第11話 暗転
ドタバタしててすっかりでした!よろしくお願いします!
未来は良い方向に変わったのだろうか。病院で目覚めたあの日から二キロの存在を感じない。少し寂しい気持ちが込み上がってくる。彼のいない毎日はとても静かで味気ない。心の何処かにポッカリと空いた穴を塞ぐようにして僕はダンボールの端材を掴んだ。
「もうええな。昔のことは忘れよ」
頭の中で何度もリフレインしていた担任のキラーワードが気付けば何ともない。胸に湧いてくるはずの痛みも綺麗さっぱり無くなり。あの頃のワクワク感が蘇ってきた。
「今度は何作ろかな〜♪」
穴歌混じりに工作がサクサクと進む。時間を忘れるほどに没頭した。この気持ちだ。そう、この感覚を求めていた。何にも囚われる事なく。ただ自分の為だけに何かを生み出していく。納得いくまでのめり込んでいく。僕は失いかけていたこの気持ちをもう一度取り戻したのだ。それが嬉しくて自然と涙がポタポタ落ちるのであった。
そして作業すること数時間。活動再開の記念すべき一作品目が出来た。それは近未来的な銃の形。ダンボールで出来ているはずがとても重厚感がある。力作だ。中に仕込んだカラクリでゴム弾を発射する。納得のいく出来栄えだった。僕はふと試し打ちがしたくなり。立ち上がった。けれどずっと座りっぱなしからの急な姿勢の変化に体が追いつかず眩暈を起こした。
視界が砂嵐のように不明瞭になり体の感覚が曖昧になる。冷や汗がびっしょりと皮膚を伝う。何とか机にもたれかかる事が出来た。けれどしばらく動けそうにない。とにかく耐える。辛いが案外、何とかなる気がした。病み上がりにも関わらず頑張り過ぎたらしい。何だかそんな自分でいられる事が最高に嬉しい。
そう思っているうちに徐々に症状が和らいだ。何とかなったなと安堵する。そしてゆっくりと目を開ける。とても眩しくて周りが良く見えなかった。おかしい。僕の部屋はこんなに明るくはないはずだ。シーリングライトの強さも2段階ぐらい下げてある。そんな事を思っているうちにようやく目が慣れてきた。そして絶句する。
「え…。何処やここ…」
そこは謎の部屋。僕は椅子に縛り付けられ、スポットライトを当てられている。皆目見当もつかない状況にあった。




