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第15話 奴ら


 日本という国は世界一治安が良くて、医療も発達していて、海外と比べれば天国のような国だと、僕ら日本人の大半が脳裏の隅にその感覚を隠し持っているだろう。


 テレビから夢の海外旅行を猛プッシュされる一方、ニュース番組は、他国がどれほど危険に満ちているか、それを執拗なまでに煽る。だから恐怖した僕らは思うのだ。海外は住むもんじゃない。日本が一番だ。それは絶対神話のように国民全体に染み込んでいる。


 「嘘やそんなん!!ありえへんて!」


 「せやなぁ〜わかるでぇ」


 けれど二キロは断言する。日本は将来先進国では無くなり、治安は悪化。貧民層が大幅に拡大し、強盗や殺人が横行。それでも海外に逃げず、祖国に残った富裕層は独自の都市を築き、安全に暮らしている。そしてそれ以外の国民はボロボロになった社会に取り残された。まるで世紀末のような時代だ。


 「ほんまなん?」


 「ほんまや…」


 一切ふざけている素振りを見せない。本当の事なのだろう。二キロはそんな未来を変えるためにここへ来たのだ。


 「キロ、もう腹決めるしかないで。俺らがやるしかないねん。俺らが救うんや!この日本を!」


 そんな無茶言っても僕は小学生だ。一体何ができると言うのか。けれどその答えはすぐに用意された。


 「簡単や!…バグを修正すんねん」


 二キロはようやくあの内臓の怪物の正体を説明する気になってくれたようだ。


 「俺らが倒したアレ…。実のことを言うと未来から送り込まれたバイオマシンなんや。それもえらい迷惑な奴やで…」


 説明は続く。あの内臓の塊。人に寄生する謎の生物。その正体は未来から送り込まれた寄生型バイオマシンだった。


 その目的は、未来を変えること。けれど二キロの言う救いたい未来の姿では無い。むしろ彼の知る世紀末のような時代を維持するのが目的。そう説明する。


 「奴らが始末したい人間は山ほどいる。それを全部阻止するんや。奴らはまたこの時代に送り込んでくるはずや。それもとびっきりやばいのをな…」


 奴ら…。僕はそのワードを聞き逃さない。二キロは何かと争っている。そして唾を飲み込む。あの怪物よりやばいもの。それとまた対峙して命のやり取りをしないといけないなんて…。でもそのお陰で僕は変われた。不安はあるが、それよりも成長していく自分に興味が出てきたのであった。


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