11話
「ごめんなさい!!」
地面に座り、頭を下げる虐めっ子達を呆然と見るアルビノ少年。
「はい、少年は立つ!!!」
「うひゃあ?!」
多分、2つ位歳上なのに非力な女の子(嘘を吐け、と夕霧に突っ込まれた)でも立たせれるくらい軽かった少年に、私は溜め息混じりに虐めっ子達を指し示す。
「許しても、許さなくてもイイヨ。君の好きにすればいい。
罵詈雑言浴びせられてたし、石投げられてたし・・・・九割九部九厘外れてた、まさかのノーコンの集まりだけど。
一応、反省してるみたいだし」
グサリと、見えない矢が刺さったような幻聴がした。
「えっと・・・・・」
「これから少年の状況を変えるために、誠心誠意働くなら、むしろ都合が良いとは思うよ?」
こそこそっと耳元で話せば、少年は頷く。
「う、うん。僕は平気。石も全然当たらなかったし、君が助けてくれたし」
「いい子だね、キミ。
よし、じゃあ!君達はちゃっちゃと母ちゃんの元に帰って、この少年の説明をしてやんな!」
「う、うん!!」
「ごめんな!」
「ありがとう!許してくれてー!!」
バタバタと去った虐めっ子達に、良し!次!とクルリと青鬼に向き直る。
「?どうしたの??」
「ん?これ見える?」
「?何かいるの?」
青鬼を指し示しても、首を傾げるアルビノ少年に、視えないんだ。と小さく呟いた。
《霊力はあるみたいだけど、日が昇っているのに視えるほど強くないみたいだねぇ。
どれ、憑いて視せてあげよう》
ふわんと暁さんが浮いたと思ったら、アルビノ少年の中に入っちゃった・・・・!?
「ちょ!?それ良いの!?」
「え?ーーーー?!??!!!」
「あ、視えた?」
目を見開いたアルビノ少年は、青鬼を見て声にならない声を上げた。
更に、自分から出てきた暁さんと、私の横に立つ夕霧にも驚き口をパクパクさせる。
目玉落ちそうだね。
《やれやれ、とにかく青鬼に名前を与えてしまえ》
「な、名前?!」
《そうだよ坊。この青鬼は君の深い哀しみから産まれた。
名前を持たないから不安定な存在で、いつ暴れだすか分からない。
産みの親である坊が、名を与えなさい》
暁さんの言葉に、アルビノ少年は、恐る恐る青鬼を見上げた。
「・・・・・・清牙? 」
「清牙?カッコいい名前だね」
「本当?なんだか頭に浮かんだんだ」
へら、と笑う少年に良い名前だよ。と頷いた。
「夕霧、暁さん、これで大丈夫?」
《問題ない。そら、目に意志が宿ったぞ》
夕霧が指で示した青鬼は、確かに先ほどまでの人形みたいな無機質な目ではなく、光を宿した生きるモノの目に変わっていた。
《・・・・・・まさか、名を早々に握られるとは思わなかった》
青鬼の低い美声は耳に心地好く、おお・・・・!と感動して、反応が遅れた。
「あああああ!?
名前聞いちゃった!!?」




