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10話

物陰から猛ダッシュした私は、白髪少年に当たりそうだった小石を虐めっ子集団に蹴り返した。


「ナイスショット!!」


蹴った衝撃で、粉々に砕けた小石を見て、私を見た虐めっ子集団は、口をパクパクさせて此方を指差す。


「な、何だよおまえ?!」


「通りすがりの一般人Aですけど。


アンタ等さ、恥ずかしくないの?8人がかりで寄って集って!!


あー、恥ずかしい!!」


「う、うるさい!」


「そうだ!!それにおまえ、そいつの事知らないんだろ!!」


「なーんだ!!知らないんだ!!」


焦ったかと思えば馬鹿にしたように笑う虐めっ子に、顔色がコロコロ変わるなー、なんてどうでも良いこと考えて鼻で笑う。


「はぁ?

白髪少年を私が知らないから何なのさ?君らがカッコ悪いのも、恥ずかしいのも変わらんし」


「うるさい!ソイツは良いんだ!」


「そうだそうだ!」


「だって鬼子なんだからな!!!」


「はあ?」


鬼子?どこに角生えてるわけ?

耳も尖ってないし?爪も丸いし?


「え、目腐ってンの?平安時代に眼科ってあるのかな?」


「腐ってないし!


お前こそ!見て、分かんねーの?!

そいつ!!髪はジーサンみたいに真っ白だし!目は赤いんだぜ!!」


虐めっ子の言葉に白髪少年が背後でびくりと震えたのが、分かった。


というか、白髪に赤目ってアルビノじゃない?鬼子だなんてくだらない。


「え?君たち知らないんだー」


あえて、馬鹿にして言ってみれば、虐めっ子集団だけじゃなく、白髪少年からも夕霧達からも視線が集まる。


「白髪は、凄く賢い子は小さな頃からなるんだよ(昔、こんな風に言われたよねー)。


もしくは凄く悲しいことがあった時ね!


目が赤いのは、皆より色が薄くて目の奥に誰でもある血の管が透けて見えてるからだし(確か)。


え?知らないの?遅れてるー!!」


プクククと笑えば少年達は、でも!とかだって!と叫ぶ。


「じゃあ、横の子の目を見て別の子の目も見たら?皆、同じじゃないでしょ。


黒の子、焦げ茶色の子もいれば、薄茶色の子もいる。同じじゃないのは当たり前だし、街中見たら、同じ年寄りでも白髪もいればツルッツルもいるでしょ。


あれと同じ。大体、皆同じだったらキモいし」


鼻で笑ったら、8人とも顔を見合わせた。


「な、なあ・・・」


「何?」


「そいつも俺達と同じなのかよ」


おずおずと、虐めっ子代表みたいな子が聞いてきたので、何を言ってンの。と大袈裟に溜め息を吐いて見せた。


「当たり前ジャーン。君らの目が腐ってない限り、普通でしょ?」


「じゃ、じゃあ!!


母ちゃんが嘘吐いたのかよ?!」


「嘘じゃなくて、知らないんじゃないの?

大人は頭固いからねー!新しい事とか、自分達が今まで信じてきた事以外に無いって決め込むんだよ。


気を付けないと、頭どんどん固くなって最期ポックリ逝くから気を付けてね(嘘だけど)」



多分に嘘や確証がない話を盛り込んだが、まあ良いでしょ。これで白髪少年がいじめられなきゃ。


「えぇ?!」


「だから、まだ若い君らが大人の固まりかけの頭を柔らかくしてやりな。


ポックリ、嫌でしょ?」


最後の言葉に顔をひきつらせブンブン頷く虐めっ子達に、じゃあ!と地面を示した。


「?」


「許してもらえなくても!とにかく!謝罪!!」


「ハイィィ!!!」

260514→後半文書、消えてたので足しました。

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