8認識のすり合わせ
長年ゲームをやっていると結婚システムのあるゲームはいっぱいあった。
結婚した途端束縛が酷くなったり
裏で別の女性に声掛けたり
ゲームとリアルを混同してリアでもあいたいと言われたり
楽しかった思い出も多いけど、同じくらい地雷案件もあったんだ。
「……ごめんね、元気だしな、これあげるから」
「……君は素敵な女性だ。いい出会いはきっとあるよ」
死んだ目をしていたせいか2人におやつを貰った。下手な恋愛関係より、このおやつの方がよっぽど有益だよ本当に……。
後味の悪くなってしまった食事のあと、シャードさんのプレハブ小屋に連れていかれた。
そして先日と同じくシャードさんがベッドに、私が椅子に座ってシャードさんがコトリと机の上に何かを置いた。
これは…消音の小道具だったかな。なるほど、外に漏れたら困る話をするってわけだ。
「……そうだな、まず何から話したものか…
言いたいことが色々とあるのでまずは聞いてくれると助かる。最後に質問も受け付けるから何かあったらそこで聞いてくれ」
「わかりました」
「君はやりたいことがあるので、依頼がいっぱいになって身動きが取れなくなることを良しとしていない…だから冒険者にならない。これは冒険者ギルドだけじゃなく、王家や貴族、上位冒険者に囲われることも拒んでいるという認識でいいか?」
「はい。しばらくはレベル上げとか自分のために動きたいです」
「なるほど。ならば冒険者にならないという君の選択は正しい。だが恐らく君が考えている以上に……君のことを知れば色々な人物が君を確保したがるだろう。君はそのことをよく自覚して欲しい」
そう言ってシャードさんがインベントリから取り出したのは…先日渡したシロップだった。
ペットボトルサイズの瓶は…ゆっくりとテーブルに置かれた。
「深くは詮索しない。しないが君が採掘スキルを所持していることは薄々察している。水晶や樹液、銅鉱石などはこの地域で採取されると調査されているからな………だが樹液はどこで採れるのかは記録に載っていない」
え?いや、名前見ればわかるでしょ
樹液、樹の液体だよ?樹から取れるってわかるでしょ…。
「市場にはそこそこ出回るので恐らく1部のものたちは知っているのだろう。だがその者たちもギルドや貴族などに囲われているほど……この世界は甘味に飢えている」
「……は?」
「これ1本で銀貨2枚だ。それも即売された値段で、実際はお目にかかれないし買うこともできない。君がテレサさんに使うように頼んだのは王族すら動く逸品だ」
た、たかがシロップが。王族すら動くと聞いてごくりと唾を飲み込む。
ところで銀貨って銅貨何枚分なんだろう。
そんな凄かったシロップをシャードさんはつんつんとつついている。
「…気軽に出して良いものじゃなかったことは、わかりました」
「そうだな、その認識でいい。甘味は味もいい事ながら疲労回復の効果が何よりも強い。上位の冒険者は甘味の入手手段を持ってるか否かで序列が変わるほどだ」




