秘密で準備しよう④
「そういえば、今日の昼間はアリアとリノはいないみたいでしたが、何処かに行っていたんですか?」
「え?」
ミーリアの誕生日は明日に迫っていた。
明日はミーリアが起きる前に起きてパーティの準備をするため今は早めの夕食をとっている。
そんな夕食中にミーリアがいきなりそんなことを聞いてきた。
今日の昼間はせっかくなら生の果物も出そうということになり、再び果物が取れるエリアに行っていた。
実は自分たちが食べたいだけなんじゃないかという気もしなくはなかったが、別にそこまでの手間でもない。
だから、アリアとリノと一緒に村を空けていたのだ。
前回は時間も短かったため果物をパーティで使う分ギリギリしかとってこなかったのもあり、味見程度にしか食べれてなかったようだし。
今日は休みの日で一日中自由に動ける。
せっかく行くのだから、今度はパーティーで使うより多めにとっておいてもいいだろうということになっていた。
そのため、昼間はかなり長い間村を空けていたと思う。
今日も昼間、ミーリアはぼーっと本を読んでいたのでスイとキーリを同じ部屋に残して三人で行ってきたのだ。
今まで一週間の間全く気付く気配を見せていなかったので完全に油断をしていた。
別に今日は休日なのだから、昼間に何をしていようと咎められることはない。
ふつうに外で遊んでいたといえばよかったのだ。
だが、アリアは一瞬返答に詰まってしまった。
そのせいで、ミーリアは少し不審に思ってしまったらしい。
「? 私には言えないことですか?」
「そういうわけじゃないんだけど……」
アリアはさらに言いよどむ。
ミーリアは手を止めてアリアの方を見る。
完全に不信感を持たれてしまったらしい。
これはまずい。
いや、別にばれても問題ないんだけどさ。
せっかく前日まで秘密で来たんだからサプライズを成功させたいじゃないか。
俺がそんなことを考えていると、アリアは俺の方を助けを求めるように見てくる。
そんなことをしたら俺まで不審に思われるだろ。
案の定、ミーリアはアリアがちらちらと俺の方を見ていることに気が付いたらしい。
「? レインも知ってるんですか? そういえば、レインもいませんでしたね」
「あー」
ミーリアの矛先が俺の方に向く。
俺は返答に詰まってしまう。
すまん。アリア。
これは即答するのは難しいわ。
俺は頭を回転させて何とか違和感のない返答をひねり出そうとする。
「もしかして、隠し事ですか?」
「……二人には、私の、素材採集に、付き合ってもらってた」
「スイ?」
俺たちが冷や汗を流していると、スイが助け舟を出してくれる。
ミーリアの注意はスイへと移る。
助かった。
俺とアリアはほっと胸をなでおろす。
「ちょっと、やりたいことが、あって、付き合って、もらってた」
スイはそれがあたかも真実であるかのようにミーリアの方を見てそういう。
その様子には全く違和感が感じられない。
もしかしたら、こうなることも想定内だったのかもしれない。
スイ、さすがだな。
「そうだったんですね。でも、どうして私に隠してたんですか?」
「ミーリアに、知られたら、ミーリア。暴走しそうだったから」
「……そうですか」
ミーリアはスイの言っていることに納得したようだ。
ミーリアも、売れそうなものとなると自分が暴走するとは気付いているようだし、不審には思われなかったのだろう。
ミーリアは静かに食事をし始める。
(やっぱり、ミーリアは元気がないみたいだな)
俺はその様子を見て、ミーリアは本調子に戻っていないと確信した。
普段のミーリアであれば、ここで「それはどんなものですか!」とスイに食いつくはずだ。
今は静かに夕食に戻っている。
(明日のパーティは辛いことが忘れられるくらいの盛大なものにしよう)
俺はそう心に決める。
これまで一週間ミーリアの様子を見てきて、たぶん誕生日が原因ではないとは思う。
でも、パーティをすれば少しは気がまぎれるだろう。
顔を上げるとアリアたち四人と目が合う。
どうやら、四人も同じことを思っているようだ。
当然か。
彼女たちは俺よりも長い間ミーリアと一緒にいるのだ。
彼女の調子が悪いことくらい俺より正確に理解しているだろう。
俺たちは五人で強くうなづきあって食事に戻った。
次は明日更新する予定です。
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