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25話

「で?なにがあったんや??きちっと教えてもらおーやないの」





休みが明けて翌日、始業の合図である鐘が鳴った頃、本来ならば向きあっているのは文机であるはずなのに、東堂さんと向き合っていた。アレ可笑しいよね?



厄介事になど巻き込まれてはいないかのように平然と振る舞っていたつもりだった。



「なにかありました、って顔に書いてあるで。


ワシをだまくらかそーなんざ1000年早いわ」



にんまり笑ってるけど全然目、笑ってないんですけどー!!



「ほら、隠し事はちゃっちゃと吐いてしもーた方が楽やでー?楽になりぃ」




結論・・・先輩に隠し事は出来ませんでした。




「なるほどねぇ・・・しっかし困ったモンやな。



その伊佐ゆー奴、手掛かりの1つ2つ寄越せっちゅー話や。



この都に一体どんだけ尊い人がおったと思ってンねんなぁ」



そう、いくら強力な助っ人がいたとしても、その尊い人がとんでもない昔の人だったとき凄まじく時間が掛かる上、昔であるほど情報というのは不確かなモノになっていくのだ。



「とりあえず、何手打ったんや?」



「冶部の少輔の橘さんに戸籍を当たってもらってて、夕霧が鴉に声を掛けて不審なことを探してもらっていて、何人かに紙にまつわる妖の出現情報を知らないか調べてもらってます」



「・・・ちょい待ち。冶部の少輔?文官に知り合いがおるんかいな」



「はあ、偶然知り合いました」



「ほー?驚いたわ。めっちゃ驚いたわ。突っ込みどころ満載やけど」



「えーっと、突っ込むのは今度にしてクダサイ。



それで、他に手を打つとしたら何があると思いますか」



正直、思いついたモノは軒並みしたつもりだ。情報通の羅城門の二人にも声を掛けた。



都ではまだ知り合いはいないから、私に出来る精一杯はしたと思っている。



「今のところそんだけしてたら申し分ないで。上出来やな。


せっかくや、これを符や結界術の実戦の場にしようか」



「えぇ!?」


何気ない一言だがもの凄い爆弾である。


「毎回毎回、準備が出来るわけやないで。せやから丁度良いわ」


うんうんと頷く東堂さんにマジっすか・・・と項垂れる。


「まじすか・・・?」


「ナンデモアリマセン」


コテンと首を傾げる東堂さんに思わずカタコトで返事をしたけれど悪気はないよ・・・





符には、札に自分の霊力を込めながら文字を書く。その霊力の込め方によって役割は変わるらしい。


「守護を祈りつつ霊力を込めれば、結界や盾に。攻撃を祈れば小物ならば足止めくらいにはなる。



符を使うことで、式神達の戦闘の補助も出来るから覚えておいて損はないで」


「へー」


「ちなみにこの符の元になってる紙はかなり特殊なもんで、一般には出回ってへんから覚えときー」


「へー」



意外と奥が深い。ちなみに、東堂さんはこの符が得意らしい。



対して源さんは鬼切りと呼ばれる特殊な鍛え方をした太刀で直接戦うらしい。



うん。二人ともイメージまんまだわ。


「旭もようやく分かる文字を書くようになったし、札に直接書き込んでしまうか」


「え!?失敗しちゃうかもですよ」


「失敗するって思うから手が震えるンや。



書くときは余計なこと考えるンやない」


「なるほど・・・・」


「ま、言うてすぐ出来るモンやない。



雑念を払え言うたかて中々難しいもんや。


とりあえずやってみればええねん」


「ハイ」


出来なくて当然の気持ちで書いてみよう。



込める力は、少し強め。暁さんや夕霧がいるからその二人の補佐が出来たらと思いながら筆を滑らした。






結論・・・中々漫画のようには行かないよね。しってた。


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