」

「……そうね。それに、今は寝る場所が一部屋しかないから、移住者が一気に増えても困るわ。知らない男と一緒の部屋で寝るなんて嫌だもの」

「……」


 寝室が一つしかないのはお前の差し金だろといいたくなったが、グッとこらえた。

 本人はばれてないと思っているようだし、突いてもめんどくさいことになる未来しか見えない。


 ミーリアも同じことを思ったのか、一瞬目が合ったので、うなずきあった。

 たぶんこれはアリア以外の全員、アリアが一緒の部屋で寝るように画策したことに気づいてるな。


 まあ、それはさておき。

 正直、俺としては女ばかりより、男が一人くらいいるほうがやりやすいんだが、アリアは移民を受け入れたくないみたいだ。


 それにアリアたちに魔術を教えている手前、変なやつを入れるのは問題が大きい。

 さっき辺境伯に魔術を教えてほしいと依頼されたが、どこまで効力があるかわからないからな。

 アリアたちだけなら家や塀が作れるくらいまで教えてもいいだろう。

 正直そこまで行けば魔の森の浅いエリアに敵はいなくなるだろうし。


 ここは乗っかっていく方がいいな。


「……まあ、今から追いかけて移住者をくださいって言ったらくれるかもしれないが、俺としては今の環境が結構気に入ってるから当分は今のメンバーのままでいいかな」

「! そうね。レインがそういうならそうしましょう!」


 どうやら、俺の返事は正解だったらしい。

 アリアはかなりテンション高く家のほうへと戻っていく。


 ミーリアは俺のほうを見て微笑んでいる。

 彼女には俺の考えがばれているようだ。


「私たちも家に帰りましょう」

「そうだな」


 俺たちはアリアの後を追いかけるように家に戻った。


 ***


「レイン兄ちゃん! 早く魔術を教えてくれよ!」

「準備は、できてる」


 家に戻ると、スイとリノが食堂で魔術の練習の準備をしていた。

 キーリも二人ほど前のめりではないが、やる気満々のようだ。


 まあ、これから念願の魔物との戦い方を教えてもらえるというところで辺境伯が来て一時お預けになってしまったのだ。

 気持ちはわからなくもない。


「まあ、落ち着いて。練習に入る前に装備をみんなに配るから」

「「「「「装備?」」」」」


 五人はきょとんとした顔をする。

 いや、どうしてきょとんとした顔をするのか。


「まさか、魔物に丸腰で戦いを挑むわけにはいかないだろ? 剣とか杖とかそれぞれ使いやすそうな装備を準備してあるからちょっと待ってて」


 俺はそういって部屋に戻って『収納』の中から装備を取り出して食堂に戻る。


 明らかにどこに持ってたんだよという量の武器を持ってきたが、5人とも最近は俺の魔術については聞いてこなくなった。

 みんなのためを思ってのことだが、毎回説明するのは骨が折れるので正直助かるところだ。


「じゃあ、まずはリノだな。リノには短剣だ」

「おぉ! かっこいい!」


 俺がリノに鞘にしまわれた短剣を渡すと、リノはぴょんぴょん飛んで喜ぶ。


「短剣の扱いはあとで簡単に教えるけど、リノの役目は魔物の注意を引いてかく乱することだ。無理に倒そうとする必要はないから」

「えー。俺も魔物を倒したいぞ!」

「まあ、そういうな。今は無理でもそのうち一人でも倒せるようになるから」

「むー。わかったよ、レイン兄ちゃん」


 リノは少し残念そうではあるが聞き分けてくれた。


 リノは言動に似合わず、かなり頭が切れる。

 野性的な勘もかなり強いので、本当に自分のやるべきことはちゃんと理解し、言わずともやってくれるのでほんとに助かる。


「じゃあ、次はアリアだな。アリアには防具と小盾、あと片手剣だな」

「わかったわ! その剣で相手を倒すのね」

「まあ、そうだけど、メインは盾で防御をすることだから」

「なんでよ!」


 アリアは剣を見て目をキラキラさせているが、アリアのメインは剣ではなく盾になる予定だ。

 主に盾で味方を守りながら、必要に応じて魔物を攻撃するという形になるだろう。


 だが、アリアはそれを良しとしなかったようだ。

 まあ、剣でズバッとカッコよく戦いたいという気持ちはわかる。


「アリアにはみんなを守る役割をお願いしたいんだよ。森なんかでの戦闘だと、遠くから狙い撃ちして倒すということができない。どうしても魔物の攻撃を受けることになる。だから、その攻撃からみんなを守る役割が必要なんだよ。その役割をアリアにやってほしいんだ」

「わかったわ! みんなを守るのは村長である私の役目だものね!」

「あと、剣は魔力が通りやすいようにそこまで頑丈にできてないから、毎回、使った後には魔術で修繕しないとだめだからな?」

「それくらい問題ないわ!」

(よかった。納得してくれた)


 意気揚々と防具と盾を装備するアリアをしり目に、俺はほっと胸をなでおろした。


 アリアは少し。

 ……いや、結構頭が固い。

 だから、アリアの説得にはちょっと手間がかかると思っていた。


 先に装備を渡したリノがちゃんと納得したのも大きかったのだろう。


 最初は盾だけを渡すつもりだったのだが、それだけじゃ納得しなさそうだったので片手剣を追加して『みんなを守る』というお題目までつけたのだ。

 これでだめならミーリアやキーリも含めて説得しないといけないと思っていたくらいだ。


 ちらりとキーリとミーリアのほうを見ると、二人も胸をなでおろしている。

 たぶん俺と同じことを考えたんだろうな。


 俺はそんなことを考えながら次に渡す装備を準備した。

 明日も二話投稿します。


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