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17話

部署など捏造です。


「いやぁ、将来有望というべきやんなぁ」


「女童は鬼神・・・と烏天狗と契約まで交わしているし、白子しらこは青鬼を連れているな。


鬼神が幼子と契約するのを見たのは初めてだ」


減り込んだ二又の猫を救出した黒髪ポニーテールの痩せた狐目の男がマジマジと此方を見てくる。正確には、暁さんと夕霧を。


隣に立つ狐目男より頭ひとつ分高い長身で短髪、着物(狩り衣らしい)を着てても分かるガタイの良い人は、同じく減り込んだ狐を拾い上げ、暁さんのおかめ面に鬼神?となっている。


・・・気持ちはわかるよ。


「あの、どなたでしょう」


とりあえず、何時までも此処に突っ立てるわけにはいかんよね??


「放置して堪忍な嬢ちゃん。


ワシと隣のコイツは、一次試験の突破者がほんまに突破者なんか確認する為に君らを試そう、思うて待っててんケド」


「君の鬼神に、試す為に控えさせていた俺達の式神をすぐに倒された。


見鬼も申し分ない。勿論この段階で式神を連れている事も鑑みて、君達2人は揃って合格だ」


「そういうわけで、これから陰陽寮の中で、花形!式神署に連れてくわぁ」


にへらぁと笑った狐目さんに、花形?と首を傾げれば、道中説明するわ!と歩き出すよう促された。


というか陰陽師に花形も花形じゃないのがあるの??


私の疑問に、狐目さんは勿論!と大きく頷いた。


「陰陽寮には、妖を封印したり退治したりする式神署を筆頭に、暦を作ったり管理する暦署、天文を観測する天文署、時間管理の漏刻署、占いをする占術署、祈祷をする祈祷署に大きく分かれていて、特に、式神署はお上をお守りする事もあるから花形と呼ばれてるんや」


「他に才能があったとしても、見鬼があればとりあえず式神署預かりになる。


見鬼の才は貴重だからな。


お前達は見鬼のみならず既に妖と契約もしているから、間違いなく式神署に配属となるだろう」


そういって、フッと笑った高身長さんはわしわしと陽太の頭を撫でた。


「!!??」


「とにかく、歓迎する。後輩が出来てとても嬉しい。全くいない年もあるからな」


「今年は豊作やんなぁ」



嬉しそうに笑う狐目さん達は、ほらあそこやで。と塀の中にあるのに更に塀で囲まれたほかの建物より少し高い建物を指差した。





「ワシが式神使いを束ねる式神博士の藤原宗政ふじわらのむねまさじゃ」


案内された建物の一つの個室に通された私と陽太は式神署の博士に面会していた。


頭を剃った達磨のような体躯のおじさんがまず自己紹介をするとそのまま豪快に笑い出す。


「今年は例年に無く豊作じゃ!!


ワシが陰陽寮に来て二十数年、二人同時にこの部署に配属されたのはお前さんたちが初めてじゃ!!」


「えっと、旭と申します。


そうなんですか??」


「旭か!!良い名じゃの!そうじゃとも。


この陰陽寮は、身分関係なく入寮試験を受ける事のできる唯一の国の機関じゃが、其れ故に求めるものも大きいからな。


陰陽寮自体が狭き門というのに加え、この式神署は最低限、見鬼の才が求められる。


更に門は狭いんじゃ」


カッカッカと笑う藤原博士?にへぇ・・・と声を上げた。


「さて、旭の名はわかったが、もう一人の白子の坊主はなんという?」


「ひ、陽太です・・・!」


「ほう、良い名じゃのぅ。


旭に陽太、どちらも期待しておるぞ。しっかり力をつけてこの式神署を引っ張っていくような陰陽師になっておくれ。


・・・さて、お主等の教育係じゃが、和盛かずもり重隆しげたか。頼むぞ」


「はい」


「承知いたしました」


藤原博士に呼ばれ部屋に入ってきて頭を下げたのは、私達を案内した狐目さんと高身長さん。


「ほんなら、自己紹介もするから、仕事部屋にいこーか」


「席に案内しよう」


そう言われ、促されるまま藤原博士に頭を下げて二人の後を着いて行く。


どうやら建物の中には、博士の部屋以外に仕事する部屋、修行する部屋、生活する部屋に大きく分かれていて、普段は基本的に仕事する部屋にいることになるみたい。


「食と住は保障されんで。衣も、官服は支給制やし」


「お前達新人は、一年の間先輩である俺達と休日以外行動を共にする事になる。


字を書いたり読む基本の勉強から、朝廷の仕組み、官吏としての心構えや身分制度、式神使いとしての知識、妖や五行の勉強などを座学で学び、妖との戦い方、式神への下し方などを実戦で学ぶ事になる」


「へーー」


「難しそう・・・」


ぽかんと口を開ける私と、困ったような顔をする陽太に、大丈夫だ、と、どちらとも無く笑って言ってくれた。


「君らにはワシら先輩が付いてるんやで?なぁんも心配いらへんわ」


「俺達も通って来た道だ。一緒に乗り越えれば良い」


なんていい先輩!!とひそかに感動していれば、建物の一番手前にある部屋に着いた。


「ここが仕事場や。


ちなみに、この建物は手前から、仕事場、鍛錬場、水回り、寮があるんやで?後で案内するからなぁ」


そう言って、狐目さんはがらりと襖を開ける。



「そういえば、言ってなかったナァ。ようこそ、式神署へ」


「そういえばそうだな・・・歓迎するぞ」


2人の笑顔に、ほんのちょっぴり鞍馬山から降りてきて良かったと思えた。


27.1.30→月牙が鬼神になっていたので青鬼に変更

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