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14話

陰陽寮のほど近くの角に到着した私達。漸く心臓が落ち着いてきた。

深呼吸を繰り返していた私の腕を暁さんが引く。


《あれが陰陽寮だ》



「でか・・・!!??」


暁さんが指し示した方向を見れば、巨大な木製の門があった。重厚感のある巨大な門は、一人で開けられなさそうなほどだ。


「暁サン」


《どうした?》


「門の両サイドに鬼がいますヨ??」


ほら、と門の両サイドをがっちり固める厳つい系の赤と青の鬼が二人。見るからに強そうだ。


《両さいど・・・?横のことかな?


ああ、あいつ等は中々強いよ。


陰陽寮というのは、妖にとって、敵の本拠地みたいなトコロだからね。


そこそこ力を持っているような妖は手を出してこないんだが、たまに雑魚の部類が襲撃してくることがある。


あの2体は、そんな雑魚を門で止める役を担っているわけだ》


少し誇らしそうな暁さんに、そういえば・・・と首を傾げた。


《どうしたんだい?》


「暁さん、陰陽寮に入って大丈夫なの?


面割れしてるよね?元陰陽頭が鬼神って、大丈夫?」


《ああ、問題ないよ。雰囲気はがらっと変わっているし、霊力も鬼神のモノだ。それに、面を被るからね》


ほら!と装着して見せてくれたのは、何故かオカメの面で・・・。なんでソレを選択したんだ!!??と突っ込まずにはいられないよね。


うん、私は間違っていないはず!!いや、これが火男でもいやだけど・・・鬼なのに、鬼神なのにオカメの面って・・・。


怖さ9割減だよ。むしろ笑えるんだけど。


頬を引きつらせる私とは対照的に、暁さんは非常に楽しそうで、鼻唄を歌いだしそうだ。


「あーえー、うん。えっと、門の外に溜まっているのは受験者なの?」


「どんなかんじ??」


私があそこにいる人等、と指させば、興味津々と言った様子でずっと月牙とほのぼのしていた陽太も私が指し示す門の前をのぞき見る。


門の外側にいる、市を通ったときに見た平民の格好をしている人もいれば、牛車も数台待機している。脇には刀を差した護衛役の人もいるから、きっと貴族の人なんだろう。平民の人と貴族の関係の人では着ているモノは勿論、纏う雰囲気も、全然違った。


《陰陽寮は、才能あるモノなら貴族だろうと平民だろうと、それ以下だろうと幅広く門戸を開くんだ。


志願者は毎回とても多いよ》


「う、受かるかな」


「ボクも心配・・・ボクなんて字も書けないし読めないし・・・」


「私も同じく。ミミズみたいな字は私には書けない!何より習字は苦手!」


《しゅうじが何か分からんが、安心しなさい。先程言ったように、陰陽寮は才能あるなら貴族だろうと平民だろうと受け入れる。


当然、平民出身の多くの者は読み書きが出来ない。陰陽寮側も把握しているから毎回指導をきちんとするんだ》


《それに、あそこにいる奴等の中で、霊力を持っている者は半分以下だ。


お前等ほど、将来有望な者はもっと少ない。霊力があり、見鬼もあれば間違いなく受かる》


ふん、と鼻を鳴らす夕霧に、そうなの?と陽太と揃って首を傾げた。


《夜見える者はそれなりにいるんだが、旭達みたいに真昼から姿をきちんと見れる者は早々いないだろうな》


「?」


《まあ、安心しておけばいい。それより、そろそろ時間だ。我々の姿は見えぬから、そのまま門まで行きなさい》


暁さんの言葉に、陽太と顔を見合わせ、同じタイミングで頷くと、ゆっくり角から足を踏み出し門の前に向かった。


「受かると良いね」


「本当にね」


大きく頷いた私を見て、陽太もヘラリと笑った

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