第13話 ニキロボット
ステレオタイプのような効果音を発しながらそれは近づいてきた。
「ウィーン!ウィーン!!」
その動きはまさしくロボット。カタカタとぎこちなく動く。僕はそれをぼーっと見つめた。滑稽であるがとても笑えるような状況ではなく。椅子に縛り付けられては身動きも出来ず、取れるリアクションは限られていた。
「反応せんのかーい!!」
部屋全体に響いたそのツッコミは目の前のロボットから発せられた。先ほどまでのぎこちなさが嘘のようにスムーズな動きに変わる。まるで生きているみたいだ。
「何やつまらんな。ほんまにお前って奴は昔からそうやな…」
「…二キロなん?」
「せやで」
信じられない。二キロは人間ではなかった。僕は騙されたのかどうなのか混乱して思考が追いつかない。思ったことがそのまま口に出た。
「全然僕やないやん!ちゅうかこれ何や!どうなってんねん!」
「まぁまぁまぁまぁー。ちょっと落ち着きぃ。説明したるからとりあえず、はよ逃げるで」
二キロボット。僕は心の中でそう名付けた。彼はこちらを指差すと、人差し指から何かを照射した。それは不可視の何か。けれどその動作と共に僕を縛り付けていたロープが焼き切れた。それを見て何となく何かが出たのだと察する。
「スゴ…」
「カッコええやろ?」
ロボットフェイスに表情はない。けれど声色からドヤ顔なのが伝わった。ムカつく奴である。こんな奴が未来の僕であってほしくない。何があったらこんなに自己肯定感のウザ高い奴になれるのか。不合理だ。
「ほな行くでおデブちゃーん!」
「誰がデブや!」
その抗議を無視してニキロボットは胸と腹の装甲を解放する。そして大きな手で僕の両脇を掴み上げた。
「入るかこれ?ぱんぱんやないか」
「ちょっ!痛いってやめ!」
「ええからええから」
何も良くない。よく見るとニキロボットの中身に大人一人分の操縦スペースが内蔵されている。そこに僕を入れようというのか。しかしそれはスレンダーなオノコ専用に見える。このだらし無い贅肉が収まる気がしないのだ。
「ほーら頑張れ!ギュッギュッギュ〜や!」
「動けへんのやけど…」
無理矢理僕がぱんぱんに詰め込まれたのを確認すると彼は「よし!OKや!!」と勝手に納得して装甲を閉じるのであった。




