表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/31

30話

こちらもお久しぶりです

執務室を通り抜け様に感じる遠慮ない視線に眉間に皺が寄る。


「相変わらず、不躾な視線やな。仁科殿?」




刺々しい東堂さんの声に、仁科さんも苦く笑う。


「悪いな。君達も居心地が悪いやろ」


「なんでこんなに見られるんですか?僕がこんな見た目だから?」


しょんぼりする陽太に、違うぞ、と重盛さんは慌てて陽太の頭を撫でる。


アルビノである事を式神署で気にする人が皆無だから、漸く最近容姿を気にしなくなってきたのに。


陽太の手をぎゅーと握れば、陽太はにこにこと笑って握り返してくれた。


可愛い!陽太は可愛い!天使!と心の中で叫んでみた。


「 (可愛えぇわぁ)」


「(式神署の新人は擦れてなくて羨ましい)」


「(小動物のようでいいな。癒される)」


「うちの子は良いだろう?仁科殿」


にんまり笑う東堂さんに、本当にな、と仁科さんが頷いた。


相変わらず視線は突き刺さり、陽太の事もあって、むうっと頬を膨らませ、まだ着かないのか?と東堂さんにアピールすれば、苦笑して小さい子にするように頭をポンポン叩かれる。



視線を遮断したいと思いながら進んでいれば、一番最奥の襖の前に立つ。


不思議と、この場所はお札が全然なかった。


「博士、式神署の4名を連れてまいりました」




「入りなさい」


静かにけれど襖越しでも通る中性的な声に占術博士は、どんな人なんだろう?と興味が湧いた。





静かに襖を引けば、部屋には2人がいた。


促されたので、正面に座って2人を見る。


1人は東堂さんと同じくらいの年頃の子で白い肌に細身で三白眼なせいか少しキツめな雰囲気が漂う。

心なしか此方を見る目も睨んでいるようで、居心地が悪い。


もう1人は、博士かな…残念ながら顔はわからない。


・・・仮面をしているもの。


私も陽太も、暁さんで慣れてるから特に気にしない。


・・・気にしないけど、平然としている事に驚いたのか、それも気に食わないのか、三白眼青年からますます睨まれている気がする。



「 久しいな、式神署の2人、そして初めまして、新入寮生の2人だね?


私は平野彰仁という。占術署の博士をしている」



中性的な声だが、優しく穏やかな声色でいい人そうだと雰囲気だけで判断する。そして多分まだ30そこそこの年齢だろう。


「陽太です」


「旭です」


「2人とも、よろしく頼むよ。


あぁ、これはウチの占術師で君たちと今回行動を共にしてもらう」


平野博士が促したので仕方なく、というスタンスを取って渋々三白眼青年は浅く頭を下げた。


「慈郎だ」


「(とりあえず、感じ悪いわ)」


「すまないね」


「いつもの事ですから。それより、攫われたゆーのは?」


いつもの事、というのは?と思いながら本題に入る邪魔をしないよう黙って見守る体制を取る。


不明になった1名は、占術署の新人の11歳の少年で休みの日に洛西の生家に行くと先輩である慈郎に言って、そのまま帰ってこなかったらしい。


「家には当然帰っていないので?」


「ご母堂には、次の休みにまた帰ってくると言って生家を出たらしく、その後の行方が分からないのです」


首を振る平野博士は、行方不明になった少年が心配で心配で仕方ないのか物憂げな雰囲気だ。


「その少年の名は?」


「竹久と。竹久の背は、旭殿より少し高く黒髪黒目で目元に泣き黒子がございます」


「承知しました。


では、式神署に一度戻り所用の準備をして、太陽が中天に差し掛かる頃陰陽寮を出ようかと思いますが宜しいか?」


東堂さんが前半は平野博士に、後輩は慈郎に確認を取る。


「助力、痛み入ります。よろしくお願いします」


「承知しました」


2人の了承したので東堂さんに促され立ち上がり部屋から出れば、仁科さんが待っていてくれた。


「・・・相変わらずやな。仁科殿」


「此度は、慈郎やったな。そら、すまんなあ」


ぶすっとした表情の東堂さんに、仁科さんも苦笑を返していた。


「源さん、さっきのあのやり取り普段通りなんですか?」


「ああ、そうだな。


基本、式神署は他部署からよく思われていなくてね。博士や仁科殿という風に好意的な方もいるが少数派だな」


「なぜ仲良くないのですか?」


陽太がこてんと首を傾げて聞いたので、確かにと私も源さんを仰ぎ見る。


「あのやたら見られたのも、よく思われてないからってのが原因ですか?」


「そうだな。陽太や旭、まあ式神署は全員か。


霊力があり陰陽寮を象徴している部署と言って過言ではない。


主上の覚えもよく、今の陰陽頭も式神署の出だ。非常に目立つ部署でもある」


「つまり、妬ましいゆーわけやわ」


「身も蓋もないが、その理由が確かに多いわ。


慈郎も第1希望部署は式神署やった」


東堂さんと仁科さんも会話に入る。まだ占術署内なのに良いのか?そんな言い方、と思いながらも納得する。


「気難しいヤツだから少し心配なんやけど、行方がわからないのが慈郎の直下やからな。

4人には申し訳ないが」


とりあえず、ややこしそうな人なわけだ。取扱い注意人物ってことかなあ?





「フツーに見つかれば良いなあ」




人はそれをフラグという

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ