11優しい人
「ぼかせと…ぼかせって言ったよねぇ僕!!僕、これでも女性に対する礼儀は弁えてるけど1回殴らせてくれないかな…!」
「えー、レベル差的に即死しちゃいますよー。というか今のこれでもHPがわりと減って…」
「ちっ、とりあえずこれ装備して。倉庫に埋もれてたものだけど僕の心の安寧のためにつけて」
イライラしながら投げて渡されたのは赤い宝石のついた少しごついデザインの腕輪だった。
-守護の腕輪+17★★★
-筋力+10、HP+300
-エンチャントオプション
–HP125,HP120,HP121
………いや、やっば。これかなりレアアイテムじゃないか。
しかもエンチャントもしっかりついているし強化もしてある。これだけでHPが666+筋力上昇分増えるよ…私のHPは現在37なんですけど…。
「殴るために装備させるんですか?」
「………殴らないよ。君、危なっかしいからコロッと死んじゃいそうで不安なだけ」
長い溜め息をつきながら、乱雑にクッキーを取り出してもぐもぐ食べ出すシャードさん。本当に疲労を与えさせて申しわけないとは思ってるんだけど……つい、シャードさんの反応が面白いからからかいたくなるんだ。
「とりあえずわかってるだろうけどそれをそのまま売るのは甘味を売るレベルでヤバい。でも、強くなるために売って現金を作りたいって言う君の気持ちもわかる。それでパッと思いつく案をとりあえず言っていくよ」
「はい」
「…まずはもう諦めて囲われること。忙しいけれど利益をしっかり払ってくれるのはクランかな。求める人が多い分支払いは国や貴族よりはちゃんとすると思うよ」
クランかあ。まだどこがどうとか情報がないからそれもまた選びにくいよね。まあ情報がないのは貴族様とかも同じだけれど。
「次は安い素材は諦めて廃棄して高級素材のみを売ること。オークションとかでいいなら足がつきにくいし…まあ、僕が登録しに行ってもいい。このデメリットはそうだな、これ10本とかのクラスじゃないと売れないし手数料もかなりかかるね」
オークション。それはゲームにはなかった機能だね。ゲームだと市場と言って金額を指定して誰でも買えるショップに登録することしか出来なかったから。
「あとは…これが一番君にはオススメかな。高額品はオークションに出してそれ以外は……僕がクランに売る」
…その提案に思わず、え、と変な声が出た。
「君は囲まれたくない。でも、囲いを振り払う力が無いのが目下の問題だ。だから君が無理な要求要望を振り払えるようになるまで……時間稼ぎくらいなら僕にも出来るよ。といっても採掘者の特定を困難にしたいからこの地域だけじゃなく、あっちこっちの地方の採掘品も取れるようになるまでギルドにもおろせないけどね。それまでは少量だけ販売して、残りは倉庫を手に入れるのが無難かな」
「……良いんですか」
最後の提案。それは私の後ろ盾だけでなく……私の代わりに矢面にまで立ってくれると言う提案だ。
絶対面倒事になるってわかってるのに
そこまで見る必要なんてこの人にはないだろうに
甘味が欲しいのはそうなんだろう。だけどそれ以上にこの人は……
「ダメならこんな提案はしないよ。まあ僕に囲われるようなものだからそれも嫌って言うなら、」
「シャードさんがいいです」
本当に、勿体ないくらい、底抜けにいい人だ。
「シャードさんになら囲われてもいいです。最後の提案で是非宜しくお願いします。面倒にならないように気をつけますから」
姿勢をただし、しっかりと頭を下げる。
……与えられた優しさの上に胡座をかいてはいけない。
この人にもっと…見返りを返さねば。
「…ふん、でもあまり時間は稼げないかもだから早く強くなってよね」
「はい!!」




